遅ればせながら、明けましておめでとうございますm(_ _)m
2015年も明けちゃいましたが(汗)、“欧州自動車博物館巡りの旅 2013⇒2014”はコート・ダジュールを後にしてイタリアに入りました。そして、今回訪れる“Museo Mille Miglia(ムゼオ・ミッレミリア)”が、この旅最後の博物館となります。
欧州自動車博物館巡りの旅 ムゼオ・ミッレミリア編も、やはり珠玉のクルマたちが展示される素晴らしい博物館で、とても1回では紹介しきれないので、2回に分けてレポートしていきます。(※毎度のことながら長編ですので、お時間に余裕のある時にご覧ください・・・^^;)
2013年 12/31早朝
メガーヌはイタリアの農業,工業の中心地として昔から多くの都市を栄えさせてきた肥沃なポー平原で朝日を迎えました。
この日も、日が昇るとやがて朝霧が立ち込めてきました。。
そうこうしているうちに、目的地Brecia(ブレシア)の郊外に到着。
↑ブレシア郊外で“Matra Simca Bagheera(マトラ・シムカ バゲーラ)”(←左の赤いの)を発見!!
ブレシアの中心街に近づいてきました♪
折角なので、駅前にメガーヌを駐車して
ブレシア駅構内のカフェ“BRICO CAFE(ブリッコ カフェ←イタリア各地の公共交通機関のターミナルでよく見るカフェチェーンですが、いつも名前に笑っちゃいます^^;)”で朝食にしました。ちなみにスタッフはぶりっ子ではなく、お兄さんでした!爆
ミラノ風カツレツの“コトレッタ”を挟んだサンドその名も“ミラネーゼ”とカプチーノ♪
やはり、駅でも本格カプチーノが飲めるのはイタリアならでは^^;
再びブレシアの街を通って、街の東にあるムゼオ・ミッレミリアを目指します
こちら↓が今回の目的地“Museo Mille Miglia(ムゼオ・ミッレミリア)”
名前が示す通り、Brecia(ブレシア)を起点にRoma(ローマ)を経由して、またブレシア(Brecia)に戻ってくるというルートを基本としたイタリアを代表する公道レース“Mille Miglia(ミッレミリア)”をテーマとした博物館です♪
入ると第1回 1927年大会から最後の1957年大会までの優勝マシンが描かれています。
こうしてみると1931年のメルセデス,1940年のBMW,そしてあの有名な1955年のメルセデス・ベンツSLR(♯722)による優勝以外は、ことごとく地元イタリア勢が圧勝していることが分ります^^;
Mille Miglia(ミッレミリア)の起こりは、イタリアのジャーナリストであるジョバンニ・カネストリーニが、1926年12月のある朝にミラノの自宅で“自動車業界を眠りから覚ますような全くセンセーショナルな何かを起こさなければ・・・”と思いついたことに始まります。
ある日、彼のもとにブレシアから3人の友人が訪ねてきました。彼らは、フランコ・マッツォッティ、アイモ・マッジ、レンゾ・カスタニェートの3人で、彼らは組織をまとめる才能に長けていました。
そして3か月後、伝説が生まれました。1927年3月26日、最初の1000マイル(ミッレミリア)レースが始まったのです。
ここのミュージアムはテーマがレースに因んでいることもあり、このような↓各年ごとのレース結果がパネル展示してあるので、このパネルとともに展示車の方も厳選して紹介していきます♪
ちなみに第1回大会の1927年はフェルディナンド・ミノーラ/ジュゼッペ・モランディ組の“OM665 Sport”が優勝を成し遂げたようです。
1930年 O.M. 469S
1927年優勝の“665 Sport”ではないものの、同社O.M.社が1930年に製造したのが、この“469S”で1,570cc、80馬力の直列4気筒ユニットを搭載しているそうです。
このO.M.というブランド、あまり馴染みがないですが“Officine Meccaniche”という1918年にミラノで創業した自動車とトラックを製造したメーカーのようです。また、創業時にブレシアの“Zust”という自動車会社を買収して自動車製造に乗り出したこともあり、地元ブレシアともゆかりの深いメーカーだそうです。
ちなみにO.M.社は1968年にフィアットグループに合併され、1975年には同グループの商用車メーカー“IVECO(イベコ)”に吸収される形で、自動車,商用車業界からブランド名が消えることになったようです。
※パネルの年号と、その付近にある展示車の年式がアバウトなのは・・・まぁ、イタリアン・ジョブってところでしょうか^^;
1928年、及び1929年大会はジュゼッペ・カンパーリ/ジュリオ・ランポーニ組の“Alfa Romeo 6C”が2連勝。
こちらは、1920年代 フランコ・マッツォッティのアビエータースタイル(飛行機乗り)のレーシングスーツの展示。
1931年 アストンマーティン LM7 ワークスチームカー(Aston Martin LM7:Work Team Car)
