「AH-D5000」の女房役となる中古のヘッドホンアンプを入手しました。東京サウンド株式会社の「ValveX-SE」です。こいつは双三極真空管プッシュプル方式を採用した〝真空管ヘッドホンアンプ〟で、使用真空管は「12AU7」が2本です。
◆機種選択の条件
①予算5万円以内(当然安ければ安いほど良し)
②ラックのスペースに収まる大きさ
③出来るだけ癖の無いフラットな音質
④DAC機能等の無いシンプルな仕様
⑤出来れば新品
中古のため⑤の条件はクリアしてませんが届いた品物は新品並みの美品で、おまけに前オーナーさんが予備の真空管(SYLVANIA)を2本付けてくださいました。何よりも最も重要な条件である予算を大幅に下回ることができ満足です。
で、音の第一印象は〝押し出しの強い迫力のある音〟で、プレーヤーのヘッドホンジャック直で聴く音とは次元の違う音でした。ヘッドホンアンプもヘッドホンも一つずつしか所有していないため、他機種との比較はする術もありませんが私の簡単な感想をちょこっとだけ。
◆使用機材
①ヘッドホンアンプ:SOUND ValveX-SE
②ヘッドホン:DENON AH-D5000
③プレーヤー:PIONEER DV-AX5AVi
プレーヤーの「DV-AX5AVi」はフラットな特性で、透明度の高いすっきり系の音色です。ユニバーサルプレーヤーですがCD再生能力はエントリークラスのCDプレーヤー並みと評価します。
◆検証用CD
①Alison Krauss / Live [SACD]
②Celine Dion / All the Way: A Decade of Song [SACD]
③Diana Krall / When I Look in Your Eyes [SACD]
④Dire Straits / Brothers in Arms [SACD]
⑤Yes / Fragile [MFSL盤]
全体的な傾向としては中低域寄りの厚みがある音です。中低域寄りと書きましたが決して高音が出ていないわけではなく、かなり高い音まで緻密に再現されています。ハイハットの音が全く潰れることなくクリアに再生されているのには感心しました。
ボーカルについては男性、女性問わず申し分のない音質です。特に「サ行」、「タ行」の処理は絶妙で、刺激的な音を出すことはほとんどありません。ただ、これは個人的な好みなのですが女性ボーカルにもう少し艶が欲しいと感じました。肉声に近いリアルな音質で、実はこれが正しい音なのかも知れませんが、私の好みとしてはあと少しだけウエットな感じが欲しいところです。しかしながらボーカル物については全般的に得意なジャンルであると思われます。
最も得意なのはアコースティック系の弦楽器です。アリソン・クラウスのライブ盤でのマンドリンやアコースティック・ギターの響きは絶品です。ジャズも大丈夫ですがピアノの音にはもう少しクリアさが欲しいと感じました。
厚みがありながら適度に締まった低音により、ロックも無難にこなします。イエスの『こわれもの』ではリズム隊(クリス・スクワイア、ビル・ブラフォード)の演奏の素晴らしさを再認識しました。
ただ、エネルギーと迫力は充分感じられるものの、スピードと躍動感が若干不足しているように感じました。これは全般的に音の立ち上がりがやや遅いのが原因だと思います。
低音についてはもう一つ気になる点がありました。とても質の高い低音なのですが、ベースの最も低い音だけ急に安っぽく割れた音になってしまいます。この原因が「ValveX-SE」にあるのか「AH-D5000」にあるのか、それとも録音自体が原因なのかは現時点では不明です。
「ValveX-SE」の感想をダラダラと書いてきましたが、これらの特徴は「ValveX-SE」よりもむしろ「AH-D5000」に支配されているように思われます。まあ、少なくとも両機器の相性は悪くなさそうですし、音もかなり気に入ってます。
真空管アンプの面白い点は真空管を別の物に差し替えることで音の傾向がかなり変わるところです。しばらく今のままで使うつもりですが、徐々により自分好みの音に近づけて行きたいと思います。
それと「AH-D5000」と傾向の違うヘッドホンが最低もう一本は欲しいですね。
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Posted at
2008/08/30 02:42:23