画像は先週のWEC / USAラウンドの決勝のGTE-Amクラスの各ドライバーのペース表です。
ラップタイムの推移(変化)、ベストラップ、ワーストラップ、アベレージラップ等、一発のタイムじゃないドライバーの決勝の総合力(力強さ)が分かるかと思います。
我がClearwater Racingのエース、Matt選手が一番上(プラチナの2名を抑えて)で、私はシルバードライバーの中ではトップ(総合では4位)となっております。
フェラーリ488GTEとミシュランのパッケージも特に高温になると強さを発揮するのも今回の好成績の要因ですし、我々は決勝のセットアップに費やす時間を他のチームよりも多く取っているというのもあるでしょう。
注目していただきたいのは私のラップタイムの幅。
分かりやすく言えば、ベストラップはとびきり速くはないけどタイムの落ち込みも人より少ないって言う事です。
(Mattさんも私と同様にすごく振れ幅が少ない!)
そしてオーナーdrのウェンさんも周りのブロンズdrがWECや各コースの経験が豊富な中、毎回初サーキットなのに凄くイイ走りをしているのが分かりますよね!!
若い頃は速さを見せないと...って決勝でも満タンでもタイヤの良い時に思いっきりプッシュして後半ズルズルになって予定より早くピットインしてチームの作戦の幅を狭めてしまったりしていましたが、大人になって一瞬の一発の速さは守るべきものが増えて衰えましたが(笑)、走らせ方は確実に変わりました。
今回も決勝スタート担当で一番暑い時間帯のスタートである、予選で使用したタイヤでスタートである、他のライバルチームのスタートドライバーを見る限り3位スタートだけど1位か2位では帰ってこれる、少なくとも同じフェラーリで同じシルバードライバースタートの54号車からはその後の作戦上も離されては行けない・・・そんな状況でスタートしていました。
序盤のアストンに前を塞がれてしまっている時は満タンでもあるので温存、前に出たら1位のフェラーリに離されないように少しプッシュ、4秒差位になったら後半にタイヤを取っておく為に少しタイヤを休ませてLMPクラスが後方から来た時になるべくタイムを落とさないように工夫、残り10LAPで残しておいても仕方無いので猛プッシュ(54号車がヘロヘロになり始めているのも確認)!最後にトップに躍り出て54号車より2LAP多く走ってピット・・・と言う流れでした。
最初は2分8秒中盤、途中は8秒後半~9秒中盤、後半他が10秒台に落ちているけど9秒前半を維持っていうのが第1パート、これで操縦性がどうなったかチームに伝えてMattさんのその後の走りに生かされ、Mattさんの走りを見ていた私は更に考えをアップデートさせて第2パートへ。気温が下がり始めてコースもラバーが乗ってきて、きっときっちりプッシュしたら7秒台が出そうだけどMattさんでもスティント後半は10秒とか11秒になる時があったから、ここは抑えておこうとなって8秒前半、8秒中盤、8秒後半となって頑張って9秒台で抑えて、引っかかったりしても10秒台に留めるっていう走り。
その結果がこのシートになっていると思います。
15名のドライバーの中で一番振れ幅が少ない!!
これ私の「速さは平凡のプロだけど上手さと強さは負けない」っていう信条の現れです(笑)
なんで、こんな事が出来るのか?っていうと、心が比較的強いとか、体力があるとか、小細工が上手いとかいろいろとあるでしょうが、一番大きいのはチームとの信頼関係です。
一発の速さで速い遅いっていう表面的な評価しか出来ないチームだとドライバーはどうしても速さを見せようとかドライバー同志でのぎくしゃくした事も起こりやすいけど、役割があってしっかりした評価基準の元に各ドライバーが役割に徹して走っていられる環境を与えてくれているからです。
これって仕事でも一緒でチームとして目標に向かって役割に徹してフォローをしあって向かっていく・・・という素晴らしい仕事の環境なんですよね。
私はレースの場面では素晴らしい環境の中で走れている幸せを感じ、ワンスマというフィールドでは参加者の皆さんに対してスタッフの皆さんとのチームワークや私の造った環境の中で良いものを提供させて頂くという逆の立場もあって楽しいやら大変やら...と言うお話でした。
ブログ一覧 | 日記
Posted at
2017/09/22 12:40:08