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2017年09月14日

中水

中水  東京都下水道局の本日付プレスリリース『平成29年9月10日(日)に足立区で発生した、下水の三次処理水配管と水道の給水管の誤接続による三次処理水の水道水への混入について』に関し雑感。

 30年以上前のことで掲載紙も正確なタイトルも定かでないが、全国紙の連載記事で世界各国の水道事情を紹介するコンテンツがあった。

 インドだったかバングラディシュだったか、水を使おうと蛇口を捻ったら、明らかに糞尿混じりと思われる黄色い濁水が、耐え難い悪臭と共に迸る。
 近接して埋設された汚水管と水道管が同時に破損し、上水に汚水が混じったのが原因だったらしい。


 キッチンや洗面所に、異臭を放つ汚水が供給されてくる状況を想像し衝撃を受けたのと同時に、文明的な社会の基礎的インフラであるべき水道の大切さを知った。

 思えば今こうしてインフラ関連の仕事に就いている私の、原体験だったかもしれない。



 30年前の途上国であれば、衛生的でない上水が供給されるのも致し方なし思いきや、参考情報URLを参照されればお分りの通り、現在でも事情はさほど変わっていないようだ。

 そして我が国においても、世界最大の水道企業・東京都水道局の管内で、他国を嗤えない事案が起きてしまった。



 マスコミ報道を眺めていると、下水処理水が上水として供給されたかのような記述が読める。
 実際にはトイレ洗浄水として用いられていた下水処理水の不足を補うべく、下水処理場内に無断で接続された水道管を下水処理水が逆流し上水に混和したのであって、水道水の全量が下水処理水になっていたわけではなさそうだ。
 この辺り、ニュアンスが正確に伝わるようマスコミ各社には言語感覚を磨いてほしいものだが、実際に被害に遭われた水道利用者の怒りに寄り添えば、混和量の濃淡に関わらず、東京都下水道局の責任は免れ得ない。


 
 以前は「上水」「下水」しかなかったものが、環境意識の高まりや、淡水資源の節約を目的に「中水」なるカテゴリの水利用が定着しつつある。
 未処理の雨水や、今回問題になった下水処理水を、人体が直接摂取または接触する飲用・入浴用以外の需要、例えばトイレ洗浄水・植栽への散水・公用車の洗車用水として供給し、その分に相当する上水が消費されずに済む。

 そもそも飲用可能な上水をトイレに流す必要は無く、「中水」は水資源の効率的な利用という意味において意義はあるが、一方で上水とは別の供給ルート(管路・貯留槽・ポンプなど)を整備する必要があり、インフラを高度化・複雑化させねばならない。

 それらを万全に整備し維持管理できるだけの技術力が、果たして我が国の社会資本を預かる組織・企業に備わっているのか。
 表向きの原因究明や責任追及に留まることなく、関係者は真摯に省みてほしい。




 日本よりも遙かに淡水資源に乏しい世界各国でも、貴重な原水として下水処理水の利用が進んでいるが、最も先端に在ると思われるのがシンガポールである。
 かの地では何と、積極的に上水の原水として活用されており、実に3割ほどが下水由来の水だという。


 東京23区+武蔵野市ほどの国土面積しかない都市国家・シンガポールは、建国以来水資源の確保に苦労が絶えず、原水供給の多くを独立前に属していた隣国・マレーシア(かつてはマレーシア連邦の州だった)に依存していた。
 しかし独立に至る摩擦や、度々起きる両国の関係悪化が原因で、原水供給の停止をちらつかせて恫喝されるなど、安全保障上の懸念となっていた。

 他国に殺生与奪を握らせるくらいなら、国民に下水由来の水道水を供給することも厭わないシンガポール政府の冷徹さには、今なお開発独裁体制さながらの凄みが感じられると同時に、インフラの維持が社会の安定•持続に直結する現実を思い知る。



 核兵器やらミサイルやら、正面装備だけが安全保障の本流ではない。
 一般の市民が安寧な暮らしを送ること、そのものが正に安全保障であり、私もまた最前線で闘う工兵隊の一員、なのである。











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Posted at 2017/09/16 14:23:29

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