押井守監督『イノセンス』を観ました。
士郎正宗『攻殻機動隊』の映画化です。
作中に気になった点や気が付いた点がありましたので、健忘録も兼ねて記しておきます。
①冒頭の引用は、ヴィリエ・ド・リラダンの小説『未來のイヴ』より。
②ガイノイドの名前「ハダリー」は、『未來のイヴ』に登場する人造人間ハダリーより。
③ハダリーの製造元の社名「ロクス・ソルス社」は、レーモン・ルーセルの小説『ロクス・ソルス』より。
④ハダリーの鑑識を担当したオバサンの名前「ハラウェイ」は、「サイボーグ宣言」という論文で知られる学者ダナ・ハラウェイより。
⑤『未來のイヴ』と『ロクス・ソルス』は、ミッシェル・カルージュ『独身者の機械』の中で詳細な分析批評が成されている。
これほど解読のヒント満載な作品って、あまり見かけないですね。
できるもんなら読み解いてみろ!といわんばかり。
他にも引用がたくさんあるのですが、それがヒントなのか単なるペダントリーなのか判然としません。
主人公バトーは典型的な「独身者の機械」ですね。
相棒のトグサが妻帯者であることが作中で幾度も言及されているのは、“独身者の機械”たるバトーと対照させるためか。
強力な分析批評理論である「独身者の機械論」と「サイボーグ・フェミニズム論」を駆使すれば、この『イノセンス』という作品の内臓をえぐり出せそうな予感がするのですが……。
ホコリをかぶり、錆びついたほやっての脳ミソでは無理ですな。
Posted at 2012/12/28 23:03:24 | |
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