さて、GS450hの試乗レポートです。
平日の午前中に時間を作って
前日の雨で泥だらけのブラアスで
レクサス店へ到着。
…やはり洗ってから行けばよかった(汗
やはりこのディーラー、
行く時の格好も含めて、やっぱ気を使います。
試乗する前にお世話になっている営業さんから
簡単にクルマの説明を。
ハイブリッドではありますが、
スタート時にメーター内の「READY」マークが点くのを確認する以外は
まったく普通のガソリン車と大差ありません。
今回は「バージョンL」ということで
装備は何もかもが至れり尽くせり。
ガソリン車との走行面での大きな違いといえば
GS430にオプションのアクティブスタビライザーサスが
このハイブリッドには標準ということ。(ノーマルではレス仕様あり)
営業さんに「VDIMとの統合制御という事は
メルセデスのSBCのようにブレーキワイヤなの?」と聞くと
メモ欄に控えてました。次回の返答に期待です(苦笑
さて、試乗車はハイブリッド専用カラーである
プレミアムライトブルーという水色。
未来的なイメージはありますが、このセグメントだとやや勇気が必要な色です。
ホイールが専用品になり、所々にハイブリッドのエンブレムが装着されるのが判別点で
普通にパッと見ると、ハイブリッドらしさに欠けるのは残念。
バッテリーの搭載で、トランクスペースは半減。これは致命的。
実用性を考えるとちょっと厳しい…リアのヨーモーメント増大という観点からも
この高い位置にデカいバッテリーを積むのは賛同できません。
バッテリーがニッケル水素からリチウムイオンになれば
フロアに敷ける大きさとなるので、これは今後の技術発展に期待しましょう。
いずれにせよ、プリウスと比べると、まだ発展途上…という感じは否めません。
ドアを開けて乗り込みます。アイポイントの低さが羨ましい(笑
タコメーターがなくパワーメーターに変更になっている点以外は、
ノーマルのGSと大きな差は感じません。
しかし、これは後に営業さんから教えて頂いたのですが、
スタータースイッチに「ENGINE ON/OFF」ではなく
「POWER ON/OFF」と書かれているそうです。
気づきそうで結構気づかない、ハイブリッドらしい演出ですね。
あと、これはGSに共通する美点なのですが
ステアリングの質感が素晴らしい。
試乗車は木目とのコンビステア(約-5万円で木目レス仕様あり。私なら迷わずレスにします)
でしたが、革の質やステッチの編み方の良さはISやクラウンの比ではありません。
ハンドル径もグリップ径も適切で、これだけでも移植したいです(笑
ステアリングコラムの上には、プリクラッシュセーフティの
ドライバーズモニターが装着されています。これは、運転者の視線の向きを読み取り
万一わき見状態で前車と接近すると、通常より早めの制御を行う…というものなのですが
このモニターのおかげで、スピードメーター下のインフォメーションディスプレイが全く見えず。
凄い装備ではありますが、そのスマートとは言い難い見栄えも含め、要改善です。
さて、エンジン始動。
朝一発目、暖気が済んでいない状態だったので
普通にエンジンがかかりました。
条件が整えば、プリウスのように無音でスタートできるそうです。
実際、軽く街中を流して信号待ちした際は、アイドルストップしました。
まず走り始めて感じるのは、その圧倒的な静粛性。
もともとレクサス/トヨタの美点である部分ですが
このハイブリッドは、さすがに別格という印象です。
ややヒューンというモーター音が聞こえますが、全く不快ではありません。
アイドルストップからのエンジン始動も
制御モニターを見ないといつかかったか分かりません。
この辺りの制御の巧みさは、さすがです。
またガソリン仕様のGSはポテンザやアドバンという
ややスポーティ志向のタイアが装着されていますが
このハイブリッドは、BSトゥランザというコンフォート志向のタイアを装着しているので
全域でロードノイズが小さく、非常に好印象を持ちました。
市街地では主に~60km/hのタウンユーススピードですが
乗り心地に全く不快感はありません。40扁平のランフラットながら
適度に硬めで腰のある足、アスリートをさらに上回るボディ剛性感、
「重厚」という言葉が相応しいどっしりとした乗り味です。
ここは、ベース車+190~250kgという重量増が
いい方向に働いているようです。この乗り味の印象は
超高速域でも変わることないものでした。
気になるのは、街中でのブレーキのフィーリング。
ハイブリッドは回生ブレーキを用いてバッテリー充電しますが
ペダルの微調整を含め、一定の制動力を保ちにくい印象。
慣れの問題かもしれませんが、違和感を感じたことは事実です。
また、かなり重めのステアリングと相成って
クルマの動きに機敏さはなく、全体的にもさっとしたハンドリング。
この辺りは、はっきり車重増の影響を感じました。
恐ろしいアンバランスさのハリアーハイブリッドよりは遥かにマトモですが
ハンドリング面で言うと、ハイブリッドの影響は結構大きそうです。
下りのワインディングでは少し大人しく走ったほうが良さそうですね。
しかし、このクルマのメインステージは、高速道路。
ディーラーでの試乗で高速を走るのは、久しぶりです。
まずは往路ということで、合流路ではゆっくりアクセルを踏んでいきます。
基本的に無断変速のCVTと同じような機構を持つので
加速に途切れがなく、とにかくスムーズの一言。
エンジンは違うとは言え、このスルスル~っと伸びる加速感は
どこかで体感したような…そうこれは、まさにあのエクストロイドCVTの加速感に酷似。
しかも、車内は圧倒的な静粛性をキープしたまま、
パワーメーターもまだ5分の1程度だというのに、この速さ!
