日常使用を考慮して・・・
いくら軽トラックとは言え、30年を優に超えるハイゼットを普段酷使すると、どうしてもトラブルに見舞われる。今日は、日頃足に使ったり、のんびりドライブをしたり、割と使用頻度の高いハイゼットのDIY修理。きっと部品も出る物もあると思うが、ホームセンターやカーショップで買える物を用い誰でも出来そうな簡単な方法でやって見た。ただやって見たかったと言うべきでもある。
文と写真/CHAN YOKO
今回の修理と手直し(格闘)は以下の内容
①セルモーター不具合
②プラグ及びプラグキャップ不良
③ポイント交換及び点火時期調整
④キャブレターオーバフロー
⑤マフラーサイレンサー部穴あき
⑥コーナーパネル板金
⑦その他
①セルモーター不具合
症状としては、キーを回しても稀にセルが全く反応しないというもので、使用頻度は少ない物の年数が経っているので、グリス切れなどで動作不良を起こす事がある。とりあえず分解清掃グリスアップを行った。作業中の詳細画像は無いのだが、分解してみると想像通りのもので、完全に粉のようになったグリスが、各部に張り付いている状態。すべての部分を清掃してグリスアップして組み直した事で、症状は全く出なくなった。そして、以前よりセルモーターが軽く回るようになり、効果は大きい作業だったと思う。この作業で使った物は、パーツクリーナー、レクトラクリーン、グリス2種類。
注)この作業をする場合には、必ずバッテリー端子を外すのをお忘れなく。
②プラグとプラグキャップ不良
症状としては、1気筒になってしまう、加速力が全くなくなる、ラフなアイドリング・・・などである。こちらも詳細な画像は無いが、キャップは完全にリークして端子部分が破損、2番側プラグと固定されていない状態であった。プラグに関してはその影響なのか碍子部分が破損して端子が折れている状態。
左側のプラグの碍子部分が欠損しているのが分る。
プラグキャップは純正を使用せず、バイク用のNGKの赤いやつに敢えてしてみた。プラグは純正指定のNGKのBP6ESに交換。この作業により、始動性と加速力の向上が見られた。何より見た目が良いと思うのだが・・・。先頃、強風が吹く事が多かったが、強風が吹くと上記の症状が現れると言う奇怪なトラブルが出ていた、プラグはキャビン後方、車体左側に位置するが、風雨に曝され易い場所にある。強風の力でプラグキャップが外れていたのだろう。奇怪なトラブルにもこれで合点が行く。
③のポイント交換及び点火時期調整
これは特に交換する必要も無かったのだが、手持ちに新品のポイントがあったので、交換する事にした。助手席側のドア内側に「エンジンの点検要領」なるシールが貼ってる。それによると、「点火時期10°/1000B.T.D.C./rpm」「ディストリビュータポイントギャップ0.4~0.5mm」となっているので、そのデーターを基に調整を行った。ついでにセルモーターと同じ要領でデスビも清掃した。この作業で改善された部分は特に無かったが、気分的には、改善された事と、いづれ来るであろうポイントの寿命前の予防策である。
注)この作業をする場合は1番圧縮上死点にする事をお忘れなく。
④キャブレターオーバーフロー
上記の図がフロートの構造である。よそ様より拝借した図ではあるが、構造が理解し易いので使わせて頂いた。
①がフロート②がフロートバルブ③がバルブシートである。ガソリンが消費されるとフロートが下がりフロートバルブを下げる事によってバルブが開きガソリンが供給されると言う構造になっている。
オーバーフローには、大まかに分けると何種類かの原因がある。一つは、ゴミまたは錆がフロートバルブに詰まり、燃料が常に出てしまいオーバーフローする。この場合は、走行中急に症状が出るのが特徴である。症状はアイドリングが全くしなくなり、低回転が著しく不調になる。急に排気ガスが、ガソリン臭くなるなどである。もう一つはフロートのパンクによりオーバーフロー。これは特にフロートが真鍮で出来ている物にある症状で、大概の場合一晩置いて朝始動した時にオーバーフローする事が多い。だが近年のキャブレターは、フロートが樹脂で出来ているので、この症状は出辛いはずである。そしてフロートバルブの摩耗によるオーバーフロー。これはゆっくり時間をかけて症状が出てくるとても分り辛いオーバーフローである。とは言う物の、これくらい摩耗している場合は、他の摩耗や不具合も併発しているはずで、全体的に調子が悪いはずである。
キャブを取り外した画像。オイルパンの上辺りが濡れているのがお分かり頂けるだろうか。ここまで酷いオーバーフローだと引火の恐れもあり非常に危険である。
