7月に投入した
RS SPORT S-SPEC の2017年モデル.
日光でテスト した感触では,ポテンシャルは有りそうなものの,RE-71Rよりも限界点が少し低く,あまり好みのタイプではないかな・・・と思っていましたが,次の
三河 では,一転,一度熱が入ったせいか,剛性感が増して,2本に分かれているセンターグルーブが1本にくっついておかげか,少しだけ限界も高まった印象を受けました.
そこで,更にこのタイヤへの理解を深めるべく,TC1000で最適な内圧と前後バランスを探るべく,テストしてみました.
1本目
まずは基準出しとして,以下のセッティングで開始.
F ・・・ 減衰力:2段戻し 内圧:2.40kPa
R ・・・ 減衰力:2段戻し 内圧:2.15kPa
前後バランスは申し分ないのですが,やっぱりコーナー出口(最大ロール時)の踏ん張りが今一歩足りず,アクセルがなかなか踏めません.
2本目
1本目の結果から,もう少しオーバー傾向にしたいので,フロントの減衰を2段下げ.
F ・・・ 減衰力:4段戻し 内圧:2.40kPa
R ・・・ 減衰力:2段戻し 内圧:2.15kPa
2ヘアや最終コーナーでフロントが入るようになり,早めにアクセルを踏めるようになった結果,トップスピードが伸びて0.35秒タイムアップ.その一方で,ブレーキング時にフロントが沈み込み過ぎるため,ロックしてしまい,少し扱いづらい印象(青:1本目 赤:2本目).
3本目
最も荷重の掛かる左側のタイヤ表面温度はフロント・リア共に内/外で同じ温度であったため,フロントの内圧を下げてグリップを稼ぐ事でブレーキング時のロック解消を狙ってみます.また,リアの内圧も上げてオーバー傾向を助長出来ないかテスト.
F ・・・ 減衰力:4段戻し 内圧:2.20kPa
R ・・・ 減衰力:2段戻し 内圧:2.40kPa
フロントのブレーキロックに関しては,あまり効果がなく,むしろ腰砕け感が強まってアンダー傾向となってしまいました・・・.その一方で,リアの内圧上げは何の差異も生まず,表面温度も内/外で全く変化はありません.結果,2本目より0.27秒タイムダウン(青:2本目 赤:3本目).
4本目
フロントの沈み込み過ぎを解消するため,フロントの減衰を4段締め(=最強)て反対方向に.また,左フロントが少し外減りしていたので,内圧も下げ過ぎと判断し,0.2kPa上げ.
F ・・・ 減衰力:0段戻し 内圧:2.40kPa
R ・・・ 減衰力:2段戻し 内圧:2.40kPa
フロントにしっかり感が出て,狙い通りブレーキロックは解消.やや突っ込み過ぎの状態から,フルブレーキングで一気にフロントに荷重を載せられるため,1コーナーや2ヘア等でコントロールがしやすくなりました.その反面,バックストレート~洗濯板までの間でフロントの動きが鈍いため,直線的なラインとなり,洗濯板の縁石に引っ掛かるように・・・.その結果,最終コーナーも小回りでラインがタイトになるため,アクセルONのタイミングが遅れ,更に0.18秒遅れてます(青:3本目 赤:4本目).
5本目
3本目より扱い易くはなったものの,やっぱり曲げ辛いため,リアの減衰を2段上げてオーバー傾向に.
F ・・・ 減衰力:0段戻し 内圧:2.40kPa
R ・・・ 減衰力:0段戻し 内圧:2.40kPa
これで曲げ易くなったため,1コーナーのボトムスピードはアップ.車速が上がった結果,2コーナーでクリップにつけていないものの,それをカバーする加速力(=走行抵抗減)が得られました.また,全体的に動きが締まってステアリングレスポンスが良くなったのか,1ヘアは斜めに進入するライン取りに・・・.
立ち上がりは同じラインを描いていますが,斜めに進入する分,タイヤを縦にも横にも使ってしまい,グリップ不足で強アンダーが発生.これに対処するため,ボトムスピードを5km/h近く落としているのですが,それによって2ヘアへの進入速度もダウン.結果論ですが,1ヘアの距離重視はあんまり効果がないのかも?
ただ,最終コーナーは確実に曲げ易くなっているので,4本目から0.15秒タイムアップ(青:4本目 赤:5本目).
6本目
更にオーバー傾向にするため,フロントの減衰を2段下げ.当日ベストの2本目を前後共に固めた感じに.
F ・・・ 減衰力:2段戻し 内圧:2.40kPa
R ・・・ 減衰力:0段戻し 内圧:2.40kPa
更に曲げ易くなったので,2コーナーでクリップにつけるように.1ヘアもラインを矯正出来たのでボトムスピードの向上と2ヘア進入速度の回復を実現.ここから最終セクションの手前(洗濯板)までに0.25秒の貯金を作ったものの,洗濯板進入で速度を落とし過ぎ(フロントが沈み込んでブレーキが良く効く),結果ラインも僅かながら小回りとなってアクセルを開けられず失速・・・.このミスで貯金を全て吐き出して0.10秒の遅れ(青:5本目 赤:6本目).
タイム的には,一番ストレートスピードが伸びていた2本目が 42.996 がベスト(陽射しが若干弱まり,路面温度が低下?).最後の6本目は,最終セクションを上手く纏め切れていれば,セカンドベストの5本目(43.215)よりも確実に速かったので,匹敵するタイムが出ていたかも・・・.
以上を纏めると,現在のセッティングでRS SPORTを履いた場合,少しフロントのグリップが足りない(リアが勝っている)ため,減衰力を F<R にした方が曲げ易い.但し,フロントの減衰を弱め過ぎるとフロントが沈み込み過ぎて(荷重が掛かり過ぎて)ブレーキング時にロックしやすい.一方,内圧に関しては感度が鈍く,0.2kPa以内はグリップの向上も,低下も,あまり感じない,といったところでしょうか.
なお,今回の結果を踏まえた対策案としては,以下の①~③が考えられます.
①フロントのバネレートを上げて荷重の載せ過ぎを抑制する.
②LSDの効きを強めてコーナー出口で踏ん張れるようにする.
③リアのキャンバー角を減らして限界を下げる.
1ヘアや最終コーナーのスキール音を聞く限り,絶対的なグリップ力はRE-71Rの方が上な気がしますが,RS SPORTはバランスの良さが好印象で,特に減衰を最強にして以降の1~2コーナーでは,ハンドリングが素晴らしかったです.
また,タイヤライフという面でもRS SPORT S-SPECは非常に魅力的で,TC1000で一番辛い左フロントタイヤで比較(RS SPORTは今回のタイトル画像.RE-71Rは
こちらのタイトル画像 を参照)すると,同じように6本走ってもショルダー部分に溝が残っており,お財布の面で,これは大きいと感じました.
絶対的なタイムは気温差もあり,正確な比較が出来ていませんが,このタイヤに合わせたドライビング面の課題(ブレーキロックやライン取り)も見えてきたので,非常に有意義なテストでした.
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