富士の高速戦に向けて投入したアイテムの効果確認のため,再び日光サーキットを訪れました.
今回は心機一転,カラーリングも変更し・・・なんてワケはなく,タイトル画像は現地でお会いした
黒い夢。さんのEF8です.
赤と黒のコントラストがしっかり出たボディが格好良く,まだ日光2回目だそうですが挙動が安定していて乗りやすそうでした.初めてお会いしましたが,EF8の色々な苦労話も聞かせて頂き,非常に楽しい時間を過ごせました.有難う御座いました!
さて,話を戻して今回のアップデートは以下の通りです.
①
リアのトー戻し :トーゼロ → IN 10に戻してリアの安定化
②
パッド材質変更 :ロースチール(Winmax ARMA AP2) → セミメタル(FEEL'S レーシング)
③
エキマニ中間径変更 :42.7φ-48.6φ-50.8φ(FEEL'S) → 42.7φ-45.0φ-50.8φ(FUJITSUBO)
①はフロントとのバランス取り.富士を走った印象では,100Rで不安定感が残っていたため,まだ足りない気がしますが,日光の車速域でどうか?というところです.
②はWinmaxも決して効きが悪い訳ではないのですが,高車速域からのフルブレーキング時に,制動力の立ち上がりが遅いように感じたため変えました.10コーナーのブレーキングでチェックします.
③は率直に言えば修理(笑).富士ではトルクの出方に違いは感じませんでしたが,データが豊富な日光で正確に比較してみます.
それでは,早速LAP+による比較です(青色:今回 緑色:
前回).
①1コーナー(1つ目の赤丸)
車速が4.4km/hも高いですが,これは前回が低過ぎであるため,参考程度.
とはいえ,まだ気温が下がりきっていないこの時期に109.4km/hも出ているのは,今後に期待がもてます.
②2コーナー(2つ目の赤丸)
1コーナーの進入速度が高いおかげもありますが,1~2コーナーの間で踏み直しが少ないです.ここにパッドの違いが出ている気がします.
Winmaxの場合,制動力の立ち上がりが遅いため,強めに踏み込む必要があり,そのまま踏力を維持していると車速が落ちてくるに従って制動力が強くなりすぎ,予想以上に車速が落ちるため,踏み直しをしているのではないかと思います.一方,FEEL'Sの方は制動力が素早く立ち上がるため,意識して強めに踏まなくても,しっかりと効き,車速の落ち方が一定であるため,踏み直しをする必要がないのだと思います.
これはパッドの良し悪しの問題ではなく,単なる好みの問題でしょう.
③6コーナー(3つ目の赤丸)
ここはライン取りも合わせて見てみます(青線:今回 赤線:前回).
ご覧の通り,今回の方がイン側を走って距離が短く かつ ボトムスピードも3.9km/h高いため,速いように思えるのですが,実際は0.15秒も遅いです.
この原因は4コーナーにあり,バネレートアップによって3→4コーナーの切り返しで向きを変えるのが楽になったものの,4コーナーの縁石を踏んで着地した際にリアが踏ん張らず,流れてしまっているせいだと思われます.この現象は
TC1000の洗濯板でも起きており,
プロからも指摘されている点で,当初はリアのトーゼロのせいかと思ってましたが,どうやら違うようです.
察するに,縁石から降りる瞬間,イン側のサスペンションが伸びきってアウト側のタイヤに全荷重が乗っかり,その際,フロントはキャンバーが3°ついているので,その荷重に持ちこたえられるのですが,リアはキャンバーが0°であるため,持ちこたえ切れずブレイクしてしまっているのだと推測されます.
こんな(↓)イメージ.
ただ,トーINの効果は全くなかったかというと,そんな事はなく,6コーナー進入時のブレーキングでリアの安定感が増したため,少し突っ込み気味で進入してもリアのスライド量をコントロールしやすくなりました.これがボトムスピードのアップにつながっていると思います.
④8~9コーナー(4つ目の赤丸)
ここは完全にビビってます.先述の通り,前後バランスがオーバー気味であるため,コーナリング中にリアが流れて結構怖いです.これを低減するためにリアの減衰をフロントに対して4段階下げて対処したのですが,前後のロールスピードが違い過ぎて挙動が掴めず,余計怖くなりました.
特に2本目の序盤.モノは試しだと思って,リアの減衰を最弱にしてみたら,8コーナーを抜けて9コーナーにアプローチしようとした瞬間でも,まだリアがロールしているような感触で本当に怖くなりました(1周でピットに戻りました・・・).
今年,足回りをアレコレとイジって,フロント寄りのバランスを探っているのですが,それを始めてから高速コーナーがどんどん遅くなっています.どうやら,私はFF乗りのくせに,リアタイヤのアウト側の感触で限界を察知しているらしく,ここの感触が希薄だと,ステアリングの切り込み量が減ったり,アクセルONのタイミングが遅れたりするようです.
そう思って振返ってみると,リアを振り回すようなパキ切りをしなかったり,ブレーキング時にリアに荷重を戻してからターンインしたり,フロントよりリアの減衰を固めてロールを先に収めたり,と周囲から「色々おかしい!」言われ続けた点に,納得が行きました.
⑤バックストレートエンド(5つ目の赤丸)
8コーナーが遅いので比較するのが難しいですが,ほんの少し伸びが悪いです.実際走っている時も2→3速に上げる際に「アレ? シフトアップに余裕がある・・・??」と若干違和感がありました.やはりエキマニの中間径が細くなったせいで,高回転域での抜けが悪くなっているのかもしれません・・・.
⑥10コーナー(6つ目の赤丸)
少し分かりづらいですが,青線(今回)と緑線(前回)がクロスしています.前回(Winmax)の方がブレーキの開始が遅いにも関わらず,速度低下が速いです.一方,今回(FEEL'S)の方がブレーキの開始が早くにも関わらず,速度低下が遅いです.この結果からも②で述べた特性違いによる動きの違いが分かると思います.
⑦11コーナー(最後の赤丸)
トーIN化により,大分コントロールしやすくなりましたが,まだ若干オーバー傾向が残っています.ただ,安定感は増しているので,アクセルONのタイミングをワンテンポ早める事が出来ています.
それでは,最後に動画です.
今回のアップデートの結論としては,
①トーIN ・・・ 良い方向に行ったが,まだ安定感が足りない.
②パッド ・・・ ブレーキングのコントロールはしやすくなり,こちらの方が好み.
③エキマニ ・・・ 明確にタイムには出ていないが,若干吹け上がりが鈍い.
といったところでしょうか.
タイム的にはまだ低調でノれてない感が強く,前後バランスの最適化をもっと突き詰めていかなればなりませんが,自分の好みを理解するという意味では,非常に実りの多いテストでした.