とまぁ先週からの一連の年賀状ブログの中で
染料インクと
顔料インク
という話が出てきましたので、ついでに補足ブログ書いておきます。
もし今後、自分の撮った写真を自分でプリントアウトしたいという人が出てきたときのために、カテゴリーは写真にしときます♪
というわけでブログでも触れましたが、プリンターには
染料インクと顔料インクという2種類のインクが存在します。
間違いの無いように事前に言っておきますが、たとえば染料系インクのプリンターには顔料インクは使えませんし、その反対も然りです。
つまり
インク選び=プリンタ本体選び
ということになります。
どちらも使えれば便利ですしそれに越した事はないのでしょうけど…
特徴は以下の通り。
■染料系インク
現在最も一般的に普及しているのが染料系インクです。
巷にあるプリンターのほとんどがこのタイプと言っても過言ではないと思います。
汎用性が高く、どんな用途にもこれといった問題も無く使う事ができます。
染料の名の通り、紙にインクを染み込ませることで印刷をします。
その性質故に乾燥するのが遅く、インクが乾いて本来の発色になるまでに一日程度時間がかかります。
あまり薄手の紙に印刷すると、インクが裏まで染み込んでしまうといった弱点も存在します。
また染み込ませるという性質上、印刷時に多少のにじみが発生することもあります。
色は透明度が高く、発色も色鮮やかな色彩表現が可能です。
しかし耐光性や耐水性に弱く、日射や時間経過による色あせや、水によってにじみが発生したりする場合があります。
どちらかというと長期保存にはあまり向きません。
■顔料系インク
プリンターとしてはややマニアックな部類に入るインクです。
主に中級機以上やプロ機に多く、あまり安価な機種が販売されていないのが大きな特徴です。
染料が紙にインクを染み込ませるのに対し、紙の表面にインクを乗せていくことで印刷をします。
速乾性に優れ、5分もすれば本来の発色になるため、急ぎ完成品の確認を要する場面では圧倒的に優位です。
色は染料系に対してどちらかというと地味な発色を得意とします。
特にに黒やグレーの表現能力は顔料のほうが高いと言われています。
インクを紙の上に乗せていくという性質故、染料と比べてにじみが発生しづらく、よりシャープな描写を表現する事ができます。
逆に光沢紙を使った場合、上からインクを乗せて固着させてしまうため、その光沢間を生かしづらいといった欠点も存在します。
耐光性、耐水性に非常に優れているため、色あせやにじみに対しては非常に強いです。
しかしインクが染み込まないため、表面を強くこすったりするとインクが剥がれ落ちてしまう場合があります。
インクを保護する膜を形成する定着剤スプレーのようなものを使用する事である程度防ぐ事はできますので、その点を注意すれば長期保存向きのタイプと言えます。
染料インク、顔料インクには上記のような特徴があります。
それを踏まえたうえで、どのような場面でどちらが優位なのか?簡単に比較してみましょう。
■価格
プリンター本体の価格は染料系の方が概ね安く、種類も豊富です。
安価な小型機、あるいは複合機といった色々な種類の機種が存在します。
対して顔料系は中級機以上のやや高価なものが多いです。
A3ノビといった大型の用紙に対応しているプリンターも多く、どちらかというと一般向けというよりも、ビジネス、あるいは特殊用途向けといった感じでしょうか。
インクの値段はどちらもほぼ同じですが、顔料系インクはモノによっては小さな家電量販店では扱っていない場合もあるので注意が必要です。
どちらがコストパフォーマンスが高いかというのは難しいところですが、安価でかつ汎用性が高い機種が多い染料系の方がやや優位なのではないかと思います。
■一般用途
通常、文書やハガキといったごくごく一般的に使用するのであれば染料系の方が優位だと思います。
機種の種類も豊富ですので選択肢の幅が広いです。
顔料だとあまり質の良くない紙を使用した場合、想定している印刷結果が得られない場合もありますが、染料ならばそれほどシビアではありません。
特にシビアな状況で長期保存する必要の無いものを印刷するのであれば染料系の方がベターだと思います。
■写真印刷
さて本題の写真印刷ですが、果たしてどちらが優れているのでしょうか…
一般的には中級機以上の顔料系プリンタが好まれる傾向にあるようですが。
はっきり言いますが
趣味の問題です
最近では染料系の弱点であった耐光性も改良によって、アルバム保存する程度であれば長期でも保存が利くようなインクも開発されてきましたし、光沢感を失う事が欠点だった顔料系も、その弱点を克服する形のインクが開発されてきています。
写真は趣味のものですから、利点欠点というよりも、その表現能力の差でもって選択すればよいと思います。
より鮮やかな発色を好むのであれば染料系
地味で実直な発色を好むのであれば顔料系
といった感じで。
しかし写真印刷において、顔料系が優位とされるのにはそれなりに理由があります。
まず
色の確認がすぐできるということ
写真=色が命です。
自宅でプリントするということは、自分の意図した色がプリントされているかが全てになります。
染料系のように乾いて本来の発色をするまでに一日かかっていたのでは容易ではない…
これは作品作りにおいて致命的ともいえる染料系の欠点であり、顔料系の利点でもあります。
次に
中級機以上がラインナップされていること
先ほど価格のところで触れた事とはまったく相反する答えになりますが。
染料系が低価格や高い汎用性、そしてそれに沿ったラインナップにをそろえているということは
逆に考えると顔料系は中級機以上の高級機が多いということです。
一般用途の使用を前提とした機種に比べ、こういった高級機は特殊用途に見合った機能や設定が盛り込まれています。
ゆえにプロやマニア向けの機種が多く、それらはそれに見合った機能を搭載しているということになります。
撮ってパッと出しならさほど高級機は必要ありませんが、じっくり作品を創りあげていく為には設定や機能は多ければ多いほどいいです。
そしてやはり
インクの根本性能
写真表現の上でシャープさや自然な諧調性を求めるならやはりどうしても顔料系です。
そして作品の状態を維持する上でもやはり顔料系の方が断然優位です。
いくら改良が進んだとはいえ、染料系にはどうしても退色(色落ち)といった決定的な弱点がありますから。
これはインクの性質の問題ですからどうしようもありませんね。
一般的には派手な発色の染料系が好まれるかもしれませんが、やはりこだわっていくとどうしても自然で忠実な発色をする顔料系が選ばれてしまうのは道理なのかもしれません。
そしてその色をいつまでも長く維持できる顔料系は「作品」を作る上ではこの上ない優位性を持っていると思います。
と、いうわけで写真プリントするのならば、個人的には顔料系をお勧めしますね(-´▽`-)
肌色の表現とか、たまんないっすよ☆
まぁ…
年賀状はダメでしたけどね(;´Д`)