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2015年09月10日 イイね!

GT-R Magazine Vol.124 「ファインチューンの法則」



『チューニングはお金持ちのお遊びです』
今号89ページにあるラルテフィッチェさんの、この言葉が印象的だった。
僕は、こういった言葉の背景や真意を読み解いていくということがおもしろい。

先日、Gマガ編集部の山崎さんと話をする機会があり、各地で取材された時の印象などを尋ねてみたりした。
山崎さんの話の要点として、ラルテさんのその言葉はGT-Rオーナーとしての気構えを表しているのだろう、ということであった。
それは、GTRが元々持つ性能を理解して乗って欲しいというプロとしての思いと、GTRを同好する人への思いやりの気持ちからであるように僕には感じられた。
その気持ちは、よくわかるような気がする。
ラルテさんのこの言葉の背景には、もしかするとチューナーとして完調ではないエンジンや劣化している足回りのままで乗られているGTRを見るたびに残念に思ってしまうような経験をされてきたからなのかもしれない。
そんなふうに思ったものだ。
日本を代表する価値あるスポーツカー、GTR。
だからこそ、GTRオーナーには基礎のコンディション作りからしっかりとして欲しい。
たぶん、そのように思うのがGTRのプロとしてのありようなのではないか。
そのあたりのことを、今回は考えていきたいと思う。



基礎のコンディションとは何か?
それをあらわす象徴的な事例が、P89にある「シート合わせ」なのだと思う。
「いまさらシート合わせ?」などと思った人も少なからずいたのではないだろうか。
じつは、何を隠そう僕自身が最初に読んだとき、そう思った。
しかし、職人時代を思い返してみれば、着座位置のズレたシートで乗っていたり、クッション材のヘタったシートで乗っているオーナーが何人かいたことをすぐに思い出す。
目の覚めるような感覚といったらいいだろうか、かつての記憶をそのときに取り戻したのだった。
シート合わせとういうのは、GTRに限らずクルマを運転するときには必要なこと。
ましてやスポーツカーであるGTR、その重要性に細かくこだわっていくのはあたりまえのことである。
しかし、そのようなあたりまえの基礎的な準備が疎かになっていたり、見落とされたままでチューニングを依頼されるようなケースが後を経たないのもチューニング業界の現実であるのだろう。
常日頃から、そのような状況を憂慮していたがゆえに、GTRオーナーにあらためて基礎の重要性をわかってもらいたかったのだと思う。
編集部の山崎さんは、「ゼロに戻すこと」、という言葉でもって表現していたが、
それは、不調があるマイナスレベルの状態からプラスマイナスゼロの状態に戻すこと。
つまりは初期常態にリセットして初めて本来のGTRになるということである。
言い換えれば、そうなってはじめてチューニングが出来るスタートラインに立てるということを伝えたかったのだと理解できてくる。
チューニングの前に見落とされているような不調や不具合を直しておくこと。
少なくとも、そういった作業の重要性を理解しておくことが、ネオヒストリックなGTRを乗り続けていくために必要なことになるのだと思う。

これらのことをわかりやすく語り口調で書いてみれば、このような感じになるだろうか・・・・。
 まずはメンテナンスレベルから始めようよ。
 それからチューニングをしようよ。
 そうでないとGTR本来の楽しみ方はできないよ。
 それは、とてもモッタイない状態で乗り続けていることになるんだよ。
 ついては、それだけの段階を経て仕上げていくのだから、どうしてもお金はかかるものだよね。
 でも、GTR本来の性能を発揮して乗るには、それは当然のことなんだよね。
 さらにチューニングをするとなれば、なおのことお金がかかるものなんだよね。
 遊び心という余裕があってはじめて楽しめるものなんだよね。
このような思いを伝えたくて、ラルテさんはわかりやすい喩えとして「お金持ちのお遊び」と言っているのだと思う。




