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2016年10月01日 イイね!

物語A154:「代頭」

A村には大「村」法典がある。
A村の法律の根源であり、規範とするところである。
これを元にして幾つもの法令が作られ施行されていた。
その法令の中に大統領の行方不明や死亡によって、政治の空白をなくす為の条文があった。

その法令の条文に従って、クリン大統領行方不明時にはリー・ハーマン副大統領が大統領代行となった。
だが、実態は名ばかりで何をするにも行政の長との同意がなければ何も出来ないという立場であった。
行政の長達にそこまでの権力が認められているのは、彼らが行方不明とはいえ現大統領の意向に沿って粛々と行政をこなしているからである。
現大統領が発見された時に政治政策が大幅に変わらないようにする布石である。
そして、任期半ばのクリン大統領の死の報を受けた後、この法令の条文に則って、リー・ハーマン副大統領がA村第33代大統領に就任し、残りの任期を務める事と成った。

大統領不在を起こさない為の法令の条文に従ったのであるが、当のハーマン福大統領は絶好の好機と捕えて、大統領宣誓書を前にしてほくそえんでいた。
「棚から牡丹餅」で大統領選を戦わずにその席を得られたのである。
ハーマン福大統領にとっては、クリン大統領に頭を押さえられてなかなか叶えられなかった自己の野望を公然と実行するチャンスであった。

答礼の為に大統領宣誓書に左手を置き、右手を上げた。
「イェーイッ!」と思わず満面の笑みで歓声を上げそうになり、半分まで出たが慌てて言い返した。
「イェィ・・ッサー!」
皆は答礼は「はいっ!」だろうといぶかしんだが、ハーマン大統領の満面の笑顔を見て、黙って目を下に向けた。

タカ派であるA村第33代大統領リー・ハーマンの政治姿勢は早急で急進的であり、常に積極的に前え出る政治活動を行っており、この第3次全村大戦参加にはかなり意欲的であった。

それに対し、第32代大統領ルベル・クリンは穏健派で保守的な立場から戦争参加を渋っていた。
だが、B村侵攻後にD村の矛先がA村へ向けられるであろうとA村諜報活動担当のJ・江戸・フハ長官から、隠密十手持ち、マタ・ハレタらの信頼すべき情報を提供されていた。
また、B村諜報部MM7に所属する伝説の潜入エージェント、マタ・アメダの情報として、同様の内容がB村・F村からも通知されていた。それらは、A村占領という結末へ進む事を示唆していた。

その恐れから、クリン大統領は第3次全村大戦に参加はしたくない代わりに物資補給を中核にして大きく関与していた。
さらに、B・F村と出来るだけ長く交戦させておけばD村の戦力が疲弊してしまい、A村進行を遅らせることが出来外交で解決可能になるからである。
あるいは、温存したA村戦力で一気にD村を叩く事も出来ると見込んでいた。

それ故に村民の派兵という実質的な面では参加を極力渋っていた。
しかし、一部の急進派による志願兵の第3次全村大戦参加に関しては「村民の自由」の侵害となるとして黙認していた。
それ以外に黙認する理由として、D村の戦法を知る情報源になるからでもあった。
また、将来B・F村が勝利した時に、A村も戦っていたという事実にもなるからである。

だが、ハーマン大統領はクリン大統領と根本的に行動指標が違っていたので、この第3次全村大戦に積極的に参加する事にした。
ハーマン大統領がA村の執務を採り始めると、直ぐにB・F村への物資補給の量が減った。
その変わり、減った分の物資を背嚢に入れたA村増援部隊がB・F村へ続々と到着し始めたのである。
保守的なクリン大統領のB村壊滅に備えての村境を封印する兵力を温存していた事に、この時のハーマン大統領はある意味で感謝していた。

この部隊増援の背景には、この戦争の主導権を握ることで戦後の立場を優位に立たせようとするA村第33代ハーマン大統領の意志が込められていた。
戦後もこの派遣部隊の一部はその場にほぼ永久に駐留させる事を考えており、そこを全村の駐在所とする計画であった。
そして、駐在所と村の地位協定を結ぶと同時に全村の司法権を奪いとろうとする考えでいた。
その後、少しづつ立法や行政に進出して、全村への影響力を強くしていこうとする考えであった。
将来はハーマン大統領の影響の強いA村村民を各村の将軍様・酋長・首長・代表の座に座らせようと目論んでいた。
その手始めに派遣部隊を全村の「駐在さん」とする目的で派遣したのである。
手段に違いはあるが、その野望はD村のアフェト・ラ将軍様と同じであった。

ハーマン大統領は執務室で、この誇大な夢が膨らんで行き、すでに全村を手中に収めたかのように、身を震わせながら
--    顔から笑みを零し、肖像画を書かせている。もちろん、
猫達の小劇場 その69    その肖像画は馬に乗って攻撃の才を
-----------------     振るう勇猛果敢な英雄として描かせ
灰色猫と黒猫が    ていた。ハーマン辞書に不可能
呆けた顔をして並んで座っている。    無いのである。
蜻蛉が飛んで来た。    *レイアウトを使って邪魔をするな!(語り部)
二匹の目がキラリと光る。

ジンギスカン料理の置かれたテーブルに蜻蛉が付くや否や、焼き肉目指してフォークが飛び交う。

美味しい音と匂いを放出する肉の上で、幾本物フォークが火花を散らし激しくぶつかり合う音が響き渡った。
幾度かフォークに突き刺されるが肉を獲得するフォークは無い。
そうしているうちに肉は細かく引き剥がされ肉片となって飛び散る。
残された肉は無く、フォークでも刺せない肉片が残っていた。

税務官が見ている中、それを一切れでも多く舐め取る「舐め猫」達が居た。
本編をもなめている。

--続く
この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。
この物語の著作権はFreedog(ブロガーネーム)にあります。
Copywright 2016 Freedog(blugger-Name)
Posted at 2016/10/01 10:55:57 | トラックバック(0) | 物語A | 日記

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