当時アストンマーティンの指揮をしていたイタリア系イギリス人の技術者アウグスト・チェザーレ・ベルテッリにより、1928年のルマン24時間耐久レースに向けて開発したレース専用モデル“LM”の7番目のクルマだそうです。
1930年大会はタッツィオ・ヌボラーリ/ジョバンニ・グイドッティ組の“Alfa Romeo 6C 1750GS”が優勝しアルファ3連勝を成し遂げています。
1927年 ブガッティ T37(Bugatti T37)
旧態化した“Brecia(ブレシア)”に変わる4気筒モデルとして開発されたのがこの“T37”で、新開発の1,496cc、60馬力の直列4気筒ユニットを、グランプリカー“T35”譲りのシャシに登載していました。
こちらはフロントのブレーキドラム周り。
ブレーキはプーリーを介したワイヤーによって駆動されています。当時エットーレ・ブガッティはこのワイヤーを使った機械式ブレーキに固執していて、その後も油圧ブレーキの採用を嫌ったといわれています。
この個体はブガッティ特有のアルミスポークホイールは採用していませんが、こういった細部からして美しいのは、このグランプリカーT35に譲りのT37系自体の美しさが際立っているからかもしれませんね♪
1931年大会は、始まって以来初の海外勢であるルドルフ・カラチオラ/ウィルヘルム・セバスチャン組のメルセデス・ベンツSSKが勝利を挙げています。
1929年 クライスラー 75(Chrysler 75)
1926年に直列6気筒エンジンを搭載した“Chrysler Six(クライスラー・シックス)”から始まる“70”シリーズの1929年モデルが“75”だそうです。
ミッレミリアにアメ車というと、あまりイメージがないかもしれませんが、当時の欧州のモータースポーツシーンにもアメ車の姿は見られたようで、↓このように、この個体は2012年のルマンクラシックにも出場したようです。
このランブルシートでも出てきそうなほど長いリヤトランク周りの造形↓がいい雰囲気ですね^^;
1931年 ラリー NC スポーツ(Rally NC Sport)
“Automobiles Rally”は、1921年~1933年までフランス パリ郊外のコロンブ(Colombes)で活動していた小規模な自動車製造会社だそうです。
このNシリーズは、1931年から始まるサルムソン(Salmson)製の1,300cc、45馬力の直列4気筒ツインカムユニットを搭載したクルマで、この“NC”はショートホイールベースでよりスポーティなモデルとのことです。
このシャフト&ロッドによる機械式ブレーキは前述のブガッティT37よりも確実性は高そうですね^^;
1932年大会は、再び地元イタリア勢のバコーニン・ボルザッキーニ/アメデオ・ビニャーミ組の“Alfa Romeo 8C 2300”が優勝しています。
1933年大会も、タッツィオ・ヌボラーリ/デーチモ・カンパニョーニ組の“Alfa Romeo 8C 2300MM”が優勝。
1934年大会もアキッレ・バルツィ/アメデオ・ビニャーミ組の“Alfa Romeo 8C 2600 Monza”が優勝とアルファ強しの様相を呈してきました^^;
1927年 ブガッティ T37A(Bugatti T37A)
前述の“T37”にスーパーチャージャーを装備したモデル。スーパーチャージャーは基本的には8気筒モデルのグランプリレーサー“T35B”と同様のものが使われたそうです。
1939年 アルファ・マセラティ プレーテ(Alfa Maserati Prete)
マセラティのレーシングカーをベースに、パワーユニットにアルファロメオの2,500cc、200馬力の直列6気筒を搭載したワンオフモデルで、最高速度は240km/hに達したそうです。
ワンオフモデルのようですが、このような↓“AMP”というエンブレムを付けられています。
また、粗めのボデーワークがこのクルマの“凄いオーラ”をさらに高めていますね^^;
調べてみてもイタリア語の解説が中心で、詳細情報がなかなか手に入らないですが、興味深いクルマですね♪
1935年大会もカルロ・ピンタクーダ/アレッサンドロ・デラ・ストゥーファ組の“Alfa Romeo tipo B 2900”が勝利を挙げています。
1948年 フィアット 500B トッポリーノ(Fiat 500B Topolino)
フィアット社が1936年~1955年まで生産していた初代“500”ですね。愛称の“トッポリーノ”はイタリア語で“小さなネズミ”を意味するそうですが、まぁ見たまんまですね^^;
1936年大会もアントニオ・ブリビオ/カルロ・オンガーロ組の“Alfa Romeo 8C 2900A”が優勝。
1937年大会もカルロ・ピンタクーダ/パリーデ・マンベッリ組の“Alfa Romeo 8C 2900A”が優勝、と完全にアルファの独壇場になっていますね^^;