ぼくの経験であったことをひとつ記してみよう。
Aさんという、あるスポーツカーのオーナーがいた。 (*写真とは関係ありません)
憧れのスポーツカーを中古で買い、エアロキットを取り付けたいという要望で来店された。
しかし、クルマを見れば外見こそ綺麗なものの、ボディ下回りやフェンダー内側などの中身は錆だらけであった。
おそらく融雪剤によるものだろう。
パネルの一部が腐食でボロボロに劣化している。
このようなときに、どうするか?である。
そのようなコンディションのボディに高価なエアロキットを取り付けていいものかどうか。
ビジネス的な観点でみれば、要望どおりに取り付けて工賃を請求すればいいだけの話である。
しかし、そこで葛藤がおこってくる。
なぜならば、エアロ取付けの前にまず錆の修理が先ではないか、そう思うからだ。
それがプロの視点というものであるだろう。
その理由は費用対効果でもあるし、クルマのライフ(生命)そのものを慮ってのことである。
「エアロはお金持ちのお遊びです」とまでは言わずとも、カッコいいエアロを付けて走りたい、その気持ちは同じクルマ好きとしてよくわかる。
しかし、腐食を抱えたボディであれば、そのままほうっておけば寿命は短くなっていく。
近いうちに錆の修理が必要となってくることが容易に予想できる。
ついては、できるかぎり、そのときに備えて予算を確保しておいて欲しいと思う。
ローンでエアロを組む予算を錆の修理に振り替えるほうがクルマのライフを伸ばし、維持していくのに良いのではないか。
このような考えでもって、まずクルマのことを思うのがプロの視点というものであるだろう。
そして、それがオーナーの経済事情の為にも将来的に望ましい選択になるのではないか。
少なくとも、いったんは検討されることを提案したいと思うものだろう。
しかし、いっぽうで、所有権を有するオーナーの意思あっての、そのスポーツカーのライフ(寿命)である。
オーナーがどうしても先にエアロを付けたいと作業を依頼をすれば、それはきっと請けることになるだろう。
もちろん錆修理が必要な状況であることを承諾してもらってからになるだろうが、それは責任の線引きとして明確にしておきたい部分だからである。
これは、お客さんにリスクを承諾してもらってから作業を行うというスタイルであり、おそらく、このようやりとりが一般的には行われていることと思う。



さて、もうひとつ別のアドバンスな見方を考えてみたい。
このようなケースの場合、望ましいとおもうことは、オーナーとのカウンセリング的な打ち合わせである。
それというのは、オーナーの価値観や考え方、さまざまな気持ちを引き出し、共感し、理解していくことから始めていく。
場合によっては、オーナー自身のプライベートな話に発展するケースも多々あることだろう。
クルマの話題など通り越してしまう。
しかし、そのような関係性を築いていこうとするのは簡単ではないが、大切なポイントとなる。
なぜならば、つながりを構築し、信頼づくりのきっかけになっていくものになると考えられるからだ。
いわゆるカリスマ的に人気のある店員さんというのは、少なからず、このような能力を身に付けている人たちであるだろう。
チューナーや職人においても、それはまったく同じことになると思う。
たとえば、先のAさんのケースでいえば、なぜエアロを付けたいのか?
なぜ、錆は後回しでいいと思うのか?
マネープランについては、どう考えているのか?
クルマを維持していくことに対して、どのようなプランをもっているのか?
クルマに対しての価値観のみならず、その人の人生観や価値観にも耳を傾けていく場合もあるかもしれない。
そんなことをしていれば、もちろん時間はかかるし、そもそそもが、そうそう打ち解けられるものでもないだろう。
が、しかし、そこまでしようとしてはじめて得られるものがあると思う。
それは、お客さんに良いコンディションのGTRに乗って楽しんでもらいたいという願いに基づくものだけではなく、オーナーその人を、ひとりの人間として理解していきたいと思うからである。
GTRという共通の趣向をもった仲間意識を超えた、もっと深い意識からの思いというものなのかもしれない。
ビジネス追究のスタイルからすれば非効率的に思えるかもしれないが、しかし、そうして得られる価値はさまざまに広がっていくのだろう。
たとえば、「GTRに携わってきて良かったなあ」と、こころから思えるようなときも、そうだろう。
それは共感する喜びや、つながり感がベースにあり、そのような気持ちは必ずといっていいほどオーナーたちとの間において循環し続けていくものになることだろう。



