毎週土曜日の11時30分からFM福岡で放送されている『サウンドピュアディオ・プレゼンツ 音解』ですが、9月の放送予定がFM福岡のホームページの音解の所に出ています。
9月9日と16日はジャズピアニストの国府弘子さんで、昨日FM福岡のスタジオで番組収録を行ないました。
国府弘子さんのピアノの音は90年代に調整用として使用させて頂いていて、ギターの天野清継のアズールというアルバムの中に国府さんがピアノで参加されていて・・
『ヘブン』という天野清継さんと国府弘子さん名義のアルバムと、もう一枚『ヘブン&ビヨンド』というアルバムの合計3枚をとっかえひっかえ聴いて音調整というのが、90年代の初めから半ばぐらいまでの自分の調整方法でした。
CDの基本的な録音方法には4種類あって、DDDという方式が全ての工程をデジタルで行なっていて、ADDは最初がアナログで後工程がデジタルで、AADはほとんどアナログで進行して最終的にデジタルという工程で、DADはデジタルを途中でアナログにもどして再びデジタルにするという方式で、90年代はどの方式が一番良いかという議論がされていました。
当時は全てデジタルのDDDは一番音がロスしないからいいというエンジニアの考えがあり、アズールのアルバムはDDDで録音してありました。
逆にヘブンはAADでアナログ工程を多くして音に艶と厚みを持たせたと言われていて、演奏する方が同じなのに録音方式が違っていました。
ヘブン&ビヨンドというアルバムはアナログ工程1のデジタル工程2の両アルバムの中間の方式で、その3枚を入れ替えて聴き比べて、3種類の録音の良い部分がきちんと判別出来る音調整が最も良い調整と思っていました。
しかし90年代に自分はその調整方法に限界を感じて、その3枚の聴き比べというやり方はやめました。
なぜならB&Wの801型スピーカーをホーム用のプレイヤーとアンプで鳴らして聴いて、その後で車内で調整という形だったのですが、スピーカーにプレイヤーにクセが無くてもアンプやケーブルや電源環境で本当の生の音になっておらず、3WAYで分割されて発せたれた音を耳でフルレンジで聴いて、その後に2WAYや3WAYに分割してセッティングというのは時間ばかりかかり、何時間やっても何日やっても納得出来る音にはならない、もしくはその日は聴いていいと思ったセッティングが次の日聴いたら「あれっ?こんな音だったけ?」と長時間の調整で疲れて音感がおかしくなっているという様な試行錯誤の毎日でした。
今考えたらPAに頼らない生音を聴いていれば一ヶ所から発せられた音を耳でフルレンジで聴いて、それから2WAYや3WAYに分配するという、短時間でツボを押さえた音造りが出来たのに、無駄な時間を過ごしてしまいました。
ちなみに今のCDはほぼDDDとかAADなどの表記はされておらず、その理由は音楽評論家やオーディオ評論家が「このCDはこの方式だからこうだ!」という様な、勝手な条件付けをされるからだそうで、こういった表記も90年代ならではのものでした。
その自分が90年代に調整用CDとして使用していた国府弘子さんが福岡に来られるという事で、「是非音解に出演して頂たい。」とイベンターさんにお願いして今回の2週連続出演というのが実現しました。
番組収録の前に国府弘子さんに90年代の事をお話したら、「その話を是非番組の中でされたら?」と、普通は会社のPRの2分間以外は音解では喋っていないのですが、本編でガラスの向こうで少しの時間話す事になりました。
90年代には絶対にご本人にお会いする事など無いだろうと思っていましたが、人間長生きするとこんな事もあるんだな、と思った昨日の収録でした。
国府弘子さんはとても気さくな方で、音楽については「ピアノは持って歩けないので、会場ごとのピアノと毎回お見合いしているつもりで接しています。」という事を話されていました。
ピアノは調律してあればどれも同じと思っていたのですが、微妙な差に合わせて演奏をされているそうです。
詳しくは9月9日と9月16日の土曜日の午前11時30分からFM福岡の『音解(オトトキ)』でお聞き下さい。
ちなみに井川が出ている回は9月9日です。
追伸
9月5日の火曜日の19時から福岡市のアクロス福岡で国府弘子さんが出演されるコンサートがあります。
当日券も出るかも知れませんので、興味のある方は是非足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
追伸 その2
2000年代になってCDにアルファベット3つの表記がされなくなって、あるアーティストさんと親しくお付き合いさせて頂く様になって、新しいアルバムがDDDに聴こえるけれど、DADにも聴こえるというCDがありました。
その方のコンサートのスポンサーになって、打ち上げのお酒の席で思い切って「DDDですか?それともDADですか?」と質問した事があるのですが・・
答えは何と「DDDとDADが混じっています。」という事でした。
ただ単純に録音方式が判別出来るのが良いセッティングと今は考えていなくて、やり方を間違うとあら探し的な音造りになり、今では生音をよく聴いて、その雰意気を大事にセッティングしています。
Posted at 2017/09/04 13:08:15 |
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