直進安定性も良く、タイアノイズもアスリートに比べ雲泥の差。
それなのに、前車にあっという間に追いついてしまいます。
しかし、水色のせいなのか…?
前車がなかなか譲ってくれない、というシチュレーションが何度かありました。
やっぱり、ここは、ブラックのほうがいいのかな?(笑
前が開けて、ここでハーフスロットル。
100km/h+α状態からの、追い越し加速というイメージです。
パワーメーターは半分程度。しかし、その加速感は
まさに「爆発的!」と呼ぶに相応しいものです。
しかも依然、車内は静かなまま。それなのに、まるでタコメーターのように
スピードメーターの針が上昇する速さ…まさに驚異的。
思わず「おおぉぉ~」っと声を上げてしまいました。
こんなに速く、しかも静かなセダン…今まで乗ったことありません。
ここで往路終了。一旦高速を降り、再びすぐ復路へ。
料金所からの合流、前後にちょうどクルマがいなかったので
ここでフルスロットルの加速を試みました。
パワーメーターも振り切り、ちょうどフルパワーといった状態です。
ちょっと、この加速は、異次元の領域!
おぉ~凄いなぁ~なんて言ってる間に、スピードメーターはすぐにその仕事を放棄しました。
しかし、この状態でのフルスロットルの加速では
アクセルONにやや遅れてエンジンが「ビ~ン!」と唸りを上げる感じで
決してサウンドも良くなく、はっきり言ってやや興ざめの加速フィール。
もっとも驚異的な速さである事は間違いないのですが
今まで圧倒的な静粛性を保っていただけに、少し残念。
インパクトで言えば、先ほどの100km/hからのハーフスロットルでの加速…といった
モーターとエンジンを上手く合わせた状態での加速のほうが印象的でした。
ちなみに、この試乗車の通算燃費は8.2km/L。
皆さん相当踏まれているという最悪に近いコンディションで言うと
なかなか優秀な成績…とは言え、この魔力的で病みつきになる加速感を一度味わうと、
高速ステージでのハイブリッドの燃費のアドバンテージは、小さそうです(苦笑
ちなみに、この加速では、そんじょそこらのクルマに負ける事はまずないでしょうが
バッテリーの容量からして、この電気ターボ(?)の効果は一時的なもの。
超高速でのバトルをする際は、注意が必要です。最も、お勧めしませんが(爆
試乗終了後は、思わず、見積書を頼んでしまいました。
が、高い…やはり高い…。やはり具体的となるとISのほうですかね。
これから、高速走る時、後方からGSが近づいてくるのに気をつけます(笑
パワー優先のハイブリッド…燃費を第2に考えるという
いかにもUS仕様を意識した、20世紀的、本末転倒な発想だと思っていましたが
一度乗ってしまうと、その説得力には大きなものがありました。
V6とV8という差はあるものの、これではGS430の存在意義が
全くなくなったように思います…それが例え、GS460となったとしても…。
Lフィネスなど、いろいろ言葉を並び連ねて語られるよりも、
たった1度このハイブリッドに乗るだけで、レクサスらしさを存分に感じました。
レクサスのブランド性というものが、これに乗って、ようやく見え始めた…
これが、今回の試乗を通しての率直な感想です。