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先日、父親方のお婆ちゃんが救急車で運ばれました。

その前の日まで、元気に散歩もして、普通に食事もして・・・
救急車で運ばれた時には、自分で呼吸が出来ない状況で、
そのまま息を引き取ってもおかしくない状態だったようです。
肺炎も起こしており、８８歳の祖母には辛い状況であると思います。

日曜日の深夜だった事もあり、対応した医師から「人工呼吸器をつけますか」と、
付き添ったおじさんたちに聞いたそうですが、看護士の私の母親は反対したそうです。
しかし、長女の叔母さんが「近所の人で呼吸器付けて治って歩いてる人がいる」と振り切り、
人工呼吸器をつけることを決めたそうです。

なぜ母親が人工呼吸器をつけることに反対したかというと、あくまでも延命措置であり、
付ける事で意識はあっても喋る事も食事する事も出来ず、本人はただ苦しいだけで、
状態からしても、何も言葉を発せ無いまま、最後を迎えてしまう事になる・・・という事でした。
医療の現場に携わる立場で見ると、そういう事らしいのですが、
「私が何か悪者にされちゃった」と肩を落としていたのが可愛そうでした。

家族からすれば、前日まで何も症状が無かっただけに、助けたい気持ちで
人工呼吸器の取付けを、縋る気持ちで付けたいと思うのは自然な事で、
「なにを言ってるんだ？」という雰囲気になってしまうのは仕方ないことでしょう。
人工呼吸器で酸素を脳に強制的に送り込めば、ある程度意識は保てますし、
実際、お見舞いに行っても、力強く私の手を握ってくれました。

家族の意向で付けられた人工呼吸器ですが、
つけた以上は外す事が出来ないのです。家族の意向があっても。
外す事で、外した医師が殺人罪に問われてもおかしくないので、医師が嫌がるのです。
例え人工呼吸器を付けたまま植物人間になっても、外せない・・・
そして家族には、莫大な医療費負担が、永遠と続いてしまう・・・
と、極端な例ですが、人工呼吸器を付ける付けないの判断は、慎重に行う必要があるのです。

最初に付けるか付けないかを聞いてきた医師は、どうやらそこまで説明をしていなかったようで、
家族も「そんな話は聞いてない。そんな事ならもっと良く考えたのに・・・」と今更ながら言っているそうです。

意識はあって、本人は話をしたい。でも話すことは出来ないから手を握る事しかできない・・・
口からは人工呼吸器が痛々しく入れられ、その痛みと話すことの出来ない辛さが表情から見え、
私も涙を堪える事で精一杯になり、強く手を握り返す事しか出来ませんでした。
小さいときから可愛がってもらったお婆ちゃんに、何一つ恩返しも出来ず、
肺炎も酷くなっていく一方で、最後までその苦しみのまま・・・　
考えれば考えるほど、複雑で辛くなります。

うちの両親は「もしもの時は、俺らは人工呼吸器なんていらないから、楽にさせてくれればいいから」と言っていました。私は本人の意見を尊重したいと思っていますが、いざ自分の家族がそうなったら・・・
難しい問題ですね。