エクシーガtS(EJ20型ターボ)の過給時異音(シュー音)の原因が判明した際の、ディーラーさんとのやりとりを記します。一連のブログの最終話になります。
◎「その1」 は →
「工具を使わないトラブルシューティング」。
◎「その2」 は →
「ディーラーによる診断結果の速報」。
◎「その3」 は →
「DIYで診断検証→原因の切り分け」。
◎「その4」 は →
「DIYで念押し検証→現品&社外品」。
◎「その5」 は →
「確認事実の振り返り と 今後の予定」。
◎「その6」 は →
「スネークカメラで見えない部分を確認」。
(※2017-09-17(Sun.) AM8:50 文末に追記あり。)
■原因判明の巻
スロットルを中開度(ハーフ:約1/2)以上に開けた際に、ターボチャージャの過給圧が正圧に転じると発生する 「シュー音」 について、DIY による要因分析(FTA)、トラブルシューティングによる原因の絞り込みを行った過程と詳細については、既報(ブログ:「その1~その6」 の通り)。
その後、連絡票(「インタークーラー出口~スロットル入口」 のインテークダクトが怪しい、のユーザー見解)を添えて、9月初旬にディーラーに入庫させていましたが、先日ディーラーから異音解消したとの連絡を受けて、車両を引き取りに行きました。
結論から書くと、過給時異音(シュー音)の原因とディーラー対処内容は次の通りです。
<原因>
・インテークダクトは内側にインシュレーター(内壁のブーツ)を持つ 2重構造 になっている。
・その インシュレーターが変形して 「シワ」 が寄っていた ため、過給圧が漏れていた。
<対処>
・ダクトを取り外し、インシュレーター(ブーツ)の 「シワ」 を伸ばして慎重に再組した。
・実走で異音の発生なきことを確認できたので、修理完了とした。
要するに、ダクトの交換ではなく再組(組み直し)で対処した、という結果ですね。・・・これは、前回のブログ(その6)の 「コメントへの返答」 の中で、すでに予見していた通りの処置になりますね。
なお同様に、前回のブログ本文中で指摘した 「ダクト端部のヒビ割れ」 については、「特に問題ありません」 とのディーラー回答でした。シール機能には直接影響の出ない端面(=バンドクランプの外側)で、インシュレーター(ブーツ)を点検済みだからなのでしょう。
■ディーラーとのやりとりの巻
サービスフロントでは、まず納品請求書をベースに概要を説明いただき、次に部品構成図を使って詳細説明いただきました。
<↓こちらが納品請求書。修理代は無料(0円)ではあるが・・・>
<↓変形を修正して、交換せずに再組で解消。それで「交換をお勧め」・・・って言われてもなぁ>
「過給圧漏れの原因がダクト」 であろうことは予想通りでしたが、「部品交換されずに再組で修理完了となった」 ことは、正直に言って予想外でした。
引き続き、詳細の説明を聞きます。
(※印刷された紙は、ディーラーさんからいただいたものです。)
<↓部品構成図(吸気系の全景)・・・これは整備解説書(CD-ROM)からの抜粋ですね>
<↓ダクトは2重構造となっているが、内側のブーツ(インシュレーター)にシワが寄って変形していたとの報告>
実はダクトが交換されたであろうと予想して、デジカメ持参でディーラーに行ったのですが(交換部品を捨てられる前に、その状態を画像で記録させていただこうとの考えから)、現品はそのまま再組されていたため、「変形(シワが寄っていた)」 の状況が分かる画像を取ることができませんでした。
チューニングショップでの作業ではありませんので、当然ながらディーラーにて作業過程での画像記録も押さえているわけもなく、あくまで口頭での状況説明に留まります(私自身にも 「変形」 の程度が分かりませんが、修正して再組可能な程度の軽い変形だと想像します、ハイ)。
■「ディーラーの立場」 と 「ユーザーの立場」
私見ですが、ディーラーの立場になって考えると、
「部品交換せずに症状が改善するなら、交換しないで済ませる処置が正しい」
と思います。ムダなクレーム費を抑えることができますので。
よって予想外の処置ではありますが、「ダクトを新品に交換しなかった」 ことに対しては、私は十分に納得しています。ディーラーの立場として最善の処置を行っているのですから。・・・ただし、ユーザーの立場からすると、「またしばらくすれば、再発するんだろうな」 という懸念が払拭できないのも事実です。
最小費用で最大効果を上げたいディーラー。
予防安全含めて不安を解消したいユーザー。
