本屋に行けば山海堂のサスペンションのような専門的な解説書もあるので、さらに突っ込んだ内容を知りたい場合はそちらに譲るが、
ウィキペディアにはこう書かれている。
基本的には4リンク以上とされているが厳密な定義は無いが、マルチリンクサスと言えばメルセデスベンツが最初に最初に採用した5リンク式が一般的であるため、これを基本として話を進めたい。
カタログなどでも、サスペンション部分の写真が掲載されているし、ショールームでもちょっと寝ころんでリアから除くと良く構造がわかるように、マルチリンクサスペンションの構造は思ったよりも単純だ。
車体から伸びた5本のリンクによりハブを別々に保持しているだけなので、ハブに力が加わった時にこのリンクにそれぞれどんな力が働くかを考えると基本となる特性が見えてくる。
手元にある車のカタログや、ネット上の写真を見るとマルチリンクサスをもう少し良く観察すると、5本のリンクはハブを挟んで上側に2本、下側に3本あると思う。
上側のリンクを車体前方から順番に
1.通称:アッパースラストロッド(正式名称:スプリングストラット)
2.通称=正式名称:キャンバーストラット
下側のリンクを車体前方から順番に
3.通称:ロワースラストロッド(正式名称:プッシングストラット)
4.通称:タイロッド(正式名称:トラックロッド)
5.通称:ロワアーム(正式名称:スプリングリンク)
と言う。
この名称も役割を表している。伸びの力か、縮みの力か、ロッド(棒)、リンク(連接棒)、ストラット(支柱、突っ張り)など。
実車にてマルチリンクサスをよく見ると、アームの厚みも異なり、応力によるたわみを許容したリンクや、圧縮方向の力には弱いが、引っ張り方向の力に強い物とかあることがわかる。
特に、4.通称:タイロッド(正式名称:トラックロッド)は他のリンクに比べて弱そうで、前後方向や圧縮に対しては撓みそうだし、取り付けられた方向を見ると引っ張りのためにあると想像出来る。
そうすると、マルチリンクは分割したアッパーアームとロワアームによるダブルウィッシュボーンの変形バージョンかと考えられる。
実際にそうした記述も多く見られるが、それはこのサス構造の本質ではなく単純化した動きの理解でしかない。
その証拠に上側の2本のアームはその取り付け向きからアッパーアームの働きではなく、仮想支持点を外に設定すると共にハブの動きをコンプライアンスする物だとわかる。
こう考えると、マルチリンクサスの本質は、3.通称:ロワースラストロッド(正式名称:プッシングストラット)と5.通称:ロワアーム(正式名称:スプリングリンク)を台形のロワアームとして、バネ・ダンパーで支持するストラットサスだと見えてくる。
Posted at 2007/06/26 21:52:02 | |
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