旧Ｎジャン邸との別れ

移り住んだのは４年前。
築３０年の旧Ｎジャン邸。

女房殿の親戚の伝を辿って住み始めた。
「あんたっち住んでいいよ。好きにしていいから。」
夢が広がった。
アパート時代に比べ楽器は出来るし自分の部屋を持つことが出来たし、何しろ隣を気にしないで済む。

４年前の丁度今頃、汚れた壁をペンキで塗った。
風呂場のカビをカビキラーと洗浄ガンを借りて取り除いた。
雨漏りが激しく屋根に登った。
初めて「しっくい」を盛った。
穴をパテで埋めた。

あれやこれや自らの手でＤＩＹ。

水周りや電気がイカれて手痛い出費もあった。
害虫との格闘もあった。

それでも楽しかった。
ボロ屋敷だったけどＮジャンの家だった。

ところが事態は一転。
この場所に持ち主の娘夫婦が家を建てるらしい。
事実上の立ち退きだった。

立場上、わかっているので出て行くしかない。
「お貸ししていただき、ありがとうございました。」と素直に言える。

あの家からもう人の気配は無くなった。
もうじき取り壊される。

次女誕生。
女房殿の入院。
長女のわがまま。

思い出は心の中に・・・・・