こんにちは。
パサートは以前1.4リッターに試乗していますが、パワーに物足りなさを感じていました。今回のプラグインハイブリッドとなってどうなったのか、体感してみたくて試乗しました。
試乗車:パサートGTEバリアント Advance 価格:599万9千円(税込)
試乗車装着オプション:電動パノラマスライディングルーフ 15.12万円
試乗車価格:615万200円(税込)
●外観デザイン
さすがにちょっと大きいですが、顔がサメっぽいのと、サイドへ走るラインがシャープでかっこイイと思います。Cd値は0.297とワゴンとしては良好な数値ですね。
全長4775mm×全幅1830mm×全高1500mm、ホイールベース2790mm
試乗車はパノラミックサンルーフ付で車重1790kg(前軸重950kg、後軸重840kg、前後重量配分53:47)
●パワーユニット
エンジンは直列4気筒DOHC直噴ターボで156ps(115kW)/5000-6000rpm、250Nm(25.5kgm)/1500-3500rpmです。モーターは116ps(85kW)、330Nm。
ゴルフGTEと同様に3つのモードがあります。
「E mode」 ・・・モーターのみの走行モードです。満充電で51.7km走行可能です。
「HV mode」 ・・・エンジンとモーターを併用して走るハイブリッドモードです。
アクセルを緩やかに踏むと、モーター単独での走行を優先して行います。
またバッテリー充電を優先したモードもあり、センターディスプレイのインフォ
テインメントシステムで切替ができます。
「GTE mode」・・・GTEの一番の売りはここです。
エンジンとモーターの併用で最大のパワーを発揮するモードです。
アクセルを床まで目いっぱい踏むとエレクトリックブースト機能が働きます。
ゴルフGTEより車重が210kg重いので、あんまり加速は期待していなかったのですが、GTEモードで加速すると結構いい加速です。ミッションとデフのギア比はゴルフGTEと同一なので、エンジンで6ps、モーターで7psとパワーアップ率はわずかですが効いているのでしょうか。
GTEモードでは擬似音ではありますが、結構いい音がします。ゴルフGTEよりもこちらの音のほうが好きですね。
私が気になるのは、ちょっと分かりづらいですが下の写真でシフトノブの左側にボタンが並んでいますね。
上が「GTEmode」のボタン
中が「ドライビングプロファイル」のmode切替ボタン
下が「E mode」のボタン
です。
まず運転席側から見ると、シフトノブが邪魔でボタンが見えない。これは左ハンドル仕様からボタン配置を変えていないからこんな不便が生じるのでしょう。
それからボタンの順番もパワーユニットのモード切替「GTEmode」と「E mode}の切替ボタンの間にドライビングプロファイルのモード切替スイッチがあるというのも分かりづらいと思います。パワーユニットの切替ボタン「GTEmode」と「E mode」が上下セットになっていて、ドライビングプロファイルは少し離れたところに配置したほうがわかりやすいのではないかと思いました。慣れれば使えると言われればそれまでですが、運転している最中はより直観的に使えたほうがいいと思いました。
バッテリーは容量は9.9kWhで、200V電源なら4時間で満充電できます。ただし急速充電には対応していません。燃費はJC08モードで21.4km/ℓ。ゴルフGTEのバッテリー容量は8.7kWhで容量が少ない分3時間で満充電できパサートより1時間少ないですが、満充電で53.1km走行でき、JC08モードは23.8km/ℓなので、やはりゴルフGTEのほうが軽さが効いている分燃費はいいですね。
充電口はフロントグリルにあります。
●ミッション
6速DSGです。変速レスポンスは他のDSGモデルと変わらずすばやいです。電気自動車と違うのは、変速ができるのでパワーの出し方や減速時のエンジンブレーキが調節できるのがいいですね。
ただし、三菱アウトランダーPHEVのようにモーターの回生力を変更できるわけではありません。
●ハンドリング
電動パワーステアリングです。
ドライビングプロファイルというモードを切り替えられる機能によって、パワーステアリングの重さが変わります。ゴルフGTEではステアリングが軽すぎる印象がありましたが、ノーマルモードでもスポーツモードでもこちらは適度な重さがあって、今乗っているGTIに近い感覚です。切り始めのレスポンスはゴルフほど軽快に反応するわけではありませんがダルということもなく、しっかり反応しつつもしっとりしていて好感が持てます。
●足回り
