今年はモーターショー・イヤー、というわけでブログ開設11年をして初めて、まともにモーターショーのレビューを挙げるというなんとも「腰の重い」ブログ記事です。
加えて、東京モーターショーの目玉と言えるコンセプトカーの話もなし、もう一つの華ともいえる「コンパニオン」画像なし、あるのは個人的趣味が偏り過ぎている感想のみという、ページビュー(とイイネ!)数なんてクソくらえと言わんばかりの内容でお送りします。
色々巡り歩いたので、都合により3部くらいに分けてお送りします。
今回は乗用車メーカー編。トヨタとマツダのブースでは説明員さんに話を聞きましたので、その内容も織り交ぜてお送りします。
【トヨタ・センチュリー(世界初公開)】
分かる人には分かる、このクルマの凄みがある
個人的に
これを見るためにモーターショーへ、何時間も並んでいの一番で見に行ったと言ってはばからないクルマです。説明員さんも飛んできた私のことを気にしてくれたみたいで、すぐに応対してくれました。(感謝!)
というわけで対話形式のセンチュリー問答集。大体こんな話をしたという意味で取ってください。
私:今回のセンチュリー、30mm全高を挙げていますね。パッケージングも見直したのですか?
説明員(以下説):後席シートの着座位置を15mm上げています。
(補足:ということは15mmはヘッドクリアランスにあてた可能性高)
私:それは何故ですか?
説:今後、このクルマの後席に乗る方は身長も高くなっていきます。その時に窮屈にならないように、
現時点でのベストを尽くしました。
私:なるほど。それなのにセンチュリーらしく見えますね。センチュリーのスタイリング的特徴は
どこですか?
説:まずはボディ下側のメッキモールです。全高が高くなったので、旧型とバランス(補足:つまり
比率のこと)は同じにしても、メッキの面積が増えてしまいます。これまでと同じメッキの処理では
ギラギラして下品になってしまいます。そこで少し上品に見えるように処理を変えました。
私:他にはありますか?
説:塗装の品質もセンチュリーの特徴と考えています。
私:しかしこれは、モーターショー用にビッカビカにしたのではないのですか?
説:…多少はありますが、これが目標品質レベルです。こうなるように現在調整中ですので、
ご期待ください。
(補足:塗色が黒ということもありますが、人間国宝が精魂込めて作った漆器かと思うほどに、
吸い込まれそうなほど表面平滑度が高いのです。ほとんど鏡同然。個人的には市販車レベル
まで持ち込めるとは到底思えないレベル)
私:…いくらなんでも、このレベルはそう簡単ではないでしょう?
説:これはセンチュリーが量産しないからこそできる品質です。一日うん十台だったら
とてもではないですができません。
私:やはり。いろいろ教えて頂き、ありがとうございました。
このクルマを実際に見てみると、写真よりもハッキリとセンチュリーに見えます。そして実車の外観品質レベルはこの世の自動車とは思えません。どんなコンセプトカーよりも、どんな超高級車よりも3段は上等に作ってあります。これは実物を見た人にしか伝わらない「すげぇ…」があるクルマです。
…しかし、そんな「すげぇ…」が分かる人は日本でも多くないと思います。それがこのクルマの凄いところで、誰彼にもわかる「分かりやすい凄さ」で武装していない凄みを持つクルマです。
個人的に、このクルマを2017年 東京モーターショーのベスト・出品車両に推薦したいと思います。
【トヨタ・クラウンコンセプト(世界初公開)】
批判は覚悟のうえです。
これまた事前発表段階から色々と話題の、新型クラウンの参考出品車。
実物は確かにクラウンっぽくなく、ちょっと軽いクルマに見えます。やはり説明員さんがいたので質問してみます。
私:歴代クラウンでは初の6ライトウィンドウを採用するみたいですが、なぜ今の時期にこのような
スタイリングにしたのですか?
説:ハッキリ申し上げますと輸入車を選ぶユーザーにもクラウンをお選びいただきたいのです。
これまでのクラウンらしさ、つまりちゃんとしたトランクがあるセダン型は時代の流れによって「かなり
古臭い」クルマに見えてしまいます。それもあって、クラウンをお選びになるユーザーの年齢も
相当高い方々が多いのです。だからこそ、今回は若い方にも乗っていただきたい、そういう方々
は輸入車を選ぶ方が非常に多く、新しいクラウンはそんな皆様にも似合う車にしたい。そういう
思いからこのスタイリングにしました。
私:そうすると、後席の乗降性能は悪化しませんか?(補足:
先日のブログ記事)
説:そこが難しいところですが、今回は現行モデルよりも乗り降りしやすいドア形状にしました。
また室内も広くなっています。
私:なるほど。ではトランクの開口面積。これはモロに影響を受けていますよね?
