波乱のミッションO/H顛末記 2日目:Confuse&Confrict
1
はい、早速何かやらかしましたねw
カラーか何かに見えますが…
事の真相は次の通り。
1:フィラー堅ぇ、緩まねぇ。
2:ぐぬぬ…
3:ぬるり。
4:ナ メ た わ 、 盛 大 に し で か し た わ !
5:トーチなんて上等なもんはないのでジェットライターで炙る、が、駄目ッッ!(立木
6:ドリルで攫って肉を薄くしよう。
7:ドリル10mmまでしかねぇ。(フィラーは14mmくらい)
8:エキストラクターなんて上等なもんはないので(またか)、タップ立てて裏からボルト締め込んでやんよ。(裏から見れば逆ネジだから)
9:長いカラーが要るわ(ケースの凹凸と干渉)、ねーわそんなもん。
10:ケースの損傷覚悟で鉄鋸で一部を切断して、とにかく炙る炙る炙る炙る炙る!!!!
11:姦通♂ドライバーで溝をぎゅうううううううううううううううう!!!!ぬるぽ。
12:外れたああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!
これだけのために午前中全部使いました、馬鹿じゃねーの。
2
組み換えは簡単ですが、工数が多くて面倒です。
逆の事をやっていくだけなのですが。
5速周りのスナップリング、またカシメのロックボルトが主な再使用不可部品となっています。
使ったけどな。
てか、既に再使用された形跡があるじゃねーか(一回シール交換に出してる)
もし、他人の車を見る事になればこんな事はしません、きっちりと部品を取ってから作業に入ります。
再使用不可である事には理由があるのです。
例えば、プリコートボルトという部品がありますが、これはネジロック剤(ロックタイトみたいなもの)が予め塗布されたものです。
当然、再使用時にはネジロックは機能しなくなるワケです。
また、締め付けトルクによっては伸びてしまい次回の使用時に最悪折れる可能性がある。
これが再使用不可の理由です。
いつ必要になるか分からないので、自分はロックタイト(263)を車に常備しています。
ある程度の残留油分にも対応できるものなので、今回のような事にも使えます。
とは言え、脱脂は基本なので出来る限りしっかり行いましょう。
そして、再使用不可部品はサービスマニュアルに記載されていますので、予め用意しておきましょう。
(これが一番安全だしねw)
灯油でケース内部を拭き取り、フィラーを浚う作業で発生した切粉を除去しました。
粉塵の回収は磁石があれば一発です、灯油を張った槽にドブ漬けすれば、焦げ付きもスッキリ!
思ったよりオイル焼けがあってゲンナリした。
あとは逆の手順で組み上げるだけ。
キーポイントは、カウンターのアウターレースとシムを忘れずに移植する事。
これをやらないと、カウンターのクリアランスがメチャクチャになり、最悪即時ブローです。
こういった可動部品は円滑な動作のためにバックラッシュ(間隙)を設けるのが普通ですが、大きすぎても小さすぎてもいけません。
小さすぎれば熱膨張でクリアランスが詰まりすぎ、大きすぎればガタが生じて摩耗が加速します。
いずれも、焼き付きや摩滅といった結果に繋がるので重要です。
本来であれば、デブスゲージ等の精密測定器で測定しなければいけませんが、セットで使用している限りは問題にならないようなのでそのままです。
資料を見る限りでは、ケースの寸法で位置決めをしているようなのでそう判断しました。
個体差はカウンターへのギヤの圧入具合等で発生してくるようです。
しつこいようですが、測定時や組み付け時の脱脂はしっかりしましょう。
油膜の厚みは馬鹿にできません、固い油だと100分台のオーダーで狂いが生じます。
ミッションならばまだしも、エンジンでは100分台の差が非常に大きな差になってしまいます。
普段から癖にすると良いでしょう。
組み付け時には、褶動面にグリスを塗布するように指示があります。
自分は、耐熱性、耐圧性に優れたウレアグリースを使用しています。
ゴムへの影響が未知数なので、真似しない方が良いでしょうw
ちなみに、モリブデングリスは樹脂やゴムを摩耗させる場合があるので、使用しない方が得策だと思います。
一度、ミッションに添加した事がありますが、インプッシャフトシールをやっつけました。
そう考えると、モリブデングリスの出番というのはかなり限られてきますね。
よほどの事がなければ、スズキのスーパーグリスと同じリチウムグリスの使用をお勧めします。
ガスケットにはスリーボンドの1217が指定されていますが、手元になかったので1209を使用。
耐熱性に優れているので、エンジン周りによく使われるようです。
こいつを多めに塗り込めて組み上げました。
オイルラインでテストしていますが、多少油分が残っていたにも関わらず、漏れも滲みもなく、しっかりシールしています。
