市電

　産経新聞のニュースサイト｢MSN産経ニュース｣の配信記事から、『神戸市が路面電車の復活検討へ　予算案に調査費計上の方針』に注目。



　1971(昭和46)年に廃止された神戸市電を、私は残念ながら利用したことはない。
　しかし日本の路面電車の中で最も好きな電車はと問われれば、私は迷うことなく｢神戸市電｣と答える。



　神戸市電の路線網は消滅してしまったが、最後まで現役だった電車の多くが広島電鉄へ移籍。一時期は3形式(570･1100･1150)29両もの｢元神戸市電｣が、広島市内を縦横に駆け巡っていた。
　以前にも触れたが20世紀末の一時期、私は広島で暮らしており、彼女らにとって全盛期の最後とちょうど重なっている。



　大柄で堂々とした伸びやかな車体を誇る｢570形｣。
　路面電車ながら流線型を採用し、前端乗降ドア上部の曲線がこの上なく美しい「1100形｣･｢1150形」。
　中でも旧神戸市電の標準塗装である濃淡グリーンのツートンを維持している車輌は、記事中にもある｢東洋一の路面電車｣の尊称が決してオーヴァーではない、とても綺麗で格好良い電車だった。



　私が愛して已まなかった｢元神戸市電｣たちも、プリペイドカードシステムを導入するに際し出入り口の狭さが問題視され、老朽化と相俟ってその殆んどが廃車･解体。現在は570形582号と、1150形1156号の2両が残るのみとなっている。


　神戸市が検討しているLRT(=Light Rail Transit)は、広島電鉄が導入している｢グリーンムーバー｣のような低床車を導入し、車いす利用者が停留所から介助なしでも乗降できるようにするなど、バリヤフリー性能を高めた新しいスタイルの路面電車。
　恐らくは｢グリーンムーバー｣シリーズよりも更に先進的な機能とデザインを採り入れた車輌が就役するものと思われるが、古い神戸市電車輌に親しんできたファンとしては、グリーンのツートンカラー･独特の車号フォント･流麗な前頭部スタイル、中でも1100･1150形電車の｢前端ドア上部曲線｣を復活させてほしいと願っている。