チューナーや職人に要望を言うだけの関係は、依存するマインドがベースになっている。
ショップ側においても依頼を請けるだけでは、それもまた責任をお客さんに依存していることになる。
それでは、おたがいにとって意義のある、長く付き合っていける関係とはならない。
なぜならば、そこにはGTRを通しての つながり感が希薄になってしまうからだ。
大切なことは、ショップもお客さんも共に成長していくための協力関係を育んでいくことだろう。
それは、GTRをきっかけとしたコミュニケーションをしつつ、
「ほんとうに求めているものは何か?」を見いだしていくコミュニケーションがキーとなる。
たとえば、ほんとうに600馬力が欲しいのか?
なぜ600馬力なのか?
その欲求はどこからきているのか?
夢なのか、それとも必要性があってのことなのか?
もしかしたら、高出力高性能というスペックに裏づけされた強さに対しての憧れをシンボル化して600馬力という数値を求めていたのだと気づくのかもしれない。
もし、そうであればコミットする仕様は変わってくる。
予算についても600馬力仕様ほどには必要ではなくなってくるだろうし、もっと気楽なスタンスで維持し、GTRと付き合っていけることだろう。
このようにして、ひとつひとつの欲求を読み解いていくことによって、欲求の奥にあるほんとうの気持ち、オーナーひとりひとりの個性や価値観が明らかになってくる。
きっと、自分の本心に気づいたオーナーは、たとえノーマル280馬力のGTRであっても幸せを感じ、日々を楽しむ人になっていることだろう。
目指すところは、「GTRが好き」 そのシンプルな気持ちがお互いにあることをショップもオーナーも共に認め合っていくこと。
さらにいえば、その気持ちさえ持ち続けていれば経済事情等によって今はまだなにも施してやれなかったとしても、ビジョンを元に前向きに歩み続けていくことは可能であるだろう。
もちろん、ショップ側においても、そのメリットはある。
もし、人気店になる秘訣があるとすれば、そのひとつはGTRが好きという意識を高めていくことだろう。
技術うんぬんというよりも、まずは、「思い」が基本になるように思う。


【あとがき】
クルマは消耗する工業製品のひとつに過ぎない。
自分自身を投影したり、子供や恋人に擬人化するに相応しいものでは本来ないと思う。
ただ、こだわりが熱くなってくると忘れがちなことでもある。
それについては、今号において、フェニックスパワーの横山代表がこのように言って諌めている。
「機械である以上、いつかどこかが壊れるのあたりまえです。」
誰もが一度は聞いたことがあるだろう。
クルマ業界においての基本中の基本となる言葉である。
ただ、そうはいってもGTRというクルマは単なるクルマではないのではないか。
なにか存在感のような温かさを感じるクルマではないか。
そんなふうに、ぼくはずっと思ってきた。
それは、GTRにかかわっていると、人と人とのつながりを強く意識せざるを得ない感じがしてくるからなのかもしれない。
僕自身の心理を分析してみれば、きっとそれだけ僕自身が思い焦がれてきたクルマであったからなのだろう。
だから、ついついGTRに思いをのせてしまう・・・のだと。
まあ、とにもかくにも、いまもGマガの誌面を拝読するたび、そのような自分を自分でもおもしろく思っている。
 yoshi



photo by yoshi
Posted at 2015/09/10 21:09:45 | コメント(2) | トラックバック(0) | GT-R Magazine | 日記

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