1936年 ライレー 9 HP スペシャル(Riley 9 HP Special)
このクルマは第1次大戦と第2次大戦の狭間の時代に、英国で最も成功したライトカー(小型軽量4輪車)の1台で、コベントリーにあるライレー(Riley)社で製造されました。
パワーユニットは1,089cc,9馬力の直列4気筒OHVエンジンを搭載しているようですが、このエンジンがこのクルマの特徴といってもよく、なんとOHV方式ながら吸気バルブ用と排気バルブ用に2本のカムシャフトを持つツインカムOHV方式!!に半球状燃焼室(ヘミヘッド)を採用していたそうです。
1951年 フィアット 500C バルケッタ(Fiat 500C Barchetta)
前述のフィアット 500トッポリーノの“C型”をベース製作されたバルケッタだと思われますが、車両解説がスペック以外記載がないので詳細は不明です。750cc,24馬力の直列4気筒を搭載とあるので、エンジンにも大きく手が加えられているようです。
1938年大会も引き続き(笑)、クレメンテ・ビオンデッティ/アルド・ステーファニ組の“Alfa Romeo 8C 2900B”が優勝。1927年に第1回ミッレミリアが始まって以来、ここまで12大会中10回をアルファが優勝していることになります^^;
1939年大会は中止だったようで、次は1940年になります。
1940年大会は、フュシュケ・フォン・ハンシュタイン/ワルター・バウマー組のBMW328が優勝。ドイツ勢の優勝は、1931年のメルセデス・ベンツSSK以来の2度目ですね。
1948年 ザヌッシ フィアット フォンテバッソ スポルト(Zanussi Fiat Fontebasso Sport)
ヴェネト州バッサーノ・デル・グラッパのセバスチアーノ・ザヌッシが、フィアットのシャシをベースに造り上げた、ワンオフのバルケッタのようです。
パワーユニットは750cc,50馬力の直列4気筒エンジンを搭載し、車重は480kg。
ボクの550にも貼っていますが、この当時風のミッレミリアスタイルのゼッケン、とてもお気に入りです♪
ちなみに、この3ケタは出走時間(2時52分出走)を意味しています^^;
ロッソコルサに濃い目のブラウンの内装がイタリアン・バルケッタ独特で、素敵ですね!
1946年 アルファ・ロメオ 6C 2500 スポルト(Alfa Romeo 6C 2500 Sport)
戦前のミッレミリアにおいて圧倒的な勝利を収めていたアルファ・ロメオは、1925年~1954年の間に製造したロードカー,スポーツカーそしてレースカーに、この“6C”の名を冠していました。“6C”のネーミングは、搭載されていた直列6気筒エンジン(イタリア語で6 Cilindri)に由来しています。
1938年に導入された2500ccの直列6気筒モデルは、ロードカーとして最後の“6C”となりましたが、第2次世界大戦の勃発により自動車開発はストップしてしまい、1945年までに少量が作られるのみとなってしまいました。
この展示車両は、1946年に戦後初めて造られた“6C フレッチャ・ドーロ(Freccia d'Oro:黄金の矢の意味)”と呼ばれるモデルで、戦前の“6C 2500”に改良を加えて1951年までに約680台が造られたそうです。
1947年 ロヴェッリ・フィアット(Rovelli Fiat)
この時代に数多生まれたであろう、フィアットのシャシをベースとしたレーシング・バルケッタ、いわゆる“イタリアの虫”。
このバルケッタも車両解説がスペックのみですが(汗)、1,100cc,60馬力の直列4気筒エンジンを搭載し、ミラノのボデー架装工房と思しき“カロッツェリア・カスターニャ・ミラノ(Carrozzeria Castana Milano)”のバッジが備わっていました。
この時代は、まだ馬車のボデー架装から発展したボデー架装工房“カロッツェリア”全盛の時代で、当時の自動車製造は、自動車メーカーで製造したシャシをカロッツェリアに持ち込んで、好みのボデーを架装するという古き良き風習が生きていたようです。
後端が長い空力形状が、ヤーライ理論的な40年代らしい処理になっていますね^^;
1941年以降、ミッレミリアは第2次世界大戦の戦火のために、終戦まで中止となってしまいます。戦後になってミッレミリアが再開されるには1947年まで、待たなくてはなりません。
“ムゼオ・ミッレミリア編パート1”は以上になります。戦後のミッレミリアの模様は次回 “ムゼオ・ミッレミリア編パート2”にてお送りします。
長くなりましたが最後まで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
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