前回吸気ダクトとエアクリボックスの断熱加工を行いましたので、その後効果が出たか実験してみます。見た目だけはかなり派手なんですけどね。見た目は。
吸気系統のほぼ全体に断熱材と、反射用のアルミを施工しているので、瞬間的な加熱に対してはかなり効果があると思いますが、エンジンルーム内部の話なので瞬間的ではなく、継続的に加熱されます。ですので結局の所、劇的な違いはないかもしれません。見た目は派手なんですけどね!
完全暖気後の水温も安定、エンジンルーム内部も60~70℃程度に暖まった状態でテストです。
気象条件は夜間の晴天、外気温20.0℃~21.5℃です。
測定では写真ではなく、数値を読み上げて動画で記録するスタイルに変更したので、写真は残っておりません。昔Xファイルでモルダー捜査官だかがやってたあんな感じです。
①街乗り走行中
<結果>
外気温:21.5℃
吸気温度:22.9℃ (+1.4)
ダクト外部温度:左 59.3℃(+37.8) / 右 64.1℃(+25.6)
ダクト内部温度:左 36.2℃(+14.7) / 右 39.5℃(+18.0)
信号から信号までの走行中の数値です。断熱前に比べて5~10℃くらいは下がったのかな?という体感ですが、信号で止まったらやっぱりジリジリと上昇して行きます。信号待ちで上昇した温度が、走行時に冷却されるのが速くなった感じがします。エンジンルーム内部からの熱を抑えて、吸気で冷え易くなった感じですね。正直言うと、眼を見張るほどは差が出ていません。
②街乗り信号待ち
<結果>
外気温:21.5℃
吸気温度:29.8℃ (+8.3)
ダクト外部温度:左 56.4℃(+34.9) / 右 68.5℃(+47.0)
ダクト内部温度:左 37.2℃(+15.7) / 右 47.1℃(+25.6)
信号待ちで上昇していくのは、断熱してもしなくてもやっぱり一緒です。吸気口を移設するなり、ラジエーターとの間に遮熱板を設けるなりしないと根本的には解決しなさそうです。
ダクト内部温度において、断熱前と比較して左側で5℃程度、右側で10℃程度の差があります。断熱の効果は出ていますが、正直言うとあれだけ派手に加工しておいてその程度ではあります。吸気温度がジリジリと上がるので、結局温度が上昇するのは一緒で、それが少しマシになった感じです。
一般的な信号待ちでの測定値ですが、これが長い信号になればもちろんコレ以上の数字になります。
更に言うと、停車して長時間アイドリング待機状態であれば、最終的な到達温度は断熱前の測定値とほぼ同じ数字になります。
③高速道路巡航 80km/h
外気温:20.5℃
吸気温度:21.1℃ (+0.6)
ダクト外部温度:左 60.8℃(+40.3) / 右 56.8℃(+36.3)
ダクト内部温度:左 25.4℃(+4.9) / 右 28.8℃(+8.3)
前回とほぼ似たような条件ですが、吸気ダクト外部温度は似たような状況で、内部温度において3~5℃程度の温度低下が確認できました。速度域でいうと、断熱前ではこれより+30~80km/hあたりでの吸気温度をこの速度域で出しております。吸った空気がダクトとエアクリ内部で加熱されるのが抑えられている様です。
効果として、高速に入ってからダクト内部の温度が速く冷却されるようになった事と、巡航時の吸気温度改善ですね。ですが、こんだけやっても10℃も変わらないという事も事実です。
④高速道路巡航 100km/hちょっと
吸気温度:20.8℃ (+0.3)
ダクト外部温度:左 61.2℃(+40.7) / 右 48.9℃(+28.4)
ダクト内部温度:左 24.3℃(+3.8) / 右 26.8℃(+6.3)
③に比べて1~2℃程度下がっています。吸気口で加熱されにくく、ダクト内部の空気の流れが増えるほど、ダクト内部がより冷えるというある意味当然の結果です。断熱前に比べて、やはり+20~60km/hあたりの数字が出ているので、断熱した意味はあるようです。
⑤エンジンを切った時にどうなるか。
数値として残していなかったので、データにはなりませんが、断熱をしたらメリットだけあるかというと、世の中そううまくは行きません。断熱材の役割は物を冷やすのではなく、あくまでも「断熱」になりますので、ちょっと状況が変われば「冷却」どころか「保温」してくれます。
アイドリング状態で手を吸気口にあてがうと分かりますが、アイドリング状態では空気なんて殆ど吸いません。ですので、ダクト内部はなかなか冷えません。そして、その状態でエンジンを切るとどうなるかというと、エンジンルーム内部は時間経過で自然に冷却されていきますが、断熱加工した吸気系統内部においては、内部の暖まった空気を保温してしまいます。その為、駐車後暫く経った状態において、ダクト内部の方がエンジンルームより高温になるという事態が発生します。
もちろん、走行すると今度は断熱加工前に比べて、内部が速く冷却されるので、復帰は早くなりますが、なかなか難しいところです。
まとめ
①断熱したことにより吸気温度の低下が確認できたが、劇的な変化とまではいかない。
②断熱したことにより、吸気による吸気系統内部の冷却が速くなったが、状況によっては保温される事になる。
という事で、この10℃の違いもない断熱加工に対しての捉え方は人それぞれになるかと思います。その数℃が大事なんだ!細かい積み重ねが大事なんだ!という人は断熱加工する意味がありますが、そこまでやってその程度かという人も居ると思います。温度計を付けたからこそ判る違いですが、街乗りや一般的な走行で体感できる程の差はありません。これで20℃も違えば文句なしでオススメなんですけどね。メーカーが断熱加工していない理由がわかりますね。コストパフォーマンスは良くないです。
費用対効果で言えば、フロントタイヤハウス下端にストレーキでも付けたほうがよっぽど意味があります。両方やったから言えますが。
夏場の一般道は避けてなるべく高速道路を巡航し、停車しないようにして(30km/hでも停車時とは雲泥の差なので)、加熱したなと思えばエンジンを切る前にボンネットを開けてクールダウンを行う。オススメできるのはこんなところでしょうか。
見事に虚仮威しです。自己満足度は高いんですけどね。
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R129 | 日記
Posted at
2015/05/10 17:27:40