6つ目のとても長い橋を渡りきったら、そこは四国の地でありました。
ちょっとピリピリする足で橋を眺めていると、じわじわと達成感が湧き上がってくるのがわかりました。
なにしろ、今回はトラベゾーン24で、島を渡ってやって来たのであります。
この地に立つのは2回目ですが、前回来た時は、なんか自分でやってきたという感覚が薄かったのです。
グラン・ツール・せとうち2015に参加して、その流れにのって走ってたら、いつの間にか四国まで来ちゃいましたという感じでした。しかも、余り感慨にふける間もなく折り返して出発地の尾道に戻ったという、ただ行ってきましたという140kmだったのがちょっと心残りでした。
そして今回、ちょうど青春18きっぷが残っていた事と、新居浜の知り合いに会いに行こうという軽い気持ちで出かけたのであります。ちょっと迷走台風のおかげで天気が怪しかったのですが、降ったら降ったで仕方なしという割り切りで行ってきました。出発した尾道では曇天でしたが、ゴールの今治に着く頃にはトップ画像のようにピーカンに晴れ渡り気持ちが良かったですね。
今回は目的がリベンジの他にもう一つありました。仕事で出張するときに、駅前の本屋でたまたま手にした「村上海賊の娘」がとても面白かったのであります。その城跡がまだある事を知って、ぜひそこを眺めてみたいと思ったのも出かける動機となりました。村上海賊は、因島、能島、来島と3つの村上家で成り立っていたとの事ですが、地図を見てもわかりますが今回実際に走ってみて、改めてここの島嶼部分で睨みを利かせられたら瀬戸内海は行き来できない事が良くわかりました。それらの島を繋げたのがしまなみ海道ですからね。特に村上海賊の中心となる能島は、とても小さい島で、その島自体が海城となっています。自由に島に渡る事はできませんが、花見の季節や限定されたときには、渡る術があるらしいです。そんな島だから手があまり入っていないようで、当時の遺構が随分残っているようです。小説はフィクションですが、そのフィクションは史実に基づいて構成されてる事が確認できたので、それだけでもこの旅は良かったなと思うのであります。
今回のコース
6つの橋と6つの島の旅の始まりです。
向島 → 因島大橋(1270m)→生口島 →生口橋(790m)→因島 →多々羅大橋(1480m) →大三島 →大三島橋(328m) →伯方島 →伯方・大島大橋 (1165m) →大島 →来島海峡大橋(4105m) →四国アイランド
尾道駅をスタートします。
いつも気になりますが、駅裏の天守閣のようなものはなんでしょう?
駅前の運河を渡船で向島にわたります。
竜宮城行きのような船がやってきます。自転車もってだと110円。
さあ、今治までの旅に出発しましょう。
今回は久しぶりにナブユー様に登場いただきましたが、このブルーラインが今治まで導いてくれるので安心です。
途中の島々には、コンビニが結構あるから安心ですよ。
第1の橋 因島大橋(1270m) 向島→因島
ここの橋だけ、道路の下を走ります。そういえば、グランツールの時、雨に濡れずに助かったと思ったんだ。
第2の橋 生口橋(790m) 因島→生口島
この橋は、高速の左側を走ります。
生口島の瀬戸田高校です。
グランツールの時のご接待が嬉しかったので感謝の気持ちで再訪です。
高校の先には、有名なジェラート屋さんを発見。
さんざん悩んで、レモンのシャーベットを選びました。甘酸っぱさがナイス。
広島の銘菓、島ごころの瀬戸田本店によりました。
このレモンケーキは見覚えあるでしょう(笑)
そして、不思議な場所を発見。
ここは、
耕三寺という観光スポット(あえて観光スポット)であります。
ある事業家が、自分の母親の菩提のために、各所の有名な建造物をを精巧に写し取って作ったそうです。
その中で、一番面白かったというか、興味深かったのが、この地獄めぐり。
350mの間は地獄を模したものを見せてくれたりしてなかなか楽しめましたが、一人で行くのはちょっと味気ない(笑)
そして、いいかげん地獄の洞窟にも飽きてきたなぁというタイミングで出口が近づいてきました。階段を上ってやれやれと思っていたら、そこには
観音様がおられました。この演出は結構効きます(笑)
そして、未来心の丘。
青空がバックなら、ちょっとエーゲ海ぽい感じがしたんだろうなと思います。
ここである事に気がついた!
お釈迦様って結構デカかったんですね。
さて気を取り直して、
第3の橋 多々羅大橋(1480m)生口島→大三島
橋を渡るには、橋のレベルまで上らないといけません。それも斜度をゆるめるためにクニャクニャとつづら折りとなっています。そこのカーブの先には、衝突しないようにカバーがかかっています。 DIA-COMPEも協賛してるようですね。
大三島に渡って、多々羅大橋を振り返ります。
そして、そこは、「サイクリストの聖地」なんだそうです。
CYCLISTS’ SANCTUARYとなってたけど、SANCTUARYなら聖域(保護区?)じゃね。
しかし、サイクリストの聖地って誰が決めたのか?
