航空機用のエンジンで、「空冷星形エンジン」というものがあります。
今回はそのお話を。
星形エンジンとは、ピストンが円形に配置されており、その中央にクランクシャフトが配置されます。
つまり円の外側へ向かってピストンは往復運動をして、エンジンの中央に動力軸が配置されているということです。
全てのクランクシャフトに繋げるためのマスターピストンが一つ、ほかのクランクシャフトはそれに繋がっており、基本的には奇数気筒です(7気筒か9気筒が主流)。
バルブはOHVがほとんど、なぜなら航空機(特に昔の戦闘機)はエンジンの外径は少しでも小さい方が有利ですので、空気抵抗は少しでも小さい方が馬力が低くてもスピードが出ますからね。
航空機ではヘッド上に様々な機構がつくSOHCやDOHCは不利となります。よって今でもOHVが主流、高回転は必要無いのもありますが。ディーゼルも過去に試作されたそうです(重量過多で没になりましたが)。
では一例、あの零式艦上戦闘機、つまり零戦に搭載されていた中島航空機製(現在は富士重工)の「栄」(さかえ)エンジン(11型)のスペック。
空冷式星形復列14気筒27900cc、馬力は離昇時馬力で950psほど。遠心式スーパーチャージャー1段1速式付きです(ターボではありません)。
あれ?偶数気筒やんとお思いかと、でも「復列」にご注目、つまり7気筒×2、前後に7気筒が2列に配置されています。
このエンジン、当時の中島(富士重工)アメリカはホイットニーのエンジンをライセンス生産していた事があり、それのパクりだと言っていますが。外径はそれより遥かに小さくなっています。
ただ、完全オリジナルかというと言い切れない部分も、ネジなどの部品規格はホイットニーと同じです。
アメリカに飛行可能な、オリジナル栄エンジンの零戦五二(読み方は「ごうにい」型です)型が現存していますが、修理ができるのはそのおかげでもあります。
さて、富士重工、つまりスバルやBMWは水平対抗(BMWはバイクに空冷水平対抗があります)が得意な理由はまさにコレ、航空機星形エンジンを作っていたからです。
理屈的には外側に向かってピストンが動き、真ん中にクランクがあるのは水平対抗も星形も同じです。
過給機はチャージャーは日本でも盛んに作られていたんです。
ただ物資不足で素材が悪く、まともなターボが作れなかったのが泣きどころでした。高高度ではターボが有利なのです。
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2014/10/26 10:01:10