説:今回はスタイリングを少し優先したために、確かに開口面積は狭くなりました。ただし、トランクの
広さは形状・トリムを工夫して旧来同等のゴルフバック4つ以上の積載性を確保しています。
私:…と言えど、旧来クラウンオーナーからは結構厳しいこと言われるのではないですか?
説:それはもう覚悟のうえです。それでもクラウンは変わります。
私:わかりました。実車の発売楽しみにしています。ありがとうございました。
実物が持っていた印象というのは、やはりクラウンというよりもマーク2のような、若々しくて少しエネルギッシュな格好をまとったクルマでした。しかし説明員さんの話を聞く限り、クラウンがクラウンである伝統(個人的にはリヤドアの乗降性能、運転席に座った時の人間工学的作法)は残っていて、座って運転するとクラウンであることを感じられるのではないか…と思います。
いずれにしても、実際に座ったわけではないので本当の評価は発表・発売されたときにわかる話です。
【トヨタ・TJクルーザー(世界初公開)】
ミラ・ウォークスルーバン持ってるんです!
今度は正真正銘のコンセプトカー・TJクルーザーです。
トヨタの素晴らしいところは、各車両ごとに「○○(←社名) 車両説明員」の名札を付けた係員を展示車近くに用意していることです。またまた質問を…(←質問魔化している)
私:私プロボックス乗っているのですが、次の代替にイイなと思うのです。
説:…え?実は私がこのクルマのスタイリングを担当したのですが(分かる人にだけ分かって
くれれば良いどうでもいい情報:説明員さんはイニシャルTさん)、僕ミラのウォークスルーバン
乗っているのです。
(個人用iPhoneを取り出して、愛車の写真を見せてくれる。ミラ・クラシックのフェイスを移植した
白いウォークスルーバンの写真で、荷物室には自転車が載っている。)
こうやって、自転車が趣味なもので自転車を積んで通勤にもこれを使っているのですが、このノリ
でTJクルーザー作ったのです。つまり道具として徹底的に使えるクルマとして作りました。
だからコンセプトカーとしては異例なことですが、室内のモックアップを作って最初は縮尺モデル
で、次に実寸大モデルで自転車とか荷物を積みながら設計したクルマなんです。
私:ほぉ!道具としてちゃんと使えるクルマって日本では珍しいですからね。私も今のクルマの
そこが好きで、だからこそ言いたいことがあるのです。5ナンバーサイズにして!
(今度は私がスマホを取り出し、
先日のブログに使った写真を見せながらあの中身と同じこと
を説明)
説:…はぁ、なるほど。こういう厳しい条件で使っているのですね。…実はこのコンセプトカー、
モリゾウさん(補足:豊田章男さん、現トヨタ自動車社長のこと)にもこのクルマを見せて
「軽自動車規格でこういうの作らないの?」って言われたんです。
私:…え?!もっと小さく作れ、と?
説:そうなんです。で上司が社長にプレゼンしていたのですが、上司が「デザインした人は本当に
軽に乗っている」って言っちゃいましてねぇ。(笑)
(説明用iPadで豊田章男社長とその上司の方が、コンセプトカーを前に談笑する写真を見せる)
私:…ってことは、小さくして早く出さないと。(笑)
説:…そうしたいのは山々ですので、是非ともTJクルーザー良かったと評判を広げてください!
私:どっかに投票ボックスなんてある?絶対これのことを書きます。(笑)
説明ありがとうございました。
センチュリーといい、クラウンといい、このTJクルーザーといい、トヨタの説明員はどんな人をとっても楽しく、嬉しそうにクルマのことを説明する。それこそ我が子のことを自慢するように。
そんな会社が作った楽しくって使いやすそうな、道具としても愛車としても100%愛用できるクルマ、市販されたら本気で候補にします。
【フォルクスワーゲン・ポロ(日本初公開)】
でけぇよ!(本日1回目)
新型のポロが乗り込み自由、日本初公開ながらいろいろ見られる状態で置いてありました。
座ってみるとこれまでのポロより着座位置が変わらないものの、全長方向に延びた為にフロント・リヤ共に足元の余裕があります。しかしその為、リヤシートがフロントシートより1段高い、映画館の鑑賞席のような見晴らしの良さは無くなりました。
エンジンは1.0TSIとのこと。しかし全幅1751mmということで我が家では買えません。
【フォルクスワーゲン・アルテオン(日本初公開)】
フォルクスワーゲン・パサートED(CLSクラスでも可)。
旧型は「パサートCC」の名で売られていた、パサートのシャシーをベースにした4ドアクーペです。
サッシュレスのドアも継続採用。しかしいずれにしてもデカい。デカすぎる。(本日2回目)
格好が好きなら買っても正解のクルマ、このクルマで大人4人が快適に移動することと都市圏で取回して楽であることは120%諦めないと後悔するクルマです。
【ポルシェ・カイエン(日本初公開)】
でけぇよ!(本日3回目)
ポルシェがフォルクスワーゲングループに入って、初のスポーツカー以外の市販車として出したカイエンの第3世代です。スタイリングはマカンに似た印象を持っていますが、幅・長さともにワンクラスは確実に大きくなり、本当に「薄らデカいクルマ」になってしまいました。
【アウディ・A8(日本初公開)】
技術による事故誘発は自動運転レベル3で対応?
