日本で使われている「常用漢字」は2136文字。高校卒業までにはこれらが全て読め、大部分が書けるようになる、そのうち1006文字は小学校で習得する、というのが今の漢字教育の指針である。漢字の苦手な小中学生は「漢字なんていらないのに」と嘆いていることだろう。しかし、それぞれの漢字は貴重な文化的情報がいっぱい詰まった「宝」なのだ。
中国メディア・今日頭条は1日、「どうして日本は韓国のように漢字を放棄しなかったのか」とする文章を掲載した。文章はまず、韓国が20世紀に漢字を日常的な文字体系から外したと紹介。「歴史的に自らの命運を決められなかった国として、漢語文化圏から脱して独自の文字や言語体系を持とうとし、民族的な自信を高めようとする行動は理解できる」と評する一方で、同じく1000年以上にわたり中国文化の影響を受けてきた日本では「どうして漢字が配され、自ら開発した仮名に取って代わられなかっただろうか」と疑問を呈した。
そのうえで、実は日本でもかつて漢字の廃止を検討した時期があったと解説。しかし、討論の末最後は残すことを選んだとし、そこには「漢字を廃することは単に文字を廃するのみならず、字が背負っている文化を捨てることになる。よく分からない愛国的偏向により漢字を廃せば、大きな損失になる」という考え方があったと説明した。
そして、今の日本では漢字を含む書道が小学校で必修となっているほか、本場である中国を大きく上回る書体が開発されていると紹介。「日本の漢字や書道に対する熱愛ぶりは、自らの心の中から出ているものである」とし、漢字文化がもはや「中国のものではなく、日本の文化や魂を象徴するもの」として認識されていると伝えた。
文章は、漢字を日本文化の象徴と考える日本人に対して「われわれは怒るのではなく、むしろ喜ばなければならない。われわれの文化が極めて大きな伝播性と親和力を持っていて、その深さも計り知れないことを示しているからだ」とした。そして、今の中国の文化人が考えるべきは「西洋文化の偉大さへの賞賛」ではなく、「中華文化の根っこを深く掘り下げること」なのであると論じた。
日本の言語文化を大きく発展させた仮名文字も、元は漢字から生まれたもの。そして、漢字自体ももはや日本文化とは切り離せない存在になっている。かつて、漢字の廃止は識字率の向上に寄与するとの観点から語られることもあったが、高い識字率を実現している現代の日本においては、廃することによるデメリットの方が圧倒的に大きいはずだ。
日本人は漢字文化を現代に至るまで大切に守り、発展させてきた。同時に、アルファベットなど西洋の言語文化も柔軟に吸収して「日本語化」してきたのである。文章は「西洋文化の偉大さを賞賛することを考えるのではなく」と中国の文化人に呼びかけているが、「西洋文化の優れた部分を探して取り入れるとともに、中華文化の根っこを深く探れ」と呼びかけるべきではないだろうか。少なくとも日本はこれまで、そうやって文化を作り、守ってきたのである。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF) サーチナ: 2016-11-02 11:33
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2016/11/04 12:24:24