接触はレースは付き物だけど誰も得をしない　【モータースポーツの宿命】

『今日は予選でもお陰で良いタイム（結果）だったからちょっとボーナス弾むよ!!』
予選後ご機嫌だったEricさん（昨日）。
しかし、好事魔多し、レースをすると接触は付き物。

なぜかって？皆タイムを出したいし、1つでも前でゴールしたいから。
これはゆる～くて速さで結果が決まらない事を啓蒙しているワンスマカートでも、プロが沢山出ているレースでも、そしてアマチュアが沢山出ている今週のフェラーリチャレンジでも一緒。
そこに意識や目的、車両、スキルなど某かの”差”がある事が”リスク”の根源になる。

昨日はせっかくクラスPPを獲得したEricさん、スタートも上手く決めて普通にT2に進入した所でクラス違いの車両にオカマを強く掘られて駆動系やサブフレームまでダメージが及ぶクラッシュで0LAPリタイヤとなりました、そしてEricさんの車両は今日のレースに修理が間に合わないと言う事で急遽主催者が用意するレンタカーを借りる事に。

修理に〇百万円もかかりそうだよ、レンタカーにも〇万円かかるらしいのよ～　とほほ。

明日（今日）のレース出たほうがいいと思う？やめたほうがいいと思う？
そうEricさんに聞かれた私は・・・

『私のボーナスに影響が無いなら出たほうがいいよ！でも影響が出るなら辞めようか？だって来週俺家族で沖縄行くから毎日お茶漬けから吉野家にアップグレード出来るって喜んでたんだぜ！』
って冗談で言ったら笑ってた（笑）

* 因みにコーチングのギャラは私の会社の売上になるだけなので私個人の会社からの報酬は実際は変わりません（笑）

本気でレースを楽しんでいるアマチュアの皆さんはやっぱり自分の車が壊れてしまうのが悲しい事。
それが自分のミスなら仕方ないけど他人の過失だとすると尚更。

口では文句を言いつつも、でもそれを受け入れなければならないのがモータースポーツである事も事実。
私もよく言うように”相手が100%悪くて自分が殺されてしまっても文句が言えないのがモータースポーツ”だと。
極端な事言ったら『そこに居た貴方が悪い』って事だって言えてしまうのもモータースポーツだから。

でも、だからこそ、確信犯的にズルをしたり、相手をリスペクトしない走り方をするのは皆の雰囲気や言動で自ら控える空気作りが必要だし、そうは言っても競争をしているとそんなつもりでなくても相手に損害を与えてしまう事もあれば、抜かれたくないからちょっとだけならいいやって気持ちになってしまったり、逆に気をつけていても損害を受けてしまうこともある。
（私の経験上、気をつけているレベルが高ければ凄く被害を受ける確率は下げられるとは思う）

もし自分が相手に損害を与えてしまったら素直に謝る事（出来るだけその日のうちに） 、そして次同じ過ちを繰り返さぬように”その瞬間なぜそうしてしまったのか？”しっかり考えて忘れないこと。
→　私の場合：出来るだけその場の勢いで直後に相手の元に行って『ごめん～～～～～～！！』って言ってしまった方が良い時とお互い冷静になってからの方が良い時とどちらか？を考えています。

これ”謝り上手”な人、常日頃から憎めないキャラを作れておけるか？も大事（苦笑）

逆に自分が損害を受けてしまう事もあるので、その覚悟をどこかで持っておくこと。
（特に金銭的、身体的にリスクを負うべく立場の人は）

そして両者に言える事は無駄に”引きづらない事”。

私が気をつけているのは常に”今やるべき事と今やっては行けない事が何か？起こりうるリスクは何があるか？を常に把握した状態で走る”事です。
これを常に自分に言い聞かせてサーキットを走っていればだいぶ自分の身の回りに起きるリスクを軽減できると断言できます。
（あのマカオで10年の間に自分のミスで車を1度も壊したことが無く結果を出してきたリスクマネージメント系生き残り主義の私が言うのですから大きくは間違ってない・・・ハズ　笑）

そして一緒に走る仲間とは余計に仲良くなる必要は無いけど、お互いにしっかり認識しあう間柄で戦える環境を作ること。

やはり競争イベントは初めての人が参加すると混乱の種になり易い。
昨日Ericさんにミサイルを放った人も今年フェラチャレ初参加で初めてクラスPPを獲得したレースのスタート直後でした。
接触後にラジエターから水を撒きながら走り続けて次のT4で自らの水に乗って止まれずに他の車両と接触して相手をスピンさせてしまうという暴れん坊ぶり（苦笑）

過去に実際にあったけど自分がコーチングしているDrさんがいつも加害側が多いと”コーチが悪いのではないか？”って言われる事もあるので私は速く走る事と同じかそれ以上に周りと上手く走る事が大事な事、その為には自己を犠牲にする勇気がレースは必要、だからレースで自分の望むパフォーマンスを発揮するのは速く走るより難しいんだよ！と言う点を良く口にしています。

で、今回の当の本人は自分のミスを認め、Ericさんとの接触のあとパニックになって車を安全に止めるという判断が出来なかった事を素直に説明し、当事者に詫びを入れ、自分の車載も当事者に見せて自分のその時レースコントロールからの罰金とグリッド降格のペナルティも受け、自分のマシンの補修も当然自費で・・・言うなれば充分既に制裁を受けている。

後で冷静になって見ると゛なんて馬鹿な事をしてしまったんだ、誰も得をしてない”となる。
Ericさんの車載も、その方の車載も、またその方の後方に居た方の車載も当事者同士で昨日ホテルに帰ってから見ましたけど。

皆で”あ～～あ！やってるよ～！ひどいな～！でも俺も同じこと昔やってしまったよな～！逆の立場になると文句言いたくなるのわかるな～、でも明日は我が身、また自分が何かの拍子に加害側になってしまうかもしれないから文句言えないかもな～！”って感じで『和やか』にディスカッション。
周りに居たプロDrでコーチをしている私を含めた数人からもプロとしてこういったケースではこうなりやすいからこうするべき・・・みたいな速く車を走らせるだけではないアドバイスもあったし。

これが出来る環境、またはこういったシチュエーションを主催者が調査管理してしっかり次のイベントの際にブリーフィングで報告したり、関係映像を皆で見て共通認識やケーススタディが出来るとより素晴らしいと思う。

私も昨年のGT-AsiaのFSWラウンド（土曜日）決勝でらしくないミスで周りに迷惑を掛けてしまった。
その汚名は自分のその後の走りで挽回しようと必死だったし、あの時の気持ちや状況を客観的に認識出来ているから同じミスはもうしないと思う。

いつも言うけど”良き敗者で居られる人こそが良き勝者になれる権利を有する”。
だから良いときも悪い時もそこから常に何かを学び前へと進めるレースが常にあってほしいな～と主催する身と走る身の2足のわらじを履いている私は特に思うわけです。

もし自分が『今日いつもよりも頑張っちゃおう！良いとこ見せたい！今日は凄くいい調子だー！』という時はこのブログを思い出して気を引き締めて楽しんで走ることを忘れないで欲しいと願ってます。

・・・と、言う訳で運命なのか？Ericさんが今日借りるレンタカーは開幕戦でSarunさんがDriveして総合4位を獲得したゲンの良い゛ドラえもん゛号に98番のゼッケンが貼られる事となりました。。。