フロントがストラット、リアが4リンク(マルチリンク)です。
タイヤはコンチネンタルのスポーツコンタクト5で、サイズは前後とも235/45R18 94Wです。
乗り心地はフラットでゆったりした動きで自分の好みです。ホイールベースの長さと、重いバッテリーをリアシート下に搭載して重心が低くなったりして前後重量配分が改善しているのが効いているのでしょうか。
こちらもドライビングプロファイル機能でモードを変えると足の固さが変わります。スポーツモードにしても乗り心地を損なうことなく適度に固くなる程度で、嫌な角のある突き上げもなく快適な乗り心地です。先代のパサートバリアントオールトラックはとても固くて正直不快でしたが、雲泥の差です。
●ブレーキ
フロントがベンチレーテッドディスクで、リアがディスクです。
GTEはキャリパーが青に塗られています。
特に意識して確認していませんでしたが違和感はなく、効きは問題ありませんでした。
パーキングブレーキは電動式で、信号待ちなどで自動ホールドする機能付きです。
●ボディ
ボディの剛性感は非常に高いです。包まれているというか守られている感覚があります。
●静粛性
非常に静粛性が高いです。快適です。
●シート
フロントシートはホールドはそれほどでもないですが、かといって体が動いて遊んでしまうこともなく、サイズも大きくて底付き感もなく快適なシートです。
リアシートは試す時間がありませんでした。
●内装(インパネ)
インパネも外観と同様にシャープなラインをエアコンの吹き出し口など配してとても先進的な感じですし、質感も非常に高いです。ヘッドアップディスプレイも装備されています。
そしてなんといってもAdvanceグレードの売りは、アウディTTやA4で採用された12.3インチ液晶メーター「Active Info Display」でしょう。私はあまり液晶メーターは好きではありませんが、このメーターはとても見やすかったです。面白いのは、タコメーターの中央に高度計が、スピードメーターの中央にコンパスが表示されていることです。特別必要というわけではありませんが、私なら旅行に行った先でこれを見て楽しんでいるかも。メーターはこの表示だけでなくモードによって変わりますし、メーターを小さくして地図を大きくすることも可能です。
●安全・快適装備
最近はやりの装備はすべて備えています。
・アダプティブクルーズコントロール
・レーンキープアシスト
・ブラインドスポットモニター
・プリクラッシュブレーキシステム(歩行者検知機能あり)
はすべて装備。
ヘッドライトはLEDを採用し、60km/h以上ではカメラで前方車や対向車を位置や距離を検知し、影響のない範囲で広範囲を照らす「ダイナミックライトアシスト」を装備。
今回VW車初として渋滞時追従支援システム「トラフィック アシスト」が装備されました。いまいちアダプティブクルーズコントロールとの機能の違いがよくわかりませんが、こちらはアクセル、ブレーキだけでなくステアリング操作も補助して前車への追従を行うようです。
私は最近インフォテインメントシステムに興味があります。
パサートではスマホがiPhoneでもAndroidでもセンターディスプレイ上でアプリを操作できる機能があります。例えばこれを使えばグーグルマップが見られるので、車載のナビの地図が古くなっても最新の地図を使っての移動が可能です。
●ラゲッジスペース
487リッターを確保しています。バッテリーをリアシート下に置いた関係で燃料タンクをラゲッジスペース下に置かざるをえず、ノーマルバリアントの650リッターに対してかなり少なくなっていますが、十分な広さで、見た目にも広いです。
終わりに...
昔乗っていたレガシィツーリングワゴンを思い出しました。ゆったりとした走りのリズム感が似ていて、好きな走り味でした。走りのリズムだけでなく、室内も当然ゴルフよりもゆったりとしていてすべてに余裕が感じられました。そしてハイブリッド化で余裕のパワーを身に着けて、パワー感が余裕の車格とやっとマッチしたかなという感じを受けました。これはおすすめできるクルマです。ただ、値段がもうちょっと安いといいんですけどね...
私が買うんだったらAdvanceグレードのパノラミックサンルーフ付を選びます。サンルーフについてディーラーの人は「夏暑いし、雨漏れのリスクがあるのでオススメできません」と言っていましたが、この開放感はたまりません。
私にはちょっと大きさが持て余しますが、ゆとりのあるクルマが欲しい方には、国産のミニバンにはないフォルクスワーゲンらしいボディの剛性感や静粛性からくるゆとりが感じられるパサートGTEヴァリアントはおすすめです。