こんにちは、銀匙です。
今回なぜα7Ⅱを買ってしまったのか、という事から。
元々、α7Ⅱは購入対象外にしていました。
α7に比べて140gも重いし、(聞いた所では)サードパーティのマウントアダプタには手振れ補正は効かない。
α7とα7Ⅱの最大の違いはそこなので、「ちょっと重くても良いから手振れ補正が欲しい」というα7ユーザ以外はあまり買い替えの価値は無いなと思ったのです。
しかし。
私がそもそもミノルタマウントで始め、今に至るのは親から譲り受けた数本のレンズとカメラがミノルタ製だったからなのですが、そのなかの1本に、
AF28mmF2(I)
があったんですね。
このレンズ、αSweetDigitalやα700では盛大にホワイトバランスを暴れ回らせる怪物で、じゃじゃ馬も良い所だったのです。
ゆえに防湿庫の奥で眠らせていたのですが、
そういえば、α7ならフルサイズで使えるなぁ
という事をふと思い出したのです。
オールドマウントレンズ探しももはや最終盤。
「ええい!第2次世界大戦中のドイツドレスデンガラスを使った
ソ連製レンズなんだろうな!」
などとムキになって訳の解らないポイントを口にしながらオークション画面を睨みつけているわけです。
で。
ちょっと血迷ってしまったんですよ。
買ってしまったんですよ、
LA-EA4を。
・・・。
ええ、ソニー製の純正マウントアダプターです。
αマウントがEマウントで、ちゃんとAF効いて撮れますよというアダプタ。
ただし下の出っ張りが死ぬほどうっとうしいと悪評高い奴です。
ちなみに、ミノルタのαレンズをMFオンリーで、絞りも手動で動かすタイプの中華製マウントアダプタ(3000円くらい)も持ってます。
持ってますけど、αレンズはマクロレンズじゃなければピントはAFの方が良い。
なぜなら、特に私が持ってる(I)型はピントリングがとても狭く、そしてピントリングの手ごたえがAF用にスッカスカなんです。
なのでLA-EA4を買ってみたんですが・・
良いじゃないか・・・
となったんですね。
特に良かったのが以前持っていたα55並のスピードでAFが合う、という所。
正直もっと遅いと思ってたんですね。
実際買う時も
「あ、AFは遅いんで覚悟してください」
と言われたくらいでしたから。
(この一言で15分は迷いましたよ)
でも、期待以上にAFがきちんと合ってくれる。
なので翌日もカメラ屋を回り、冒頭の写真に出てくる
MINOLTA AF24-85mmF3.5-4.5 NEW
を買ったんです。確か7000円くらいでした。
ここで普通のソニー/ミノルタオーナーの方ならあれっと思うはずです。
なぜなら、このレンジのαレンズでは
AF24-105mm
が圧倒的に有名ですものね。
でも、私個人としては24-85の方が描写は好きだったんです。
ミノルタの24-85を下取りに出してSONYの24-105を買った後、うわしまったと思ってMINOLTAの24-105に買いなおしたんだけど、やっぱり24-85の方が良かったなあと思った事を覚えていたんです。
とはいえ、このレンズ、家に帰ってきてよく見たら後玉に傷がある。
店が薄暗いから見えなかったというのは通じない言い訳なので諦めるしかありませんね。
そのうち程度の良い物が出てきたら買いなおすかも、かも。
で。
その2本を持って、α7にLA-EA4をつけて撮ったのが、これです。
α7無印-AF28mmF2
α7無印-AF24-85mmF3.5-4.5 NEW 24mm側(ただし後玉傷アリ)
α7無印-AF24-85mmF3.5-4.5 NEW 50mm付近
驚いたのは、28mmF2を付けてもAWBが暴れない事。
ちゃんと見たままに写ってるんですね。
そしてフィルム時代から割と良いと言われているだけあって、28mmF2はしっかり隅まで写している。
事実、2015年9月時点で中野でこれと同じ中古を買おうとすると4.5万必要です。
EマウントFEレンズが揃い始めて斜陽といわれているαレンズにしては異様に強気な値段ですが、理由はある、という事です。