そしてそもそも、サイクリストってなんだ???
天邪鬼なおっさんは一人首をかしげるのでありました。
愛用するワークマンのグローブがビリビリになったので、今回はグローブなし。
ちゃんとグローブしてないとサイクリストじゃない?(笑)
第4の橋 大三島橋(328m)大三島→伯方島
これを渡ると、伯方島です。
伯方島にきたらやっぱり、ハ・ッ・カ・タ・ノ・シ・オ・〜 (笑)
伯方の塩ソフトクリームです。これが微妙に塩の味がして美味しいです。これはオススメですよ〜。
さあ、つぎ、次〜
第5の橋 伯方・大島大橋 (1165m) 伯方島→大島
橋の上から見下ろすと、なんかキャンプに良さそうな場所が見えました。
これは橋の橋脚がある見近島であります。次はキャンプか!
そして、反対側には、能島村上の本拠地である、能島がみえてきました。
真ん中の島が、能島でこの島と右側の小さい島で海城にしていたようです。
ここでは、潮流体験として能島のまわりを船で回ってくれるそうです。
だったら是非のせてもらいましょう。
救命胴衣のベストを着用してさあ出発。
ところで、出発前にお姉さんが一人で乗り込んできて、わたしの前に座りました。
だから、船がスピードを上げるたび、風に乗ってやってくる良い匂いが私を夢見心地にしてくれたのであります。ああ、極楽極楽。いや、これは不可抗力というか、私が狙って座ったんじゃないですから(笑)
島の周りは、複雑な潮の流れで、大潮なんかになると水面が持ち上がったりするそうです。
そこの描写は、村上海賊の娘に詳しくかかれてます。
海岸沿いの段差部分は、武者走りといって、船を出すときの準備などで行き来した通路だそうです。その海岸線の岩には、船を舫っておくための柱を立てたいくつもの穴が見えました。
こちらは、大島側から見える正面です。
のぼりや旗がたってますが、普段は渡る事ができないようです。
小さい島の先っちょも、ややこしそうな潮の流れになってます。
ああ、面白かった。
受付の隣の食堂で、能島御前を食べました。
炊き込み御飯も、刺身も天ぷらも美味かった。
向かいの博物館にも寄りました。
この船は、小早(こばや)という船で、こんなので瀬戸内海を行き来してたんですね。いや、もっと言えば大阪の木津川河口まで攻め込んで行ったんですから凄い事です。
そして、最後の大島がでかいんだ(笑)
グランツールでも、島の真ん中を抜くダラダラ上りにやられた事を思い出しました。ひ〜。
それでも、最後の山場をえっちらおっちら超えて来てとうとう最後の橋が見えてきました。
第6の橋 来島海峡大橋(4105m) 大島→四国アイランド
橋の下を航行する貨物船がまるで映画のよう。
四国アイランドに上陸し、糸山公園で来島海峡大橋を見返します。
こんなに空が青かったなんて知らなかったよ。
それまで夢のような島旅をしてきたのに、いきなり娑婆に引き戻されたような道をひた走ってゴールのJRの今治駅を目指します。交通量が多くてゲンナリする上、空気もなんだか粘りつくような感じがするのは気のせいでしょうか。それでもなんとか、今治駅に到着しました。そして、一息つく間もなく改札の行き先案内をを覗き込むと、次の電車はなんと10分後に発車とのこと。これを逃したら大変な事になると、速攻で自転車を畳むこと6分で改札を抜けて、高架のホームまで駆け上りました。しかし、やっとたどり着いたホームに出てみてもお客さんはいません。反対側の松山方面のホームにはお客さんが沢山待ってます。げげっ!ホーム間違えた!と考えて先ほど登った階段を駆け下りました。しかし、駆けのぼったり駆け下りたりと威勢の良い事を書いてますが実態はそんなことなく、めちゃくちゃ重い鉄の塊となったトラベゾーンを担いでえっちらおっちらヨタヨタとであります。
そんなこんなで、どうしてこんなに重い自転車なんだよ!(怒) と投げ出したくなりました。ヘロヘロになった私にとってそれほど重かったのであります。しかし、今考えてみると失礼な話ですよねー。自転車以上に重い私を四国まで運んで来てくれたトラベゾーンに対してですから(笑)
結局、ホームは間違っておらず、間違っていたのは発車時刻を1時間読み違えた私でありました。10分後ではなくて1時間10分後だったのです。ひえー。
流石に緊張の糸が切れちゃったので、20分後に出発する特急に乗ってしまった自分をそんなに責める気持ちにもなれませんでした。
じわーっと来た安堵感と、ちょっとした敗北感(笑)
走行距離 90km