業績回復に向けた動きは、土地・子会社の株式の売却だけではない。
前にも話した、「マツダ」と「フィアット」の次期ロードスターの共同開発も
その一つだろう。
「マツダ」ロードスターと「アルファロメオ」ブランドのスポーツカーを、マツダ本社
工場で生産し「フィアット」が、欧州や米国など世界市場で販売する意味は大きい。
コストがかかる割には、販売台数が伴わないスポーツカーの単独開発は、「マツダ」に
とって厳しいところだった。今回の、提携が正式に決まれば「マツダ」は、開発投資に
余裕が生まれるメリットがある。今後両社の動きから目が離せない。
自動車メーカーの生産・開発の効率化が進んでいる。主なものとして、
トヨタ自動車では、前輪駆動車の車体を、現状9種類から半減させる。
部品共通化を、一段と加速させる。写真は、トヨタ本社工場。
日産自動車では、4ブロックに分ける新型車開発で、共通部品の使用率を8割に
拡大させる。写真は、日産栃木工場。
ホンダ技研では、共通車台で販売している台数を、現在の2倍近い100万台越に増やし、開発から生産までの効率を高める。地域によっては、生産・販売する
車種を分ける。写真は、ホンダ熊本工場。
マツダでは、4種類ある車台の基本構造を一本化する。それに伴い、1車種で数百億円
とされる新型車の開発費は、3割削減されるという。
また、車を組み立てる場所を柔軟に変更できるようにして、工場の稼働率を安定化させる。
写真は、本社工場で造られるCX-5。今後の新型車と車台を共通化している。
さらに、車台の基本構造改革だけには収まらず、エンジンの構造改革にも取り組んでいるという。
簡単に説明するとしたら、同じ生産ラインで、排気量の違うエンジンを
(1300ccと2000ccのガソリンエンジン・2200ccディーゼルエンジンなど中心に)一緒に流して、
1時間で100基余りが完成していくという。
どうして、違うエンジンを一緒に流して、生産できるのか?その答えは、
「排気量が違っても、流れているエンジンは同じ形をしている」と製造部マネージャーがいう。
ガソリンやディーゼルの違いを超えて構造をそろえることで、生産性を高めた。
まさに、モノ造り日本がそこにある。
写真は、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンを同じラインで造る工場。
こうした「エンジンの構造統一」実現には、部門間の連携がカギを握ったという。例えば、エンジンの主要部品である「シリンダーブロック」で説明したい。
排気量ごとに違っていた、加工時の固定場所を、昨年6月からの新シリーズでは統一したという。
これに伴い、生産工程を45から4に変更、その結果、生産時間は6時間半から1時間強へ、
劇的に生産効率がアップしたという。
「難しい作業だった。早い段階から生産側と意見を出し合い、お互いのこだわりの理解に努めた」
とエンジン設計部部長が振り返った。
トヨタ自動車なども、車体の基本構造や部品の共通化を急いでいる。
低コスト生産が強く求められる、「新興国」市場が大きい中で、業界で一段と
効率・低コストの動きが加速していく。
ただ部品や構造の共通化には、常に「ジレンマ」がつきまとう。同じ部品を、
多くの車種に使えば使うほど、確かに「コスト」が下がり、利益を生むかもしれない。
しかし反面、車種ごとの個性がなくなってしまう。
「車種ごとに共通化する部分と、変動要素として個性を出す部分を明確に
して、多様な商品に対応する」とマツダは説明する。
写真は、CX-5と次期アテンザセダンモデル・ロシア仕様。
これからの「マツダ」は、走行性能(SKYACTIV-G・SKYACTIV-D)や
個性的なデザインを強調し、生産効率を極限まで進めながら、大手メーカーと勝負していかなくてはならないという、難しいバランスがさらに求められてくるであろう。
緊急特集 マツダ 歴史的な円高にどう立ち向かうのか!!
その5 最終回を終わります。
明日から、マツダ 名車列伝 ユーノス・ロードスター編に戻ります。
間違えがあったらごめんなさい。
がんばれ「マツダ」!!
Posted at 2012/07/29 08:21:10 | |
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