今月19日~20日にかけて念願の北アルプス、
槍ヶ岳へ初登頂しました。
台風18号の影響が心配されましたが、台風一過の秋晴れに恵まれました。
かつて
日本百名山を選定した随筆家の故
深田久弥氏が残した名言によれば…
富士山は、登山しない者にとって一生に一度は登ってみたい山で、
槍ヶ岳は、登山をする者にとって一生に一度は登ってみたい山で、
どちらも日本を代表する、紛れもない名峰であることは言うまでもありません。
今年7月に富士山、そして今回、槍ヶ岳に初登頂して、それがよく解りました。
さて…。
毎年恒例となる
秋の大旅行まで10日を切ってしまっているので…
詳細レポはいずれ機会があれば…ということで、今回はダイジェスト版で。
今回ここに紹介する写真は、
D5500で撮影した写真がほとんどです。
レンズは、純正の300mm望遠と、同じく
純正の超広角10mmの2つ。
カメラや撮影については…所詮ド素人なので、詳しくはわかりません(汗
基本的には撮ったまんま、見たまんまの画像ですが、リサイズはしてます。
登頂山行の2日間で、スマホと合わせて1000枚以上撮影してますが、
登山から戻って来て間もないので、まだ写真の整理もろくにしてませんが、
とりあえず今回はめぼしいものをランダムに20枚ほどチョイスしてみました。
元画像はそこそこデカいので、画像クリックして閲覧してみて下さい。
まずは、お約束の…槍ヶ岳山荘手前の道標から望む槍ヶ岳山頂。
ここから肉眼でも槍ヶ岳山頂へアタックしている登山者がハッキリ見えます。
見ての通り、山頂付近は紅葉のピークを迎えたばかり…といったところでした。
ここの標高は約3050m、時間は昼過ぎ、風速3~4mってところでした。
「日本のマッターホルン」と呼ばれる故がよくわかる風景だと思います。
続いてはこちら。
飛騨沢と呼ばれる槍ヶ岳の岐阜県側の斜面、千丈乗越を見上げています。
撮影地点の標高はおよそ2600m、酸素は薄くなりつつありました。
槍ヶ岳の中腹ですが、紅葉は一部では随分進んでいる様子です。
リアルタイムで「何シテル?」に投稿していたのもこのあたりでしたね。
とにかくカラフルで、トルコ絨毯の上でも歩いているような気分です(笑
そして、上を見上げれば…相変わらずほとんど雲の無い一面青の世界です。
続いてはこちら。
これはもう槍ヶ岳山頂に登頂してますね。標高3180mからのご来光。
雲1つない快晴ではない代わりに、雲間から「天使の梯子」が現れました。
実はすでに3度目の山頂アタックです。この写真を撮る為に粘りました。
明け方未明の気温は当然、氷点下。風速は15m以上と台風並みでした。
多くの登山者が山頂を諦め、登頂した登山者はものの数分で下山する中、
私は体感温度マイナス20℃の中、1時間以上も滞在していました…(汗
完全にファンタジーの世界ですが、勿論CGじゃないですよ、念のため(笑
続いてはこちら。
同じく明け方未明、槍ヶ岳山頂から南西の方角を望んだ1枚です。
中央奥には穂高連峰、その右肩には御嶽山、乗鞍岳、焼岳も見えてます。
そして、右下の赤い屋根の建物は、宿泊した槍ヶ岳山荘になります。
この後、山荘へ戻り、そこから穂高連峰方面へ縦走していくことになります。
そして、次。
槍ヶ岳のすぐ南に位置する大喰岳(おおばみだけ)から望む槍ヶ岳の山頂。
こちらも9月20日午前の撮影です。強風のせいか登山者が殆どいません。
唯一、山頂に1人登山者が見えますが、槍の穂先はこんなスケール感です。
アップにしてみると、何となく迫力が伝わるか、と…伝われば良いなぁ(汗
続いても…槍ヶ岳です。
こちらは山頂のちょっと手前、多分クサリに掴まりながら片手で撮った1枚。
槍ヶ岳山荘もなかなかとんでもない場所に建てられているのがよくわかります。
因みに大正時代に建てられ、最大650人も宿泊できる巨大施設なのです。
…で、その写真をグイっと手前に引いてみると…
こんな具合…そこそこ高度感が出ているでしょうか。美しく険しい崖です。
言うまでもありませんが、先日到来した台風並みの暴風で氷点下という条件下、
命懸けというと大袈裟とは思いますが、気が緩んだら即死は必至でしょう。
