とうとう日本にも導入された320d、なかなか好評ですね。先日本国で発表されたM Performanceのパーツにはなんとディーゼル初のPowerKitが出ましたが、実力の程はどうでしょうか。
PowerKitのデータを入手したので、
いつもお世話になっているこの方にお願いして、いつもながらの素晴らしいグラフを作っていただきました。
ディーゼルエンジンで重要な低回転でのトルクの立ち上がりを比較すると、純正の320dが1500回転までは一気にトルクが立ち上がりますが、そこからピークの1750回転まではやや上昇カーブがゆるやかになります。
これに対してPowerKitではピークの1750回転まで勢いが衰えずに立ち上がり、420Nmというパワフルさになります。
これは、ECUのプログラムだけではなく、同時装着されるインタークーラーの効果もあると思われます。ALPINA D3Biturboの場合も、インタークーラーを135i用のものに替えただけで純正のマップのままで214ps/450Nm→250ps/480Nmになってしまいましたから。
日本には来ませんでしたが、本国ドイツでは4気筒シングルターボをチューンした「ALPINA D3」が存在していました。こちらのパワーは200ps/410NmでM PerformanceのPowerKitの方がトルクも優っており、低回転からのトルクの立ち上がりも優秀です。これはN47D20エンジンの改良に加えて大容量インタークーラーの効果が出ている好例ですね。
しかし、低回転からのトルクの立ち上がりという面では、2ステージツインターボを採用する123d, 525d D3Biturboの方が一枚上手です。
例えば123dですと、1200回転辺りですでに300Nmのトルクが出ており、1500回転だとD3Biturboなら410Nm、525dだとピークの450Nmも出ています。これは低回転を受け持つ小さなタービンの効果です。
更に525dでは、旧世代の123d、D3Biturboには採用されていなかった?VGが低回転用のターボにも採用されているようで、そのためPowerKitのカーブと同様にトルクピークに向かって上昇カーブが衰えずに立ち上がっています。
今度はパワーカーブに関係する高回転側のトルクに注目すると、やはりここでもツインターボ勢は優勢で、トルクピークを過ぎてからのトルクの落ち込みが少ないために、パワーピークを過ぎてもパワーの下降はややゆるやかです。
グラフを見ると、シングルターボ勢は4400回転くらいまでしかトルクと馬力の表示がありませんが、これ以上の回転域ではガタ落ちなのかもしれません。それに比べるとツインターボ勢は4750回転までパワーが続きますし、D3Biturboは5000回転までトルクもパワーも緩やかに下っているため、乗ってみると「ガソリンエンジンのように上まで回る」ように感じるのはこのためでしょうか。
実は、同じN47D20でも、123dとD3Biturboのエンジンは圧縮比が16.0なのに対して(125d、525dは不明)、320dのエンジンは16.5なのも回りに関係しているのかもしれません。CX-5に見られるように、ディーゼルでは圧縮比が低いほど、軽やかに回るのです。
しかし、123d, 525dに比べてやや低回転のピークなのにそこからの落ち込みが少ないD3Biturboはやはりアルピナマジックなのでしょうか。このために、MTモデルは本当に気持ちが良いです。
320dのエンジン形式はN47D20Cと3世代目の表示でレブリミットも5400回転に上がっているところが不思議ですね。この高回転側のマージンを使い切っていない気がしますが、125d、525dではもっと高回転まで回りそうです。
ちなみに、6気筒ディーゼルエンジンでも車種を問わず新型ではレブリミットが5400回転になっていますので、モジュラーエンジンとして共通の改良がされた結果が4気筒にも反映されているのかもしれません。
320dは
8速ATのため、シングルターボでもトルクを有効に活用して充分パワフルな上に燃費も良いですが、そういう意味では進化した2ステージツインターボの上に8速ATの125d, 525dは是非日本に導入して欲しいですね。
私が普段から提唱している(爆)「中間加速が実質的な加速」理論に乗っ取ると、トルクの立ち上がりが素早いディーゼルは、回転に吹け上がりはギア比の関係でゆっくりですがガソリンエンジンに比べてパワフルに感じると思います。
毎度の引用で恐縮ですが、重量をそろえて比較した123dと330iツーリングでは、123dの方が0.5秒くらい速い結果となっており、加速感という意味では330i以上335i未満といった実力だと思います。
同じ1シリーズのクーペ同士で比較しても、135iと比べて中間加速は0.5秒しか遅くなく、このデータはE91型335iツーリングと一緒なのです。
新型のツインターボディーゼル搭載のF20型125dなら更に速いですから、是非日本に導入して欲しいですね。ポスト新長期規制のからみかコストの問題なのか分かりませんが、期待したいです。
そういう意味では、PowerKit装着で1750回転まで一気にトルクが立ち上がって420Nmになる320dは、328iをしのいで335iに迫る実力かもしれませんね。燃費が変わらないのもありがたいですし。ALPINAと比べると、ステアリングの滑らかさやハンドリングなどは追い付いていない部分もありますが、8速ATの威力もあって、旧モデルのALPINA D3よりパワフルな走りで、ALPINA D3 Biturboにも肉薄している所もあるかもしれません。
ちなみに、
家のD3君も装着している
KELLENERSの箱だと226ps/450Nmになりますから、Powerkitと迷うところかもしれません(爆)。
ここまで標準のBMW4気筒ディーゼル車の実力が上がってくると、F30型ALPINA D3 Biturboがどうなるのか、非常に楽しみですね。スペック的には230ps/500Nmくらいで無いとアドバンテージが保てない気がしますが、果たして登場するのでしょうか。日本ではニコルさんはD5への乗り換えを狙っているらしいですが。
それにしても、4気筒もさることながら、6気筒ディーゼルがX5-xDrive35dだけというのは寂しいですね。とりあえず、ALPIBNA D5には試乗してみたいですが、どんなものでしょうか。グランクーペの650dなんて来たら、最高な気がします(爆)。
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BMWディーゼル | 日記
Posted at
2012/11/12 17:22:38