今回の試乗車は20X(R20AのFF車)です。
エクステリアはある意味で無難な線を狙っている気がします。一目惚れする人は好きでしょうけど、興味がない人にはとことん無視されるのではないでしょうか? そのエクステリアデザインは・・・何に似ているかは敢えて書きませんが(苦笑)実車はそう悪い感じではありません。いいていえば最近のホンダ顔でないところが少し残念な気もします。逆を言えば顔つきに個性が無く面白味に欠ける感じを受けるかもしれません。
リアのデザインは以前ホンダから発売されていたHR-Vを思わせます。私はあの車が意外と好きだったので、個人的には嬉しいところです。リアハッチを開けてサードシートの後ろにある小物入れの蓋を開けて驚きました・・・この車、テンパータイヤを装備していないんですね。思わず下を除いて見ると、巨大なタイコにリアの下回りが占領され、タイヤスペースがありませんでし(汗)。でもエキパイ二本出し(R20A用)は個人的に好きなデザインなので、こういうのもありかなと。(^^;ゞ
ドアを開けようとしてまず驚くのはその重量感。
とにかく重い・・・こんなに重たくて良いのかというくらい重い。重量が本当にあるのか、それともヒンジがそういう構造なのかは判りませんが、ドアの開閉にはちょっと一苦労しそうな気がします。ベースのストリームに比べれば間違いなくクソ重たいですよ、コレ。(^^;ゞ
シートの着座位置は割と普通な感じですが、運転してみると視点自体は結構高い感じがします。オーバーフェンダー分だけ横幅がある車ですが、視界も高く角がしっかり見えるので車両感覚は掴みやすいでしょう。何よりフロントのボンネットが見えます!! 最近の車はフロントのボンネットが見える車は少数派になりましたが、その意味からも感覚の掴みは良好ですね。
で、シートに座りそのフロントを見ていると・・・ダッシュボードとFガラスの境界線に妙な隙間と黒いスポンジが・・・おいおい、どう見てもボンネットのプラスチックパーツの寸足らずにしか見えません。Aピラーのパーツはしっかり寸法が出ているのに・・・一体コレは? どう見ても好意的に取れないクロスでもっとも目に付いた箇所です。皆さんも現車を見る機会があったら見て下さい。出来れば私が乗った試乗車が悪いだけであることを祈りたいですが・・・。
シートは基本的に現行ストと同じ感じの座り心地でしょうか? 私の体型でしたらフィット感も良くこれなら長時間座っていたも疲れないでしょう。一応三列目にも座ってみましたが、現行スト同様に足元の問題はありませんし、頭上の空間も幾分マシな程度のスペースは確保出来ています。シート自体は座れますよ程度ですが、これなら緊急用に大人が使っても問題はないでしょう。
インテリアは少し無骨。エクステリアの四角張った感じに多少歩調を合わせていて、ストリームベースでありながら四角張った感じがします。でも、エアーの吹き出し口はこちらの方がデザインの統一性が図られていて良いですね。また色遣いも塗装パーツが極端に目立つこともなく、エアコンのツマミ以外は結構頑張っている方だと思います。そのエアコンのツマミですが、ちょっと安っぽいですね・・・。形状といい色使いといい如何にもプラスチックでございますという感じで頂けません。
メーターは変則4連。コレに何か意味があるのかという感じで、素直に現行ストと同じ物を使っても良かったんじゃなかろうかと思えます。もっとも、現行ストのヘアライン加工されているメーターを好かない方には、クロスのデザインの方に好感を持たれる方も居るでしょう。慣れの問題はありますが、ただ、水温系は省略して欲しくなかったと思います・・・。
取り敢えず運転する前に気付いたところはこのくらい。
では早速試乗開始です。
エンジンを始動し走り始めた瞬間に感じるのは車体の重さ。
R20Aということで結構トルクが下から出ることもあり、極端に出足が悪いというわけではありませんが、やはりグレードによってステップ並みの重量級であるクロスの重さは多少気になるところです。ただこの重量がいい意味で乗り味に貢献してるのは確かで、ストよりもワイドトレッドでショートホイールベースな事もあり、ドッシリと落ち着いた乗り心地をもたらしてくれます。
ミッションは5速AT。シフトアップのショックも少なく自然な加速感を感じさせるところは良く出来たATだと思います。それにしても、ホンダって意外とCVTを使わないんですよね。4WDを主な売れ線と読み、ストのように複数のミッションを設定する事で生産性が下がることを恐れたんでしょう。結局はコストダウンの結果と言うことでしょうけれど、先にも書きましたように頭の良いATですので、燃費を稼ぐには厳しいかもしれませんが、クロスのようなSUVにはCVTよりもこちらの方が似合っているかもしれません。
