何をやっても覚えられないものがある。
そして、それを素晴らしいアイディアで克服したとき、人は一歩前進するのだ。
117と177。
片方は時報で、片方は天気予報であるが、僕は今のいままで、これを全然覚えることができなかった。
なので、どちらかにかける時、当たる確率は50%。
当たった時は、その嬉しさで忘れてしまうのだ。
ところが、てんさいのぼくちゃんは、これをかんたんにおぼえるほうほうをあみだしたのだ!
AM2:45 シベリア連邦管区・ノヴォシビルスク
レーニン通りから2本挟んだ路地裏で、男は携帯電話を片手に身を潜めていた。
今日の気温は-35度を下回っているだろう。凍てつくような身体に身を震わせつつも、男の眼光が鈍る様子はない。
その時突然、携帯電話のヴァイヴレターと共に、イヤホンから着メロが流れた。
♪な~ぎさの はいから人魚 小さなヒップに ズッキンドッキン!
来た!協力者からの“ターゲット発見”の指定コール。
男「こちら、コードネーム・Kitchen Horse。ヤツは今、どこだ?どうぞ」
ノイズ混じりの声が受話器から響いてくる。
「こちらはLavatory Grig。ターゲットは黒いメルセデス。予定通り、チャバエフクスからオビ川に向かってこちらに移動しています。どうぞ」
意外だった。酒焼けした女の声。ボスから協力者が女だとは聞かされていなかったが、俺のような稼業の人間にとって、余計な情報は命取りになることもある。
「わかった…。
時間は、いいな?どうぞ」
「ノイズがひどくて聞こえない。時間は…なんですか?どうぞ」
「だから、
時間は“いいな”だ!どうぞ」
「すみません、私、日本語よくわからない。
時間はいなな?どうぞ」
「おい、お前、さっきまで日本語しゃべってただろ?
時 間 は “い い な”だ!どうぞ」
「難しい日本語はよくわからない。時間?“
イチジカン、ゴセンエン”なら何となくわかる。ワタシ、黄金町でお客さん取っていたよ。ナンバーワン。警察がうるさくなって、堀ノ内に行ったけど、そこもまた摘発されて、仕方なく戻ってきたよ。日本にいた時は辛い時もあったけど、いいこともあった。ワタシも若かったし。でもそれが人生っていうも…」
「おい、いいかげんにしろ!おめーの波瀾万丈な人生論を聞いてるんじゃねーんだよ!こっちは“殺し”の仕事できてるんだよ!こんな寒いところの仕事なんかさっさと終わらせて、日本に戻りたいんだよ!」
「ワタシも“デブ専キラー”で日本に戻ろうかと思っている。昔よりずいぶん太った。今、体重127.5kgあ…」
「うるせー!このクソデブ売女!おめーの先々の計画なんて聞いてないんだよ!それに、そんなに重かったら、ホントに殺しちゃうかもしれんだろ!もうちっと絞れ!いや、つーかおれは!いま、ターゲットを仕留める時間を確認してるんだよ!」
「重すぎるとデブ専ナンバーワンは難しいか。日本人、細かすぎて難しい。その繊細さがトヨタやトウシバを世界一にしたのかもしれない。かと言って痩せるのも恐い。もしかしたら、これがスギヤマ店長の言ってた「幸せ太り」かもしれな…」
「スギヤマ店長って誰だよ!しらねーよ!!おい!ほんとーに頼むわ!
時間は“いいな”?」
「イチジカン、ゴセンエーン」
時間(時報)は
117(いいな)
Y「あのさぁあのさぁ!時報と天気予報の電話番号って紛らわしいじゃーん?いい覚え方教えてやろうか?」
嫁「“
ポッ ポッ ポーン”で、“
1 1 7”って覚えてるよ」
Y「…ふーん」
Posted at 2010/02/02 02:07:00 | |
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