男子ゴルフの昨季国内ツアーは、36歳の小田孔明が賞金王に輝いた。上には片山晋呉(41)、藤田寛之(45=葛城GC)、下には石川遼(23=CASIO)、松山英樹(22=LEXUS)がいる“谷間の世代”から誕生した新たなキングが、本紙独占インタビューで今の心境を激白。ツアー人気低迷が叫ばれるなか、賞金王獲得の秘密、今季にかける決意から“あの問題”についても口を開いた。
――賞金王の実感は湧いてきたか
小田:どこへ行ってもおめでとうと言われるけど、自分としては例年とほとんど変わらないオフをしているので、あまりないですね。本格的に練習を始めるまでは釣りをして、たまにパチンコ。こういうの(取材)が増えたぐらいかな。
――昨年はそれまでと何が違った
小田:7月の「全英オープン」(39位)で海外メジャーで予選を通過して、8月の「全米プロ」(40位)も通った。それが自信になったと言ってきましたけど、それだけじゃないんです。賞金ですよ。ボクはメジャー2試合で約700万円加算できた。この700万円がなければ、藤田さんは最終戦で優勝じゃなくても逆転の可能性があった。一昨年の松山だって、メジャーで稼いだ(3試合で4500万円)から獲得賞金が2億円を超えた。ここで差がつくのは大きいですよ。
――まだ「マスターズ」(4月)に招待される可能性もあるが
小田:いつもは九州サーキット(地方大会)に出ている時期。「マスターズ」に出られたとしても「(国内ツアー)開幕前に1つ大きな試合が入るだけ。それが『マスターズ』になるかもしれない」ぐらいでいつも通りに調整します。
――今季の目標は
小田:最多勝で2年連続賞金王ですね。昨年はボクが2勝で(賞金ランク2位)藤田さんが3勝だったので、今年は4勝以上したい。(特に勝ちたい試合は)メジャーを取っていないので、一番は「日本オープン」。それから唯一、地元(福岡)で行われる「KBCオーガスタ」ですね。
――石川、松山、ハイ相文(ベ・サンムン、28=韓国)と賞金王が続々と米ツアーに挑戦するなか、日本ツアーのレベルはどう感じている
小田:全体のレベルは上がっていると思いますよ。ボクがシード選手になったころ(2007年初シード獲得)に比べると、予選カットラインが2打ぐらい違う。ただ、20代の選手でコイツは、っていう選手がいないんです。一緒に練習ラウンドをしても「孔明さんにはかなわない」って感じ。自分が若いころは片山さんや谷口(徹)さんに「今は勝てなくても1年後には…」って思ってましたけどね。
――それが“谷間の世代”になってしまった
小田:日本でトップになれないヤツが世界に行っても、っていうのがボクの考え方。だから、賞金王になって米ツアーに行った遼や松山を認めているし、うらやましいんです。もっと早く賞金王になっていれば、自分も米ツアーに挑戦したかもしれないけど、もうキツイ年齢になっちゃったし…。米ツアーに行きたい若手は、オレを超えてから行け――そんな存在でいたいですね。
――賞金王争いの最中には、喫煙マナーについて報じられた
小田:ロープ内禁煙というJGTO(日本ゴルフツアー機構)のルールを守れなかったので、100%自分が悪いし、
ピンi25それで批判されるのは仕方ない。ただ、その後で「言い訳」と書かれたのは…。その時も自分が悪いと答えたつもりなんで。注目される立場だということをより自覚しないといけない。たばこを吸うこと自体、快く思わない人もいるし、イメージダウンでしょうね。顔が怖い分、ファンサービスでカバーしてきたつもりなんですけど。
――確かにファンサービスには力を入れてきた
小田:特に子供たちにはね。自分も子供のころ、飯合(肇)さんやD・イシイさんにサインをもらってめちゃくちゃうれしかった。プロになって飯合さんに当時の話をしたら「そんなことあったんだ」って。いつか自分が逆の立場になれるように、その時までツアーに出ていられればいいですね。
――男子は人気で女子に押されっぱなしだ
小田:女子はかわいい子が多くて、顔じゃ勝てないんで、飛距離や技術で勝負するしかないですね。遼や松山がいたころは人ごとみたいな選手もいたけど、今はみんな危機感を持って一致団結している。そういう気持ちが強い選手ほど結果も出ていると思うんで、忘れずにやっていきます。
☆おだ・こうめい=1978年6月7日生まれ。福岡県出身。
ゼクシオ7東京学館浦安高を経て2000年プロ入り。07年に賞金ランク9位で初シードを獲得すると、翌08年に「カシオワールドオープン」でツアー初優勝。14年に初の賞金王に輝いた。世界ランク57位(1月18日発表時点)。リオ五輪に向けたJOCの強化指定選手に登録されている。家族は妻と1男1女。名前の「孔明」は諸葛亮孔明から。176センチ、90キロ。
Posted at 2015/01/27 11:12:12 | |
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