サスはストと同様の形式ですが、若干クロスの方が柔らかめにセッティングされています。極端なロールはありませんが、機敏さを求めるならクロスよりもストに軍配が上がるでしょう。もっとも、ベースがストだからといってクロスに同じ味付けをする意味はありませんし、何よりもFFでさえ重量100kgと結構違いますけど。
乗り心地は悪くないんですが、若干サスの初期入力が上手く消されていない感じがするのは残念です。出来ればもう少しダンパーの減衰力を弱めても、コーナリングに問題はないと思いますし、悪路の乗り心地も良くなると思います。ある程度距離を走ってダンパーが馴染まないと、少しこのテのSUVとしては結構硬めと感じるかもしれません。
ブレーキはストよりも安心感を感じます。初期剛性を十分確保確保しているので、踏めば確実に効くという感じがあり、しかも神経質さが無いのも好感が持てるポイント。昨年現行ストを試乗した時に感じたブレーキへの危惧がこの重たいSUVに感じることが無くて何よりです(私が昨年試乗した現行スト、ブレーキのアタリが悪かったのかな・・・とにかく気持ち悪く感じました)。
ハンドルの電動パワステは充分調教されたと感じました。神経質な方にはまだ気になるかもしれませんが、私ならこのEPSが愛車に付いていても構いません。発進時から幹線道路のスピード下にあっても、これといったクセも現れず、ホンダのEPSも随分まともになったと感じます。
走行して感じるのは、やはりSUVらしい見晴らし感。圧倒的に高いワケではありませんが、視界は良好で運転がし易いのは助かります。だからといって着座感がトラック風ではない自然な感じなのが良いですね。重さは発進時に多少感じますが、通常この車を運転して遅いと感じることはないと思います。現行ストが軽いだけで、何しろクロスは私の乗っている初代ストとほぼ同じ重さですから(苦笑)。少なくともR20Aならこれといった不満は少ないでしょう。
ところで、ホンダのHPにあるクロスの試乗車検索をかけると、そのほとんどがR20A搭載型というのが実に怪しい感じがします。R18Aでは力不足であるということを、ホンダ自身が認めているように感じられるのは、私の考えすぎでしょうか?
ロードノイズも拾い易い感じを受けました。このクラスなら許せるレベルかもしれませんが、出来ればもう少し押さえ気味にしてもらえると良かったですね。こうしたところをつついてくる煩型のユーザーが意外と存在しますし、こうした部分もメーカーとしては詰めるべきだと思います。
最後にこのクロスロード、VSAの設定が現行ストと全く逆になっています。つまり、4WDにはVSAが設定され、FFには設定されていません。確か現行ストの時は『4WDとVSAの相性が悪くて搭載出来ませんでした』的な発言をしていましたが、ならなぜ クロスロードのFFにVSAが設定されていないのか? 結局のところ、現行スト発売時でも充分VSAを付けられたけれど、クロスロードを売りたいが為に4WDにVSAを設定しなかったというのがホンダの本音なのではないでしょうか? その予感は現行CR-Vの時から感じていました。何しろストとシステム的に同じCR-VにはVSAが標準で設定されていましたから。
こうしたホンダの戦略に、ユーザーは怒っていいと思います。
ナメとんのかホンダっ!!(怒)
・・・ちなみに、私はホンダ大好き人間ですので(苦笑)。
※オマケ(苦笑)。
エリシオン・プレステージ試乗編。
300馬力のハイパワーミニバン、エリシオンプレステージ。
まさか試乗させてもらえるとは思いませんでしたが、どうも私の試乗好きを知っている担当営業の方が『乗ってみます?』とクロスロードの隣に置かれたエリプレを指してそう言いました。当然そう言われて私が乗らないわけがありません!!(大笑)
低床ミニバンといわれるエリの着座位置ですが、やっぱりストと比べれば充分高いです(苦笑)。運転していてちょっと良い気分になる車ですね。アルやエルが売れるのも判る気がします。もっとも、エリプレのグリルだけはどうしても好きになれませんが・・・担当営業氏も『ポリシーあるんですかね?』的なことを口にしていました。そのCMで売ってたストに乗ってる私とすれば、少し複雑です(苦笑)。
で、このエリプレ、やっぱりパワーがあります!!
踏めが確実に飛び出す動力性能!!
モアパワーを求めるユーザーにはある意味最高のミニバンです!!
が! 何故かこのV6エンジン搭載車・・・振動が酷い(汗)。
水温が上がるまでの間『本当にV6かい?』と言いたくなる振動を感じました。
走り出せばホンダサウンド!!
思わずその気になってアクセルを踏んでしまう車ですが、このクラスであの振動は頂けません。
そして、気になったのはブレーキの初期応答性。
効くのは効くんですが、遊びが無さ過ぎるっ!!
もう少し穏やかな感じじゃないと、このクラスのミニバンを乗られる方には厳しいかも。
少なくとも高級感を感じさせるタッチではありませんでした・・・。