そして、この朝…天気は曇り気味でパーフェクトではなかったですが…
雲間から覗いた朝陽が槍ヶ岳の穂先を照らすと同時に、北西の斜面には
見事な「影槍」を垣間見ることが出来ました。見られたのは一瞬の事です。
これを見る為に…体感温度約マイナス20℃を1時間以上耐えていました(汗
そして、この前日の山頂アタック時…夕景に於いても「影槍」を待ちました。
東に位置する赤岩岳の斜面に見事なピラミッド型のシルエットが浮かびました。
槍ヶ岳とは距離が違う為、槍ヶ岳の影だけ色濃く映るのが特徴でもあります。
写真ではなく、自身の目でこれが見られるとは非常に感慨深いものです。
しかし、この直後にガスが昇ってきて周囲が一瞬真っ白な世界になり…
ブロッケン現象が発生しました。本当に一瞬の出来事でしたが…この通り。
ガスった瞬間に、ひょっとして?と思い、カメラを向けていて大正解でした。
撮影時には現象は急激に終息していきましたが、まさに後光が射す瞬間でした。
この時も、山頂には私1人しかいなかったので、私の影だけが見えています。
続いてはこちら。望遠レンズでもいくつか撮影しています。
ブロッケン現象が発生した方角…常念岳から蝶ヶ岳につながる稜線の間から
長野県松本市の中心街、さらには松本城の天守閣もハッキリ確認できました。
この時期だからこそ、の遠景ですね。2月あたりまでは見られるでしょう。
槍ヶ岳の山頂へは3度もアタックをかけてますが、いずれも独占状態が続き…
せっかくなので、穂先の一番端まで行き、山頂部分全体を撮影してみました。
山頂の北端にはかわいらしい祠があり、お賽銭も無造作に置かれています。
写真の手前には山頂地点の証である三角点が見えてますが、固定されておらず、
正確にはこれはただの標石で、国土地理院としては三角点亡失扱いだそうです。
山頂である穂先は少し離れた場所からだと、とても尖って見えるのですが、
見ての通り、広さだけで言えば実際には10~12畳くらいはありますね。
なので、頑張れば20人くらい山頂に集まることが出来ると思いますが…
それだけいたら身動きは取りにくい上に、端にいる人は特に恐怖でしょう。
足を乗せるだけで簡単に動いてしまうゴツゴツした岩だらけですからね。
そんな恐怖の?象徴が…穂先へ向かうこのハシゴじゃないでしょうか。
こちらを撮影したのは初登頂日となる19日の夕方です。まさに天空世界。
時折このようにガスが出現し、瞬く間に周囲は真っ白で恐怖するのですが、
そのガスがまたすぐに晴れると、最後のハシゴが姿を現すのです。
まるで「ジャックと豆の木」で主人公が木の先端へ登り切った直後の世界。
でもって、そんな山頂…一番最後のハシゴから麓を見下ろしてみると…
こんな具合になるのですが…私の拙い写真で高度感が伝わるでしょうかね。
この穂先は高さにすると、たった130~140mしかないんですよね。
東京にある霞が関ビルとほぼ同じくらいだと言えば…分かりやすいかも。
続いては…槍ヶ岳から穂高連峰に向かう北アルプス縦走ルートにて。
20日は早朝はまだ良かったのですが、昼前あたりから天候が一変しました。
風速20メートルにもなり、もはや台風の暴風圏内と変わらぬ厳しさの中、
槍ヶ岳から穂高岳へ向かう縦走ルートを南下し、南岳へと向かっていました。
こちらはその南岳の手前で、岐阜県側…笠ヶ岳方面を望んだところです。
笠ヶ岳あたりで雪雲が発生し、物凄い勢いで東の空へと流れて行ってます。
しかし、稜線沿いには素晴らしい紅葉がピークを迎えていました。
続いてもほぼ同じく、南岳の手前より南東の方角を望んだ1枚。
南岳は山頂付近を歩くと、寧ろ紅葉ピークは過ぎてしまった感がありましたが、
鞍部や岩壁を見ると、ちょうどピークを迎えた様子でした。
そんな中、上高地方面を見渡すと、上空に怪しげな雲が集まってきてました。
そして、その最たる光景がこちら。
東の空、常念岳方面に向かって雪雲が荒波の様相で急速に流れていってます。
もはや説明のつかない不気味な…まるで、ゲームの世界へ迷い込んだかのよう。
これはこれでまた1つのファンタジーでしたが、30分もすると消滅しました。
