モデルチェンジはできない・・・と言われたZだが、その難関を突破して誕生したのがセカンドジェネレーションS130Zだ。
苦戦が予想されていたが、フタを開ければ爆発的な売れ行きを示し、日本でも79年には年間「18,000台」も売れたのだ!!
そんな売れ行きを示していたS130Zだが、そのオーナーやライヴァル達から異口同音言われ続けていたのが「アンダーパワー」、「走らない」という言葉だった。。。
当時の2Lのパワーソースは、長らく日産の主力機関として君臨していた「L20E」であった。
最高出力130PS、最大トルク17Kg-mという今から見れば1.6Lや1.8Lのエンヂンでも十分に達成されるささやかなものだった。
タイアでさえ、扁平率の低いモノが使えず、280Z-Tでさえ「195/70SR-14」という今の軽自動車並みのサイズのタイアが履かされていた。
ただブランドには拘っていて、当時の日産車のスポーツモデルが好んで履いていた「ミシュランXVS」がS130Zにも奢られていた。このタイアは当時としては画期的な非対称パターンを採用していて、ミシュランの独壇場だった真円度の高さも相まって70%プロフィールでありながらそこそこの性能を発揮していた。
カタログの説明文に「放送禁止用語」が入っている事は、今からみると面白いものだ。(閑話休題)
ツィンキャムや新しいパワーソースを持っていない日産にとって、Zを輝き続けさせるには、並大抵の努力では達する事ではなかった。
次々と現われるライヴァルに追われる様にS130Zは細かいマイナーを続けていた。
最初のマイナーチェンジは、登場から二年後の80年3月に行われた。
「マンハッタンカラー」と呼ばれるツゥートンをリリースし、2Lモデルは加速性能を中心としてギヤリングのローギヤ化、さらには細かいエンヂン制御をおこなう「ECCS」を採用した。
(画像は後期モデル)
さらにS130Zを印象付けた装備もこの時に追加されたのだ。それが「Tバールフ」だ!
オープンモデルは対候性や防犯性、快適性でなかなか受け入れられない時流であった。さらに一段と厳しさを増した北米の安全基準では、当時の技術ではオープン構造ではクリアーできなかった・・・という事情もあったが、しかしオープンエアーモータリングを楽しみたい・・という要請もあり、そこで登場したのがこの「Tバールーフ」だった。
最近のクルマであっても、サンルーフ如きを装着しただけで、ボディ剛性が落ちるのをハッキリと感じるものなのだが、このS130Zの「Tバールーフ」は、剛性を確保する為に、ダブリュボックス構造と呼ばれる独特なボディ構造を日産が編み出し、楽勝で北米の安全基準の「ロールオヴァーテスト(転倒試験)」をクリアーさせた。
「Tバールーフ」の登場は、当時の日産のZにかける、意気込みとか気迫を感じさせる逸話でもある。
このマイナーチェンジによって、S130Zの人気は再び蘇ったが、日産はS130Zへの情熱をさらに燃やし続けた。
翌年81年10月には、さらに大きなマイナーチェンジを敢行してライヴァルの突き放しを図った!!
外観的にはバンパーの形状の見直し、リヤテールランプのデザインの見直しなどの大掛かりなもを始め多枝に渡った。
その中で大いに注目されたのが、ボンネット上に燦然と刻まれた「NACAダクト」の存在だ。
もともと輸出仕様の280ZX-TURBOの、ターボチャージャーの冷却用に採用されていた「NACAダクト」を国内仕様全車に採用したのだが、当時の僕たちにとってこの「NACAダクト」の存在はまさに憧れの対象でもあった。
この「NACAダクト」だが、NASAの前身である、NACA (航空諮問委員会: National Advisory Committee for Aeronautics)が考案した空気抵抗を増やさずに効率よく空気を取り入れることの出来るダクト形状の事を指し示すものなのだが、従来のボディより出っ張りを儲け、その空気抵抗によって空気を取り入れるものと違って、ボディより出っ張る事無く、空気取り入れ口をボディと同一面に取り付けながら、入り口が狭く徐々に広がるような形状を形作る事によって、渦を発生させ、その負圧によって効率よく空気を引き込む仕組みになっているものだ。
それまで一部のスーパーカーなどに見られたダクト形状であったが、まさか国産車にそれが採用されるとは誰も想像できなかったのである。
その最先端の空力パーツをまとって登場したのだから、ますます注目度が上がって行ったのは言うまでも無い。
ギヤリングの見直しや、エンヂン制御の高度化、さらに装備の充実などで人気を維持していったS130Zも、さらなるライヴァル達の登場でモワパワーの要求が強まっていった。
そしてついに望みにのぞんだ、あのエンヂンがS130にも搭載されることになったのだが。。それはZ31にモデルチェンジする一年前という瀬戸際でもあった。
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Posted at 2007/02/24 22:33:01 | |
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