2015年11月24日
よるそこ中将の自信溢れる指揮による出発の目配せで、各分隊長はその場で回れ右をしておのおのの分隊と向きあい目を剥いて隊員達を一睨みする。
分隊に緊張が走る。
分隊長達は寸の間をおいて、それぞれが受け持つ分隊に出発の号令を野太い声で発した。
号令と共に「義経隊」の隊員全員がその場で膝を高々と上げて足踏みを始める。
ぴったりと息の合った、その足踏みに合わせるかのように地面が大きく揺れ始めた。
その地面の揺れは地鳴りと変わり、全てを圧倒する「義経隊」の気迫を音と共に周囲に撒き散らす。
部隊のこの力強さを肌身に感じながらトットコ代表はじろりとこの式典に招待されている二人の客人に嘲弄の目を向けた。
当然の事だが、この式典に招待され列席しているのはウィンチ首長とクリン大統領、そしてその補佐官達であった。
両代表は設営されたテントの外に椅子を並べて座っていた。
警戒心の強い二人である。
懐疑心を持ちながらも、その迫力に感服したかのような目で「義経隊」の行進に見入っていた。
これは、棚から牡丹餅、もしかしたら成功するかもしれないと思った。
しかし、「義経隊」隊員の陰に隠れた機械化分隊が極秘作戦「杭打ちハンマー地面叩き作戦」を密かに遂行していた事を両代表は知らなかった。
トットコ代表の立つ式台が地面の振動に合わせて、軽く飛び跳ねつつ次第に軽やかに客人達のテントへと近寄っていく。
ウィンチ首長とクリン大統領の両代表の座る椅子も地面の振動に飛び跳ねながら、次第にテントへ近寄っていく。
箱の上の紙の力士のように、代表達はその中央のテント、デンジャーポイントへと迫る。
各代表の副官達が期待の目を向けていた。
先頭の分隊が行進を始め、トットコ代表の前を明るい笑顔と真っ白い歯を見せて通過し、密林の道へと進んでいった。
その分隊の最後尾が見えると、その場で足踏みして待機していた後続の分隊が後に続いて行進を始める。
F村村民の得意とする整然とした、秩序良い二列縦隊の行進が行われた。
歩調合わせに苦労している、僅かに参加しているA,B村村民志願兵をF村村民は冷ややかな横目で見ていた。
それぞれの分隊の先頭を行く隊員は色艶やかな服装や服飾で身を飾り、分隊名の入った華やかなプラカードを高々掲げたり、あるいは大きく振ったりしながら胸を張って堂々とトットコ代表の前を行進をした。
その後に続く隊員達も色鮮やかな花弁や紙吹雪を撒いたり、太鼓やラッパや鐘を打ち鳴らした。
腰にぶら下げた豪華絢爛な色鮮やかな服飾を大きく振りながら踊る隊員のグループもいた。
原色を使ったタイツで身を飾り、アクロバティックなとんぼ返りをしている隊員達もいた。
その行進の光景は、まさにリオのカーニバルのように華やかで美麗であった。
そして、行列のあちらこちらで、大小の爆竹が鳴り響き、鼠花火が飛び回り、色付きの発煙筒が様々な色を出して焚かれていた。
周囲からも「義経隊」に向かって、様々なものが活躍の期待を込めて投げ込まれる。
誰もがこの熱気と興奮で半狂乱状態となり、踊り狂っている。
密林に入ってもその騒々しさは続き、姿が見えなくともどの辺りに居るのかはすぐに判別が付いた。
隠密行動なのにである。
この「義経隊」のカーニバルを見送る壇上のシャル・トットコ代表の腰が、微妙にそのリズムに合わせて左右に振られている。
この時のシャル・トットコ代表の回顧録には、この時はほんの僅かな不安を覚えたと小さく書かれてはいたが、カーニバルに参加できない自分が惨めになったと赤塗りで強調して記していた。
だが、その後に起こったであろう「続・テント崩壊事件」は全く記載されておらず、この事件の信憑性が後の時代で危ぶまれ、歴史の闇へと静かに葬られていた。
-- 猫達の小劇場 そのThank you --------------------
灰色猫と黒猫が呆けた顔をして並んで座っている。
蜻蛉が飛んで来た。
二匹の目がキラリと光る。
閑古鳥が鳴いていた。
成す術の無い灰色猫と黒猫と蜻蛉であった。
三匹はスカウトする相手を間違えたと考えていた。
--続く
この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。
この物語の著作権はFreedog(ブロガーネーム)にあります。
Copywright 2015 Freedog(blugger-Name)
Posted at 2015/11/24 20:24:25 |
物語A | 日記
2015年11月07日
高地から
高知へ飛来しました。
なんと3万フィート(*誤字を発見、11月8日修正)上空の高地からです。
そこまで上昇する前に飛行機が旋回します。
小さな窓の外に小さな船や地図帳の様な海岸線に川が見える。
感激と言いたいが、わいは
高所恐怖症だーー!