取り外したキャブレターとフロート。さらに分解し原因はフロートバルブに、ゴミが詰まってオーバーフローした事が判明した。原因は症状から予測は出来ていたが、全く分かり易い、目視出来る程のゴミであった。フロートバルブは形状が三角錐になっているのだが、摩耗は見られなかった為、そのまま清掃だけにする事にした。当然他のジェットや通路なども同様に清掃した。清掃に用いた物はキャブクリーナー、パーツクリーナー、細い針金等である。エアコンプレッサーをお持ちの方は、エアブローでも構わないのだが、万が一取り忘れた小さなパーツを吹き飛ばしてしまっては元も子もない。使用する場合は十分な注意が必要であろう。また細い針金は、荷札などに付いている物で十分である。ジェット清掃用のワイヤーセットも販売はされているが、頻繁にする作業では無いのでこの様な物を用いれば良いと思う。また分解すると言う事は、キャブレターには各部にガスケットが入っている為ガスケットも用意しなくてはならない。OHキットを注文したなら摩耗するジェット類、Oリング、ガスケットがセットになっているのだが、今回はガスケットも自作する事にした。汎用品のガスケットを型取りするだけなので、自作でも十分である。それに耐油性のボンドをはみ出さない様に少量塗り組み立てれば問題は無い。因みに今回油面の調整は、フロートバルブ内にある小さなスプリングを気持ち伸ばして組み立てた程度で特に計測はしていない。
組みつけて始動してみる。エアスクリューとアイドリングの調整をすると、今迄の不調は一体何だったのだ、と言う程調子を取り戻した。調整で一番厄介だったのが、アクセルを戻した時に急激に回転を下がらなくする為と、始動時に若干アクセル開度を保持しファストアイドルをする負圧のパーツがあるのだが、それの調整に一番時間を食われた。だが、調整がしっかりとされると始動は、キーを捻るだけになり、時速20km程度の走行時でもガクガク言わず、ずぼらな操作ができる優れ物である。
その後、燃費の計測を何度か試したところ、平均燃費で、19.7km/ℓとまずまずの高燃費になった。以前は、調子が良いと思っていた時でも、17km/ℓ程度だったので、大分向上された。大気中に排出するガスの影響もあるので、エコカーかどうかは分からないが、省燃費ではあると思う。何より財布に一番エコになった。
⑤マフラーサイレンサー部穴あき
以前よりサイレンサーに錆による穴が開いており、何とか簡易的に補修を繰り返してきたが、今回はそうも行かない程の状態にまで達してしまった。マフラー内部のパイプを保持している金具まで錆の浸食で外れてしまいガラガラと音を立てる始末に・・・その内走行中にバコンッという音と共に排気音が爆音になってしまった。もはやこのまま乗る訳にも行かず、マフラーを注文しようかと思ったのだが、やはりそのままを活かす事を選択し修理することに。修理方法としては、溶接による修理、マフラーパテによる補修などがあるが、今回は溶接をせず、尚且つ耐久性があり、どこでも手に入り誰にでも出来そうな方法を取る事にした。
もはや穴あきのレベルとは言い難い、音量も閉口する程勇ましい。
今回使用する材料は以上のような物。中でも期待の品が、再生好きには馴染み深い染めQブランドより出ているアルミパテである。何でも防食性と多少の耐熱性があるのだそうだ。この手のパテには有名処で、デブコン、ハチサンなどがあるが、両者共に価格が中々のもので、効果は素晴らしいのだが、エンジンの補修であるとか、または業者でもなければ、おいそれと購入する気にはなれない。そこで以前より気になっていた、このアルミパテを使用する事にした。価格も2千数百円とまずまずである。マフラー補修をした事がある方ならマフラーパテを使った事があると思うが、このパテはやがてポロポロと落ちて行き最後には、すべて取れてしまい「やっぱりパテはだめだな・・・」となったに違いない。まさに私もその口である。だが、パテをそのまま使用したのであるとやはり同じ結果になる事は明白で、今回は、色々と対策を取る事にする。その一つが、マフラー補修バンドである。これもどこのカーショップでも手に入る商品で、価格も60cmの物で1800円程度とリーズナブルである。その他は、作業を進めながら説明して行く事にしよう。
そのままパテを使用すると外れてしまうので、ホームセンターで売っているステンレスの金網をパッチ兼内部に剥がれ落ちるのを防ぐものとして使用する。大体の大きさに加工して置く。
ある程度錆を落とし、その後パッチを穴の中に入れる。激しく変形した穴の周囲は、適当に修正して置く必要がある。
パッチについているのは、この金網を剥がした針金である。これはパテを使用する時にパッチをサイレンサーの表面に近づける為に取り付けている。要は引っ張って置くのである。勿論パテ入れが終わったら切断する。
そしていよいよパテである。この商品は硬化剤が別にある2液性だ。
写真の紺色っぽいのが硬化剤だが、実際はこの量だと5分の1程度で十分である。商品説明には、パテ100に対して硬化剤1となっていた。写真は分かり易いように多めに出してみた。
大体この位の色になれば良いのであろう。
そして針金を引っ張りながら添付して行く。パッチの奥にもパテが回り込むように塗って行く。写真はすでに硬化が始まっている。