ミッションオイルの与える影響はわかりませんが、おそらく大丈夫かと。
ここでひとつ注意、使用してはいけないガスケットがあります。
そう、脱オキシム系ガスケットです。
液体ガスケットは、反応形態として脱アセトン、脱オキシムに二分されます。
厄介なのが後者で、近傍にある銅合金を腐食させてしまいます。
すぐに思いつくのがシンクロ、あれは真鍮ですので銅合金です。
その他、褶動面に軸受として使われている可能性があります、エンジンの軸受メタルも同じですね。
軸受の存在する閉鎖空間では、必ず脱アセトンのタイプを使用しましょう、消耗が早まる危険があります。
3
搭載している最中の写真はありませんが、必死でした。文字通りの意味で。
最初、下に潜って自力で持ち上げようとしましたが、人間のトルク不足で無理w
やむなく、上から腕で持ち上げようとするも、やはりトルク不足(貧弱
1回、結構な勢いで落としたところで方針変更←馬鹿
結局はロープをコアサポートに括りつけてケツを吊り、ジャッキで上げる作戦。
慎重にジャッキアップしつつ、徐々に縮めていけば…
~5時間後~
うーん、ベルハウジングには一応ボルトが通るくらいまで隙間を縮めたんだけど、トランスファーが入っていかない…
原因はスプラインが勘合してなかった事と、トランスファーが斜めになって動かなくなっていた事。
解決策としては、ハブとトランスファーを同一線上に持ってくる事。
トランスファーの傾きがなくなったところで、テンションを掛けながらハブを回す。
「ゴトッ」という音がして、隙間が一気に詰まった。
無理やり締め込んだら大変な事になってたところだ、危ない危ない。
ZC11Sでは、インターイミディエイトシャフト(エクステのようなもの)が飛び出ていて、こいつのスプラインをデフに直接はめ込むだけ。
そいつはエンジンにくっつけっぱなしにしておけば大丈夫っぽいけれど、今回は駄目。
ZD11Sではトランスファーとエンジンの結合を完全に切らないと、降ろす事もままならない。
シャフトが2重になっている感じで、中空のボスの中をシャフトが通っています。
外側がリアへの動力、内側がRドラシャに行くようになります。
これをいずれも嵌めこまないといけない点が一番大変。
降ろすよりも積む時がキツかったかもなぁ、なかなか合わないんだもん。
ミッションジャッキとリフトの合わせ技なら簡単なんだろうなぁ…
マジで2柱リフトでいいから欲しい、心からそう思った。
そして、実時間で2日半の格闘の末、ようやく完成!!
あとはガスケットの乾燥を待つ必要があるので一晩置いておく。
翌日の試運転の結果、無事動いた!よかった!
久々の高揚感、そして達成感。
大変な作業だったが、充実した2日間でもあった。
4
~おまけ~
取り外したインプット、カウンターを観察してみました。
外面をパッと見ただけでは一見何でもありません、しかし…
5
あれ?
って、えええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!111111
これおかしいだろ、シンクロ行方不明。
これが不調だった3速と4速になりますが、明らかに異常事態です。
3速(左)は段付きを起こしていますが(正常でした)、本来は高い方まで無いといけないのです。(誤解)
4速(右)に至っては、シンクロの褶動部が完全に消滅しています。(これも誤解でした)
これじゃギヤも入らないしシフトレバーもガタガタするワケだ。
歯飛びや欠けが全く見られなかったのは奇跡としか言いようがない。
原因はおそらくシフトケーブルの異常かと。
以前、高ナットを使った底上げをしていたのですが、シフトが異常に渋くなる事が多くなってやめました。
しかし時既に遅し、このような惨状にハッテンしてしまったというワケですね。
6
4速の拡大です。
シンクロが削られた結果、3速のそれに比べて肩が鋭利になっています。
かつて、シンクロがそこに存在していた事の証明ですw
(肩はこれで正常、先端が摩耗してる)
これらのギヤ、シンクロ機構はニードルベアリングによって支持されていますが、強度が足りず、割と頻繁ににブローするようです。
自分の場合ですが、まずはシフトチェンジが異常な程重くなりました。
続いて、ダブルクラッチをしてもギヤ鳴きして入らなくなります。
この時点で、4速のシンクロは既に無かったのかもしれませんね。
影響が3、4速のみに現れたのは、おそらくベアリングのブローだと思われますが、プーラーが無いのでこれ以上は分解できません。
自分の場合はLSDもなく、加給もしていないのでこの程度で済んだのでしょう。
【追記】
形状は元々こうだったようですw
あのシフトの重さと入らなさはベアリングが原因だとは思うけれど。
よく見たらリングとギヤの隙間カツカツじゃん、リングが摩耗したのかw
色々と可能性を精査した結果、こちらには異常なし?
7
よくよく観察していると、異常磨耗発見!