旋回は逆方向にしてくださいませ。
その前に旋回する方に乗らなければよいのだが
ほとんど乗らないし。車専門だし。
で、上空からの富士です。
Posted at 2015/11/07 16:54:01 |
プチプチ旅+過ぎし旅助を含む | 日記
2015年11月04日
当然のことだが作戦の起案者であるシャル・トットコ代表の采配で「マルビ大密林強行突破作戦」の部隊が編成される。
これも当然のことだが、その部隊のほとんどはF村村民達で占められ、F村奪回に逸る血気盛んな部隊となった。
F村発祥からの部隊結成総数442番目という事で、第442「トラ丸」部隊と命名された。
シャル・トットコ代表の飼い猫、「トラ丸」からこの名が命名されている。
F村村民の大半は「義経隊」(よ・4、し・4、つ・2、ねたい)と短く呼称した。
何かと、代表の意見を素直に認めるF村村民であったが、しっかりと飼い猫の名は省かれていた。
「義経隊」の総司令官として、ゲリラ戦を得意とする「よるそこ中将」が任命され、部隊を指揮することとなる。
実はF村に残ったレジスタンス達の多くが、よるそこ中将の教え子なのである。
この作戦がレジスタンス達との連携を必要とする為に、侵攻部隊の総司令官として選ばれるべくして選ばれた「よるそこ中将」であった。
部隊に乾火馬(ほしひ うま)が参加していた。隊列の隅に追いやられている。
前回のD村エリート(花形)将校判満(はん みつる)との対決での屈辱的な敗退を、そしてその後のF村村民による陰険な虐めに耐え、さらにはB村村民のあからさまな虐めにも耐え、虎視眈々と復讐の機会を窺っていたのである。
それだけに、乾火馬(ほしひ うま)がこの部隊に参加しないわけが無かった。
たとえ拒否されても隠密りに参加したに違いない。
乾火馬は隊列の隅で再び闘志を燃やし、その眼中で紅蓮の炎が燃え上がっている。
この炎の中に、「父の仇討」という言葉は灰塵と化して、その一片も残っていなかった。
部隊には南洋の魔女「伊ルカ3兄弟」と「Atを狙え!No1」、そしてイムラが参加していた。
みんなで「お天場台ギャルズタイガー戦車行け行けGOGO戦隊」を結成、戦車と自称する木馬に跨って勢い込んでいる。
ほとんど名前負けしたイムラが戦隊の後ろにこっそりと付いている。
歴史の転換点に必ず居合わせると言われるロングアイランドは当然の如くそこにも居た。
傍らでは先輩に頭の上がらない世界の一本足打法ワンがお茶を汲んだり肩を揉んだりしてせわしなく先輩ロングアイランドの世話をしている。
世界一の努力家のワンであった。
B村防衛ラインで活躍していた浪人者の市郎やキャット・ウッズ、大助○、錦鯉K、阿武、いな幡ウ・サギ達もそれぞれの得物と姿格好で参加している。
その他にも伝説の剣豪チームが居た。
リーダーは「張り扇二刀流」の宮元村武蔵(たけぞう)くんである。
勇将ケンメル・コナン元帥がD村に登用される以前に辺境の地キンギンメリアをまだ一人で武者修行で放浪していた時、「岩窟島の決闘」をきっかけに宮元村武蔵(たけぞう)くんはケンメル・コナンに弟子入りし、「張り扇二刀流」を伝授されていた。
勇将ケンメル・コナン元帥が北方に左遷された事を知らない宮元村武蔵(たけぞう)くんは恩師との一騎打ちになるかもしれないと心なしか期待し勇んでいた。
「岩窟島の決闘」で負傷した「赤い下着物干し竿」の佐っ佐小五郎も加わっていた。
「続・岩窟島の決闘」を夢見ている。
密林活動を得意とする、虎皮の腰布一枚の「密林の王者樽さん」が率いる部族も参加していた。
コヨーテ少年ケン・猿のチーザー自称皇帝らが派遣部族員として参加している。
雑魚キャラの手下としてキャットピープル達が参加していた。
だが、彼らの略歴は宮元村武蔵(たけぞう)くんと同様、物語に影響しないので省略する。
とにもかくにも、
・・・あ~ぁああ~~・・
B村川岸の防衛
・・ああ~・・
ラインから数多くの勇者
・・あっ・・
や猛者、忍者、役者、PTA達の多
・・あ~・・
くが参加していたのである。
あ~ぁあ~グェッ!
「密林の王者樽さん」は不覚にも象さんに踏まれた。
次回出演の危機だ。
このように防衛の要となる主要メンバーが抜けてしまうとB村川岸の防衛ラインが手薄になってしまった。
それで、今までは影に隠れていたB村村民達がしぶしぶとその隙間だらけの防衛ラインに出向いて行き、防御の穴を補填していった。
不本意ながらも防衛ラインに残る事になったF村村民達はそのB村民達を鼻の先であしらうという快感に酔いしれる事となる。
それは居残りの褒美のようでもあった。
F村代表の臨時作戦テント前に「義経隊」が整列する。
「義経隊」の前に置かれた壇上に胸を張って立つのはシャル・トットコ代表であった。
脇には「義経隊」の総司令官「よるそこ中将」とその部下の士官達が控えている。
シャル・トットコ代表は壇上から、そうそうたる「義経隊」の一人一人の顔を満足気に見渡し、これならば必ず成功すると自負した。
シャル・トットコ代表のこの時の記録には、感動の眩暈すら感じる程の勇壮な第442「トラ丸」部隊であったと記している。
-- 猫達の小劇場 その38 --------------------
灰色猫と黒猫が呆けた顔をして並んで座っている。
蜻蛉が飛んで来た。
二匹の目がキラリと光る。
しかし、すでに蜻蛉は居なかった。
粒子加速器LHCから発射された蜻蛉は光のスピードの99.98%で飛んで来たのだ。
目視した瞬間、すでに通過したことになる。
しかし、蜻蛉の質量は増大するのでは?
長さも変化し、観測者と当事者の間で時間の差異が生じ・・・
物理学に悩まない二匹の猫であった。
何故なら、既に二匹の頭脳は過負荷のために他界している。
---続く
この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。
この物語の著作権はFreedog(ブロガーネーム)にあります。
Copywright 2015 Freedog(blugger-Name)
Posted at 2015/11/04 20:00:17 |
物語A | 日記