まず2つの極端な例を出してみよう。
ヘルパースプリングなどは言うにおよばず細い針金を数回巻いただけのスプリングを組むことを想像してみる。ジャッキアップの0G状態からジャッキを降ろして1G状態にすると当然、ショックアブソーバーは底付きする(巻数にもよるが、針金のスプリングだから線間密着しないだろう)。
その一方で絶対縮まないスプリングの例として、ショックが全く縮まない長さの鉄パイプにスプリングのグラフィックスを描き、それを組むと、0G状態から1G状態になっても当然、縮まない。
この極端な2つの例では、前者は車高が一番下まで落ち、後者は車高が一番上の状態となる。
車高調であれノーマルショックであれ、理屈からすればその中間をどう決めるかという話。上の両極端な例ではまともに走らせることはできない。
ところで足回りの理論でうどんに例えている方がいた。
減衰力調整って? サスペンションって「うどん」だよ(笑)①
減衰力調整って? サスペンションって「うどん」だよ(笑)②
所詮たとえはたとえにすぎないという意見もあろうが、この方の言い分にさらに付言すれば、ノーマルサスは学校給食。言い方は悪いがとりあえず出されたから食べるというだけでペットのエサと一緒(給食を作ってくれた人に失礼な表現だが)。
と書くとメーカーは膨大な資本や時間を投入してうんぬんという反論があろう。これに対しては旧日本海軍の戦艦大和は想像を絶するほどのコストをかけて製造されたが、実際はどうだったのかと問えばいい。
ノーマル至上主義者(ここではノーマルにこだわりたいという意味で使う)の立場からすれば、ノーマルショックはいろんなシーンを想定して作られているなどと言いたいのだろうが、本当にそのクルマに合ったものかどうかは本人が決めることだ。だから車高調を入れても入れなくても乗り味の変化がよく分からないというのであればノーマルでいいだろうし、どうしても車高を下げたいという欲求を満たしたいのであればノーマルでは不十分ということになる。
ただ、このHP製作者もコメントに対する返答で本心かどうか分からないが「散々弄って得られた結論が『普通に乗るなら純正至上、弄るなら目的を絞る』って事でメーカーが作り出す『普通』の凄さに理解が進むほど驚く日々です」と述べている。
そこで私なりのこだわりが、手元にあるプログレ不等線径スプリングの有効利用ということで、これをリアに付けたかった。
ショックの改造についていつもお願いしている業者に以下の4つを提示した。
1.フロント、リアともに車高調化
2.フロントのみ車高調化
3.リアのみ車高調化
4.何もしない
4の何もしないはフロント用に手持ちのノーマルスプリングか社外のローダウンスプリングを新たに購入して組む必要があるが、やはり直巻きを使いたいので却下。
1は逆に一気にビルシュタインと同じにしてしまうのもどうかということで却下。
2と3を比較し、とりあえずフロントから攻めようと考え、先に進めた。
ところが、いざリアにプログレを組んでみると車高が落ちすぎた。
古いアメ車のようにリア下がりになってしまう。それに合わせてフロントを下げてもいいが、そうすると今度はタイヤとフェンダーが当たってしまう(リアよりも硬いバネを入れればブレーキング時でも問題なさそうだが、MGはリアエンジンのためそれは本末転倒だ)。
そこで素直にリアも車高調化すればいいのだが、もう少し何かやってみようと考え、車高調と同じ原理を採用してスペーサーをかましてみた。
必要なサイズを測定
業者の製作したスペーサー
10mmアップ
スペーサーで調整する以上、ロアーシートから任意の位置ではなく一定の場所で固定することとなるが、それでも多少は車高が上がる。プログレの「1G状態では不等部が密着し、同レート、自由長に比べ、車高をより低く押さえることができます。ジャッキアップ時は不等部が作動し遊びが生じにくくなります」という特性を勘案してのことだった。
そして昨年12月のSWAT走行会に何とか滑り込みセーフ(実際は間違ったタイヤを取り付けたため左フロントが当たってしまったが)。
しかしエンジン載せ換え後、リア17インチ化を前に左コーナーで右リアが当たっている。17インチ化すれば車高が上がると思えるが、実はホイールの径ではなくタイヤ径で見る必要があり、現行の215/45/R16と予定している215/40/R17とでは数字だけで比較した場合、後者の方がわずかだがタイヤ径が小さく、車高が下がってしまう。
そこでそろそろ決断しないといけない。
すなわち、
1.プログレを採用しない
2.ビルシュタインのショックにプログレを組み込む
1の場合、ではどうするのか?あまり硬くないスプリングを組むか、それともヘルパー仕様にするか。
2はこれまで思いつかなかったが、プログレを組み込みたいという欲求を満たしている。ちょっとやってみる価値はあると思う。
そしてその結果が良ければ
3.車高調化するという流れになるが、何故か敗北感が強い・・・。