そして24-85の方も後玉中央に1mmくらいの傷というかごく浅い欠けみたいなものがある事を念頭においても、しっかり写ってると思います。
Eマウントオーナーにとっては35mm換算で24mmというのは本当に選択肢が無いので、古かろうとなんだろうと良く写れば良しです。
ただし。
風景撮影において、実はAFは「邪魔」だったりします。
なぜならほとんどの場合、無限遠で固定してて差し支えないのです。
ゆえに多くのシーンにおいて、撮影ごとにピントを合わせなおすAFは、実は撮影テンポを悪くします。
28mm同士なら28mmF2よりオリオン15の方が圧倒的に高速です。
ORION15は最初から無限遠F8にしっぱなしですから、0秒フォーカスなのです。
とはいえ。
ORION15とかに比べれば新しい設計のレンズ。
ならば手振れ補正も欲しいねと、ムクムクと良くない癖が沸いてきたんです。
そしてα7Ⅱの事を改めて調べてみると、
自動設定非対応のマウントアダプタを付けた場合、手動で設定した
焦点距離が適用される。任意のタイミングで再設定も出来る。
という仕様だったんですね。
これ、最高なんです。
私は以前、PENTAXのK-7やQを運用していました。
その時あのボディはいずれも手振れ補正機能があるんですが、社外マウントアダプタや旧世代のレンズを付けると、
必ず、電源ONの時に焦点距離何ミリのレンズを付けてるか確認する。
という仕様だったんですね。
これ、最低なんです。
この違いを説明しますと、例えば電源OFF状態で持ち歩いている。
レンズはいつも使ってるMFの28mm辺りを付けてるとしましょう。
で、角を曲がったら素晴らしい朝焼け。
丁度天使のはしごの下に船が通りかかっている。
撮影しようと電源ONした。
α7Ⅱは、そのまま撮影に入れます。
手振れ補正用の焦点距離も「いつも通り」28mmに設定されてるから問題ありません。
充分狙いながら最高の位置でシャッターを切ってにんまり、です。
K-7は、「いちいち」確認画面になります。
ファインダを見て撮影モードにならない事にオヤッと思う。
液晶を見て舌打ちしながら「いつも同じなのに」28mmでOKとボタンをクリック。
そして再びファインダを見ると、船は絶好の位置から遠ざかっている。
こういう事なんですね。
本当に1分も違わない世界だと思います。
でも、それが致命的な差異を生む。
カメラにしろレンズにしろ、撮影したい状況に出来るだけ添っていて欲しい。
そしてユーザーが素人であるほど、咄嗟の時に邪魔しないで欲しい。
ゆえにレンズシステムの選定基準はレスポンス重視なんです。
あえてMFにしてでもフォーカスタイムを削ぎ落とすのもそういう事です。
ONOFFにするたびに鏡筒がういんういん伸び縮みし、メーカーロゴが出て時間稼ぎするようなコンデジなんか論外です。
Eマウントでも16-50は評判良くないですけど、私が買わないのは写りの前にういんういん伸び縮みするからです。
あんなのはダメ。キットレンズ失格。
縮んだ状態で起動出来るようレンズ設計するのが一眼メーカーのレンズ設計者としての腕の見せ所でしょう。
早くNEX-5Rに見合う、まともな描写をするパンケーキ広角レンズが出てきて欲しいんですけどね。
冒頭の写真で5Rに付けてるのがそうですが、今持ってるMF専用の25mmレンズが厚さ2.5cmなので、新製品は厚さ2cm以下でお願いします。
今ある大昔のレンズより、新製品が悪ければ買う気はありませんし。
話がずれました。
そんな訳で、手振れ補正が「撮影を邪魔しない仕様」で、しかも社外マウントアダプターを付けたとしても、なんと
焦点距離8mm
から対応してくれる事が解りましたので、α7と使ってない物諸々を出して、更に追金を支払ってα7Ⅱをお迎えしたわけです。
じゃあ、α7Ⅱはどうだったか。
簡単に言うと、
Eマウントも使えるα700
ですかね。
グリップが太くなって握りやすく、ボディ剛性が大幅に上がりました。