4速のカウンターですが、欠けこそないものの、変なアタリがついてしまっています。
3速も同じような事になっていたので、相当な負荷が掛かったものと思われます。
【追記】
これは推論ですが、インプットのベアリングの摩耗によるバックラッシュ過大が原因ではないかと考えました。
シンクロの摩耗度合いから見ても、シンクロに直接起因する現象であるとは考えにくいのです。
使用頻度が違うのに、同時に壊れる事はあまりありませんし。
シフトノブ振動の発生条件も理由のひとつです。
これはアクセルONの時に振動が顕著に現れますが、カウンターの動きがシフトフォークを伝わってきた結果だと思われます。
更に、その現象が3、4速でしか発生していない事が一番の決め手です。
各シャフトはベアリングで支持されていますが、バックラッシュ過大になれば力の掛かった方向に大きく動くようになってしまいます。
ニュートラル時、インプットから「カラカラ」という音が出ていた事から、インプット側に異常があった事が想像できます。
結果として歯当たりに異常が起き、カウンターギヤがこのように摩耗してしまったのだと思います。
今回はこの線で決着でしょうか。
今回は、とにかく大変な作業でした。
言える事はひとつ、自宅でやる事ではないw
途中、身内が廃油受けをひっくり返して惨劇になったりもしました。
整備絡みの仕事をしていればやる事もあるでしょうが、4WDは出来るなら御免被りたいですねw
しかし、非常に有益な学習になった事も確かです。
自力で全ての作業を完結させた事に意味があるのだと思います。
人に頼らなくて本当に良かった、もし助けを求めたら、口だけ野郎のレッテルを貼られたままだったでしょう。
こうして身についた技術は一生ものの資産、大切にしたいものです。
8
【後日談】
GulfのProGuard 75w-90を入れて慣らしスタート。
かなり大きなギヤノイズがする、レーシングカーのドグミッションのようだw
ヤル気にさせるが、これまでにない音がするだけにかなり不安だった。
4/6
3000km程度走行の後、初回のオイル交換。
オイルは量販店で簡単に手に入る、BPのSuperGear 75w-90。
そして、抜いてみてびっくり、75w-90ってこんなにシャバシャバだっけ…?
しかもwwwっうぇwwwwオイル真っ黒wwwそしてなんぞこの破片wwwww
塑性変形で発生したバリでしょうが、四角い破片がマグネットにこんもりと付着していました。
大きさは最大で2mm^2程度で厚みは1mmは無く、さほど大きいものではありませんでした。
慣らしが上手く行っていると、細長い薄片が出るらしいという話は聞いていたのですが、これはどうなんだろう…
まぁ、ファイナルだから速度を出しすぎなければ壊れないだろうという事で慣らし続行、適当やなw
4/23
オイル交換2回目、今回のオイルはValvoline HP Gear 75w-90。
粘度指数は154と並程度ですが、舶来モノ(76 SMO)の性能に惚れ込んだのでミッションにも、とw
鉄粉はだいぶ減ってきて、マグネットに細かいものがそこそこ付着している程度。
オイル自体も鉄粉で少し濁っている程度で、真っ黒に変色しているという事はありませんでした。
大きな破片が出なくなった辺り、バリは粗方飛んだのかな。
これでもう3000kmも走れば慣らし完了でしょうか。
ここまで慣らしをやってきて、運動性能が見違えて良くなっている事に気づきました。
走るほどに加速も燃費も伸びるようになってきて、非常に気持ちよかったです。
やはりブロー寸前だったのか、どこかでかなりの抵抗が生じていたようですね。
速度が伸びないのはエンジンのせいかと思っていましたが、全くの見当違いだったようですw
これまでの情報を総合してみると、この車のミッションはインプットが特に弱いな、と感じました。
特に、今回のトラブルに関しては、メタルクラッチにしたせいで瞬間的な高トルクがインプットに掛かるようになっていた事が大きいと思います。
例えるならインパクトレンチのアレです、バックラッシュを持つ部分にとって非常に良くない事がお分かりになるとおもいますw
この車のメタルクラッチは非常にジャダーが出やすく、煽ってやらないと上手く繋がりません。
言うなれば上級者向け、シチュエーションによっては超越者向けですw
クラッチ操作を極力丁寧にするよう心がければ、ミッションの寿命も延ばせそうですね。
あまり関係ありませんが、今度はデフサイドシールが抜けてきましたw
おかしいなぁ、ミッションのやつは交換したばかりだったはずだけど…
リアデフと合わせて交換する事になると思いますので、また記事を起こします。
関連パーツレビュー
[PR]Yahoo!ショッピング
[PR]Yahoo!オークション
タグ
関連コンテンツ( オーバーホール の関連コンテンツ )
関連整備ピックアップ
関連リンク