そして、北アルプス縦走ルートも南岳を超えると、ついに現れるのです…
穂高連峰の大キレットです。その難易度は日本屈指、最大級とされてます。
私が立っている場所は、獅子鼻と呼ばれる大キレット展望台の先端です。
この先は、鋸の刃先のような稜線が何キロも続き、10mを進むだけでも
30分以上かかるという難所も多々あり、毎年犠牲者が絶えません…。
今回は槍ヶ岳が目的で単独山行ということもあり、こちらは縦走してませんが、
この場に立ってこのとんでもない絶景を見た瞬間、心に誓ってしまいました。
次はここを乗り越えてみよう…、と。
…完全に心を奪われてしまいました。
そして、しばらくため息をつき…南岳を後にし、飛騨沢へ下山しました。
こちらはその南岳から新穂高へとつながる南岳新道と呼ばれるルートの途中。
足元に目をやると、つづら折りとなって続く南岳旧道が見えています。
こちらは何年か前に開拓された新しいルートですが、通行量がとても少なく、
台風や悪天候の影響で、20か所以上に及ぶハシゴの大半が崩落しているので
推奨はされていませんでしたが、禁じられてはいないということで決断しました。
標高3033mある南岳を通過した頃には、ひたすら下山する一方なので、
高度がなくなるにつれ風も収まりつつあったので、動画も撮影してみました。
強風により風切り音がかなり入ってますので、ボリュームは控えめ推奨です。
臨場感をスポイルさせない為に、動画も一切編集無しの撮ったまんまなので
画面が強風で不安定ですがお許しを。これでも風は穏やかになった方ですが、
それでも時折さらなる突風で身体ごと谷間に吹き飛ばされそうになります。
数センチ足場がズレたら約1000m落下…すなわち、即死あるのみです。
そして、最後に紹介するこちらは…南岳西尾根の先端、ピークになります。
尾根の両端は、1000m級の崖になっていて切り立っていますが、
ハイマツが両脇に群生しているおかげで突風さえ無ければ恐怖感もなく。
そして、幅30センチ余りの木道が敷かれているので安心感も増します。
但し…
あくまでも自分の立っているこの場所は、東京スカイツリーの先端よりも
はるかに高い場所であり、台風並みの強風が吹き荒れる氷点下の気温の中、
15キロ以上のザックを背負い、すでに20キロ以上もこんな山道を歩き続け、
疲労困憊で足先の激痛にも襲われている単独山行中のアラフィフのジジイだ、
っていうことは…決して忘れてはなりません。勿論、電話も通じない場所です。
この後さらに10キロ以上歩き続け、途中から冷たい雨にも見舞われましたが
無事に下山することが出来ました。山行の最中、一部の電波の届くところでは
「何シテル?」などで逐一画像を投稿していましたが、この場を借りて
コメントやイイネをつけて頂いた方たちに感謝、報告とさせていただきます。
また、今回の山行では、本当に多くの親切な登山者たちに出会えて感謝です。
今回、まさか山に登って感動して泣いてしまうとは思いもよりませんでした。
感受性の弱い人からしたら、何も感じてもらえないかもしれませんが…
還暦に近づくにつれ刺激を失いつつあっても、感受性を失うことはありません。
そして…
これだけ旅しても、まだまだ自分の見たことのない世界はいっぱいです。
生きているうちに、元気であるうちに、めいっぱい目に焼き付けようと思います。
そのためには、日々精進は勿論、身体能力もより上げていかねばなりません。
そうしたくても出来ない人は、この世の中にはいくらでも存在しているものです。
今回、単に観光登山というワケでなく、本当にいろいろと考えさせられました。
…とはいえ、
無事に下山して、温泉に浸っている数時間後にはいつもの「仕事」という、
超現実的な世界へとあっさり引き戻されてしまったワケですが…
逆にそれがあるからこそ、また非現実的な世界へと旅立てるものですね。
さて。
下山してからもずっと仕事は不休状態で、ほとんど写真も未整理ですが、
今回紹介したような写真がまだまだ何百枚とあるので、仕事が落ち着いて
1日でも休暇が得られたら、他も紹介しようと思ってはいるのですが…