LA-EA4と24-85程度のレンズを付けて、グリップだけ持って片手で振り回してもみしりとも歪みません。
さすがに「指とシャッターが一体化したかのように錯覚する」α700の超高速レスポンスには及びませんが、α7で感じたスローライフ的もっさり感は皆無。
これはα7ファームををV2まで上げても追いつけませんね。
手振れ補正についてもORION15を念頭に28mm設定しっぱなしですが、特に不都合はありませんでした。自分が一番良く使う焦点域を設定しておいて、気になる方はFnキーのメニューの1つに焦点距離調整のサブメニューを仕込んでおけばわざわざMENUから潜らなくてもツータッチでダイレクトアクセスできます。
結構ちゃんと考えてるなという感じですね。
あと、シャッター音はα700系の「シュピッ!」というキレの良い音です。
LA-EA4を付け、AFレンズを付けるとよりキレの良さが上がります。
シャッターレスポンスが上がるわけじゃないので雰囲気だけの話ですけど。
そしてもう1つ、オールドレンズユーザーに衝撃的な話。
UltraWideHeliar 12mmF5.6が、ほぼ完全にマゼンタ被りを起こさない。
という事が解りました。
これは嬉しい誤算でした。
まさか35mmフルサイズのカメラで12mmの非魚眼レンズが使えるようになるとは思ってなかった。
それも散々「フルサイズ設計には無理がある」とこき下ろされているEマウントで、それも手振れ補正までつけたカメラですからね。
ちなみにUWHを28mm設定のまま撮影しても特に問題なしでした。
元々手振れ補正が効かないNEX+オールドレンズで撮影し続けてきてますし、超広角ではそんなに手振れは影響しないんです。
だから、α7Ⅱは非常に快適。
α7でネチネチ責められたネガを徹底的に潰してきたカメラです。
ただ、冒頭の写真の通り、同じEマウントのカメラなの!?というくらい、この2つのカメラは図体が違い過ぎます。
まぁα7ⅡでもAFが要らない状況ではORION15とかをつけてればもっと小さくなりますが、フルサイズでトコトン小型軽量を求めるならα7無印が唯一の選択肢でしょう。
実際、α7無印にLA-EA4でもAF速度は気になりませんでした。
140gを取るか、剛性と手振れ補正、そして細かな使い勝手を取るか。
そういう事になります。
ちなみにα7ⅡをLA-EA4でボディ側モーターでAFをする24-85や28mmF2で運用して、200枚以上撮影してもバッテリー残量は65%くらいありました。
これはα7無印(ファームV2)でもほとんど一緒です。
なので長期旅行なら予備はあった方が良いでしょうが、基本的には1日撮影して帰ってきたら充電、というやり方でいけると思います。
今の所、Eマウントで唯一オールドレンズにも「まともな仕様で」手振れ補正が効くα7Ⅱ。
小型で気軽に持ち出せるNEX-6。
この2台体制が最強の組み合わせじゃないかと思います。
まぁその、中古市場はその通りの評価をしてるので、やや高いです。
もし買いたいなという人が居ればの話をしておきます。
2015年9月時点ですと、α7Ⅱはカメラのキタムラで15万1000円まで下がってます。
私はこれに5年保障をつけて大体16万で買いました。
一方、中古では良上品なら14万5千円くらいついてるので、保障込みで1万5千円の差なら新品買って吉だと思います。
私はα7無印を約2年で計3回修理に出しましたから、保障は付けておいた方が良いと思います。
ソニーの一眼修理部隊はミノルタの面々なので、ちゃんと診て、ちゃんと直してくれますし。
では最後に、α7Ⅱでの撮影サンプルを。
α7Ⅱ-28mmF2
α7Ⅱ-AF24-85mmF3.5-4.5 NEW 24mm側
α7Ⅱ-AF24-85mmF3.5-4.5 NEW 85mm側
α7Ⅱ-ORION15(28mmF6) 手振れ補正ON
というわけで、私は総合的に言ってα7Ⅱは戦後LマウントからAマウントレンズまで含めたオールドレンズ全般の母艦として「買って良い」と思います。