1994年から発売された、アウディが2桁または3桁の数字から脱却した初のクルマだったアウディA8の、第4世代が日本初公開となりました。写真はショートホイールベースで、ロングホイールベースのA8Lも展示されていました。しかし実物はナマズのように低く長く薄らデカい(本日4回目)。
そのA8、コクピット周りが触れるだけのデザインになりましたということでナビ周りだけのお試し機があったのです。それが下の写真。
今度は指で文字を書いても認識できる、重ねて書いても認識できる、漢字も認識予定(展示品は英語のみ)というもので、右ハンドルを模して左手で試してみました。
…全く使い物になりません。見ながらでないと書けないし操作できない。これでは脇見運転でぶつかってしまいます。…だから自動運転レベル3を世界に先駆けて搭載しますって?
…どこか決定的に技術の使い処を間違えていませんかねぇアウディさん。
【スズキ・クロスビー(世界初公開)】
中身はイグニス系?
ハスラーワイドと噂された、スズキの小型乗用車クロスビー。ご自由に座ってくださいの状態でしたので座ってきました。腰を下ろした位置にシートの座面があり、乗り込みやすいフロア高さも相まって乗り降り楽々、座ってもポジションがデスクチェアのように正しく座れて快適性抜群、四角い形状で見切りも良好、…どこかでこの感じをする車があったよね?…あ、イグニス。
というわけで多分イグニスと同じシャシー系を使った車でしょう。余談ですが一部の方に向けた写真は下の通り。多くは語りません。
【BMW・コンセプトZ4(日本初公開)】
クレイモデルをそのまま展示したような…。
BMWのコンパクト2ドアオープンのZ4、全世界的に昨年で生産終了、日本でも在庫完売でいま新車では買えない車です。それの新型を予感させるコンセプトモデルがこれです。
今度はドイツ生産になり(それまではアメリカ生産)、加えて日本でもトヨタが同じシャシー・違うスタイルのスポーツクーペ(巷ではスープラ後継との評)を輸入して売るという車です。
しかしスタイリング的に、あるいはインテリアの各部を見ても市販や作り込みが丁寧なクルマではなく、粘土細工の車に布と塗装を施したような、プラモデルにも見える車です。
正直言ってスタイリングの勉強以外で見る価値があるクルマとは思えません。
【メルセデスAMG・Project One(日本初公開)】
リッジレーサーにこんなクルマがあったような…。
メルセデスのハイパフォーマンス部門、AMGがゼロから開発したクルマです。
コンセプトカーのようでありながら、市販計画があるクルマらしく1台数億単位の販売価格で限定生産、既に完売しているとのこと。中身は現在のF1と同じものを使っているとのことですが詳細は不明です。
実物の周辺は見物人が多かったのですが、見た印象はリッジレーサーにこんなクルマあったよね、と思うような「未来を思わせるゲーム」が実際に飛び出してきたようなスタイリングです。
【アルピナ・B3 S Biturbo Limousine】
これ普通に買えるようになったら、相当裕福な人だろうな…。
今度は市販車です。といっても見た目はぱっと見改造3シリーズ。中身は恐るべきものです。
個人的にもし終のクルマの出来るのであれば、こういうクルマをアシグルマに選びたいです。
(他にも何台かそういう車があります。メーカー問わず。)
極めて仕立ての良いスポーツサルーンは、日常でも悪目立ちせず非日常へ連れ出してくれるのです。
【マツダ・スカイアクティブXエンジン】
クルマじゃなくてエンジン話かよ!
…というわけで、部品ブース編で技術的話を突き詰めて記事にしますので、そこまでお待ちください。
…とっても長くなりました。
次はトラックブース部門(1台だけ乗用車が出ますが。)を予定します。では、また!