その頃には北海道~東北へ旅立ち、また写真や動画も沢山撮ってくるので、
またしても大半をお蔵入りさせてしまう気がしてなりませんが、いずれまた(汗
因みに、念押しをしておきますが…
若干無謀にも思える行動を度々してしまうのですが、決して単なる無謀ではなく、
人並み以上に身体を鍛え、気象を学び、計画に時間を費やした上での山行です。
イカレポンチな弾丸登山は否めませんが、用意は実に…周到です、きっと(笑
今回の2日間の
山行データも、一応参考?までに残しておきます。
自宅~登山口までの往復移動距離=約500キロ(一般道のみ)
槍ヶ岳往復~南岳縦走の山行移動距離=約40キロ
iPhoneヘスルケアアプリによる総歩数=約60000歩
iPhoneヘスルケアアプリによる登った階段数=約450階
山と高原地図による実質山行時間=約17時間(標準23時間)
1泊2日山行費用総額=約18000円
【費用内訳】
ガソリン代:4000円(ハイオク、30リットル)
宿泊費:9800円(1泊2食付)
その他食費:1500円(菓子パン、非常食、行動食など)
下山後の日帰り温泉:700円
下山後の夕食:1350円
※出発前に登山道具として購入した備品などは除きます。
相変わらず、すこぶるローコストな庶民的登山です。何故なら…
…ですからね。
というか、そろそろコスパ王になったと言っても良いかもしれません(笑
もう1つ、参考までに…
槍ヶ岳のブログより、ちょうど1年前のこの日の槍ヶ岳の様子を見てみましょう。
御覧の通り、恐ろしいほど登山客で賑わっていたらしいです。
山頂は前出の通りですので、これだけの人たちが山頂を満喫するとなると、
3~4時間は待たねばなりません。山頂を断念して帰った登山者も多かったとか。
最近は登山もトレンドとなり、テレビでもやたらと紹介される機会も多いので、
富士山同様に、つい気軽に来てしまう人も…残念ながら多いようです。
当然、あまりの高さにビビってハシゴを降りられなくなる人も多かったでしょう。
こういう事があるので、混雑や行列が苦手な私には、週末や祝日は無理ですね。
クルマにしても、サンデードライバーが多い日曜日は運転したくないですしね。
観光地として地元が潤うのは勿論、喜ばしいことではあるとは思いますが…。
こんなにも快晴で、しかも紅葉はピークを迎えているという絶好条件にも関わらず
槍ヶ岳初登頂で素人登山者である私ごときが…と思うと、間違いなく、
贅沢+奇跡=プライスレス…な山行でしたね。
それでは、最後に…そんな山頂からの素晴らしい絶景を。
ずっと貸切状態だった槍ヶ岳山頂からの大パノラマ展望をHDR映像で。
こちらの動画も、撮ったまんまでノンカットです。ボリューム要注意で。
他にもネタは腐るほどあるので、リクエストでもあればまた限定アップします。
今回も、テレビ局や雑誌の方に気に入って頂けたので、絶景写真をいくらか
提供させていただきました。こんな細々と投稿しているブログではありますが、
そのスジのプロの方たちに陰ながら評価してもらえるのは嬉しいことです。
相変わらず素人受けがすこぶる悪いんですが…素人写真と素人記事なのに(涙
私が伝えたいのは、写真がどうとかってのは私にはどーでもいいんですよね。
それより、
こんなド素人が撮ってもステキなほど絶景だってことが伝われば…。
早い話、めちゃくちゃカワイイ人は、何を着飾っても多分カワイイって話(笑
さて、来週から急激に冷え込んでくるようです。勿論、それは想定済みです。
何故なら…この寒気団を次回の紅葉ドライブのアテにしていたからです(笑
となれば、10日間に渡る秋の大旅行も…ステキな演出になって良いかも。
これからぼちぼち仕事の合間を見て次の旅の準備に入ります。
旅から帰ってくる10月中旬までは、なかなかブログの更新は厳しいですが、
旅先で「何シテル?」にの方にぼちぼちレポが出来れば、と思ってます。
因みに…
次回の秋の旅も、後日テレビなどで放送される予定ですので…乞うご期待。
ついでにウチの嫁さんの連載中の漫画にも登場させてもらいたいものです。
愛車のゴルフ7は以前…登場してましたけどね。だって、カッコイイから(笑