ヘッドランプの明るさの「質」が問われるようになった現代。流れはキセノンからLEDへと歩を進めようとしている様だが、振り返ってみると、実に多くの変化に富んだヘッドランプが表れてきた。
シールドランプからハロゲンランプへの変遷に於いては、封入されるガス以外にも合わせてレンズカットが大きく変わった。
そんな中に登場したのが、プロジェクターヘッドランプだ。
限られた光源を有効利用するために、端的に言えば、基本的にレンズカットに頼らず、シェードと一枚のレンズのみによって、光を制御しようとしたものだ。
プロジェクターだけでは手前の明るさが不足するために、リフレクター下部に扇型の開口部を設け、バルブの光源を手前に拡散させている BMW E30。俗に「髭付」と呼ばれている。
当初は、車両手前の明るさが不足するために、プロジェクターの下部に開口部を設け、そこからバルブの光を導き、手前にその光を拡散させ、明るさ不足を補っていた。
だんだんと、解析技術も進み、そうした、二次的な光源や、サブリフレクターも無くなってきて、現在の形に進化したのだが、国産車では1987年のR31スカイラインが最初だったと記憶している。
上下に薄いレンズに埋め込まれたプロジェクター。記憶では、見る角度や距離で、プロジェクターがオレンヂや黄色にも見えていた。
有効利用という点では、プロジェクターヘッドランプが有効だが、デザイン的に制約が多く、特に初期のBMW E30 では、通常の丸型ヘッドランプに埋め込まれるといった工夫がされていたが、従来のヘッドランプに於いて、デザイン性にも配慮したレンズカットを持った、光量アップのヘッドランプの開発も続けられていた。
バルブのワット数を上げれば、簡単に光量の増加は簡単だが、消費電力が上がったり、発熱の問題からモータースポーツなどでは、ワット数の増大は盛んに行われたが、一般車では普及しなかった。
限られたバッテリーの容量から、より明るいヘッドランプを求めて、80年代からコンピューターの進化によって、光の解析が大きく進み、リフレクターの改良がおこなわれた。
下方への光を制御して、それまで遮光していた光を使い光量を向上させたCSRヘッドランプ。
それまで、バルブから発せられた光が、バルブ背後のリフレクターで反射した際に、上方へ反射してしまうので遮光されていたのを、リフレクターの形状を見直し、反射光を上方へ行かない様に制御し、光量を上げたのが、CSRヘッドランプだ。
さらに、それを推し進めて、レンズカットに頼らず、リフレクターのみで光を制御する、
バルブの光を制御するレンズカットは、逆に光を減衰してしまう弊害もあった。そこでレンズカットに頼らない、リフレクターのみで光束を制御しバルブの光を最大限に利用したマルチリフレクターが登場。
「マルチリフレクター」が登場して、これまでと同じバルブでも、より明るいヘッドランプが多く見られるようになった。
プロジェクターヘッドランプ、CSR、マルチリフレクターと言ったヴァリエーションが増えたことによって、それぞれの形状や特性を生かしたデザインによって、夜間の走行性の向上と共に、デザインの選択肢も増え、まさに機能性とファッション性の両立が進んだが、さらに、バルブの配置や、アクリルの導光性を利用した付加光源、例えばBMWの「エンジェルアイ」などによって、さらなるヘッドランプのデザイン性が向上してきた。
そんな中、さらに新しい光源として注目されてきた LED を駆使して、個性を発揮させてきたのが近年のアウディという次第なのだ。
Posted at 2011/09/04 08:42:44 | |
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