そして完全に硬化が始まってしまう前に補修バンドを巻きつける。バンドも一緒にパテでつけてしまおうと言う魂胆である。このマフラー補修バンドは長さが数種類あるようで、事前に外径を採寸する必要がある。本来これで終了なのであろうが、締め付けるバンド部分が中心に1点なのがどうも信頼を置けず、更に手を加える事にした。
それがこのステンレスバンドである。ホームセンターで長い方で400円程度。
そして取り付けた状態がこれである。少し目立つものの嫌な感じもないので、まずまずだと思う。この後、硬化が確認出来た所で、表面をハンマーで叩いてみたが、かなりの金属的な強度がありそうな音がした。この後エンジンを始動したが、排気漏れはほとんど見受けられない状態になった。バンドが、熱により伸びるので、安定するまでは増し締めが必要である。
⑥コーナーパネル板金
この車を手に入れた当初より赤い矢印の部分が、凹んで変形していた。あまり外装的なところは、修理しないつもりであったが、どうにも気になるので、板金する事にした。作業過程の画像はこちらも無いが、使用したのは、アストロに売っている安物の板金用ハンマーとドリーで、自家製板金には十分なセットとなっている。まず、色々とパーツを外しコーナーパネルを外す。変形の無い右側を手本にハンマーとドリーで板金して行く。出来る限りパテの量を少なくしたかったので、そのままでも分からない程度まで板金する。その後、全体を400番程度のペーパーで慣らし、パテ入れ。パテはしっかりとした物を使うのをお勧めする。簡単に言えば、2液性の物が良い。良くカーショップ等で、薄付けパテと称した硬化剤が無い物があるが、あれは硬化も非常に遅く硬度も足りない。外板にはあまり使わない方が良いだろう。パテもこねる時に十分にこねて、中の気泡を出すようにした方が良い。硬化後、削り出すと気泡が残っていると巣穴の様になるからだ。パテと硬化剤の分量は、使いながら慣れるしかないだろう。パテ付けする場合に、割と重要なのがヘラである。ちゃんとした物を使い丁寧なパテ入れをした後にペーパーで削って行くとパテ入れした部分は、シミのようになって行きまったく気にならない程きれいな面が出る。その後脱脂をしプラサフを吹く。サフェーサーの色は塗料の色に合わせて変えないと発色が悪くなるので注意が必要だ。サフェーサーを吹くと艶があるうちにはパテとの段差や下地処理の状態が確認し易い。その様な部分が見受けられたら、再度下地処理をする必要がある。問題なければ、色を入れて行く。今回は、ウレタン塗料でなく、普通にホルツのダイハツハイゼット用の白の缶スプレーを使った。元の色がかなり退けているので、塗った場所は、赤みがあるような若干色に違いが出たが、中々の調色具合で、さして問題となるレベルではない。ブロックでの塗装にしては、言わなければ気付かれないだろう。塗装の際の注意点は、対象物を立てたまま塗ると塗料が垂れ安いので横に出来るのであれば、その方が簡単である。あと塗料のノリ辛い部分から、色を入れて行くのも忘れてはならない。
完成した状態。元があまりキレイな方では無いので、この位で十分と、勝手に良しとした。不安な部分としては、ラッカー塗料故に、耐久性がどの程度あるかだ。クリアーを吹くことも考えたが、いつかウレタン塗料で再度塗り直してみたいと思うので、これも良しとしよう。後ついでに行った作業として、コーナーパネルを外すには、ウインカー、グリル、バンパーを外さないといけないのだが、外したついでに、これらを徹底的に洗浄力のある洗剤で洗い、その後、物に合わせて耐水ペーパーやコンパウンドなどで磨いてみた。全体的にすっきり感が、出た感じである。この時に、樹脂で出来てるドアミラーの退色が気になったので、こちらは染めQで塗ってみた。中々の半艶加減で、言われなければ気付かないレベルだと思う。
⑦その他
この項は、かなりどうでも良いおまけである。先ほどのマフラー修理で、余った金網を使ってこんな事をしてみた。
まず粗方の大きさに切断する。
ガーデニングでも始めるのだろうか・・・。
鉢植えは、単なる型に過ぎない。この直径は、何かと全く同寸法であった為使用した。
その後、角をプライヤーとハンマーで、修正して行きこんな形にした。
仮付けをしてみる。実際には、取り付ける事はしないが、ライト保護の網である。これをしっかり作るのであれば、もっと荒い網(餅を焼く時の網)を使った方が、見栄えは良いだろう。後、周囲にフレームを付けなければいけないので、固めで細めの丸パイプか太い針金などもいるだろう。まあしかし、ただライトが、丸型のシールドビームだったと言うだけの安直な発想である。今回は、色々と修理やら手直しを行ってみたが、どれも素人レベルの物で、自己責任による作業内容と仕上がりに過ぎない。まあ本人が納得していればそれで良いのだが。
あとがき
今回はどこぞの旧車再生推奨雑誌のコーナーをパクって見ましたが
始めて行くと思った以上に時間を取られて改めて雑誌編集の大変さが
少しだけ分かったような分からないような・・・w
もうこのバージョンはしないよ・・・ママン