バックストーリー
気づかぬうちに「バタバタ」と呼ばれた原付やスクーターが街から姿を消していた。
ホンダのカブが出現したからだ。
それはモペットやスクーターの革命だった。
それまでに無かったスタイルと高性能で、カブは街の働き者として
風景の中に同化していった。
昭和33年の登場から8年目の昭和41年、原付カブはOHCエンジンとなって、現在へと続くベストセラーの地位を
確立する。
当たり前過ぎてその存在に注意を払わなかった僕だったけれど、
蕎麦屋「蔵乃家」の出前のカブだけは直ぐに分かった。
4スト特有のブーンというエンジン音を響かせて、路地を曲がってやってくる慣れ親しんだあの音。
腹ぺこな健康優良児のような僕が待ちわびている「焼豚丼」を
運んでくるあの音だ。
汁をこぼさない出前の若い衆は偉い、父は良くそう言ったものだ。
でもそれはカブのおかげなのだと僕は今でも思っている。
Posted at 2006/01/30 20:12:50 | |
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