その 「折り合い」 を付ける着地点は、案外難しいものかもしれません。
今回の 「再組で解消」 は 「ディーラーとして正しい処置」 だと思うので、そのままエクシーガを引き取りましたが、もしも将来、同じ現象が同じ原因で再発した場合には、今回の入庫履歴がモノを言うはずで、その時こそ新品ダクトに交換いただくよう申し出るつもりです。
■ダクト交換の場合
さて、納品請求書に 「交換をお勧めします」 と書かれたインテークダクトですが、ディーラーサイドですでに部品見積もりが出されていました。
<↓ダクト交換時には、付随作業でO-リング(再利用不可部品)も必要となるため、見積りに載っている>
<↓ダクト新品交換時に必要となる金額の見積りは、現時点で5292円。費用的には大した金額ではない>
■あとがき
その後、車両を引き取ってから本日現在で、約1週間が過ぎました。その間、いろいろな運転シーンを重ねてきましたが、今のところは症状の再発はありません。
<↓いよいよエクシーガを引き取り。左奥に写っているのは、入庫中に使わせていただいた代車のステラ>
今回の件では、結果的に 「ダクトの再組(組み直し)」 で過給時の異音が解消したことになりますが、私にとってはトラブルシューティングの経験が積めたこと、その部位が当たっていたこと、原因究明に向けてディーラーと連携が取れたこと、が収穫だったと思っています。
(↓2017-09-17 AM8:50 追記)
そもそも、「なぜダクト内側のインシュレーター層(ブーツ)が変形してシワが寄ってしまったのか?」 という 「真因」 が分からないと、本当の根本解決にはなっていないと思っています。この点に関する、現時点での私の解釈(推定ストーリー)は次の通りです。
・使用過程で、ダクトに熱履歴(→ 熱劣化)が加わる。
同時に、ターボ車のため圧力的な 「加圧~減圧」 のサイクルが加わる。
(※加圧=ブースト圧が正圧のとき、減圧=NA運転領域の負圧のとき)
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・「熱履歴+圧力サイクル+実車振動(運転時はエンジンが振動します)」
の繰り返しにより、ダクトに経年変化による広義の 「劣化」 が進行する。
↓
・エクシーガは、普段は買い物や子供の習い事の送迎に使用しており、
3~4人の乗車で市街地を低負荷で走行するシーンが多い。
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・ところが今回の北海道帰省では、「7人フル乗車+犬2匹」 に加えて、
「ルーフボックスを搭載+荷物積載」 という状態で車両重量が重かった。
(※車両負荷が大きな状態)
↓
・その状態で、高速道路(登坂区間もあり)を長時間、連続走行するという
状況であった(東京~札幌の往復)。追い越し車線で加速する場面もある。
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したがって、「熱履歴+圧力サイクル+エンジン振動」 という経年劣化が進んだ中で、「7人フル乗車+犬2匹+ルーフボックス+積載」 という車両負荷が大きな状態にて、「高速道路(登坂区間あり)+加減速(追い越し車線)」 という運転負荷の高い繰り返し状態が継続した。
・・・という 「組み合わせ」 によって、インシュレータの変形に至ったのではないか? と推定しています。このように考えると、高速道路に入ってしばらくの間は何もなく、東京を出発してから約540kmを走行したあたり(紫波SAを越えた付近、青森まであと約190km地点)で症状が発現したこととも符合します。
(↑「追記」 ここまで)
ディーラーにとって、私のような管理ユーザー(原因究明に向けて、確認事実を列挙して自ら乗り込んでくる顧客)は珍しいタイプのようですが、お互いに相手の立場に対する理解を深められた事例 になったのではないか、と思っています。
一連のブログが、読者の方々にとって何らかの参考になれば幸いです。
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2019-01-13(Sun.) : 更新
[エクシーガtS] ケーススタディ追記・インタークーラーダクト外れ(過給圧漏れ)の件 をアップロードしました。
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Posted at
2017/09/17 00:49:43