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2016年04月05日

アルト・ワークスについてのメモ 《2》

アルト・ワークスについてのメモ 《2》 * 「ワークス」というネーミングには、やっぱり感心する。コンペティション・カーのフィールドでは、この言葉──たとえば「ワークス・マシン」には、一品製作に近い、そしてカネでは手に入らない究極のハードウェアといった意味もある。そんな高嶺の花のイメージを持つ言葉が、ここでは、実用車の極致といえる「アルト」と組み合わさっている。

* そういえば、1980年代に初めてアルト・シリーズに「ワークス」仕様が登場した時、開発陣のひとりはちょっとテレながら、でも嬉しそうに「これはイタズラですからね(笑)」と言っていた。(注1)実用車の格好をした平凡なハコに「速いエンジン」を載せて、スポーティ・カーという“遊びのクルマ”を作る。「フロンテ・クーペ+イタリアの“太陽の道”」といったイメージ戦略よりも、「アルト・ワークス」というたったひと言の方がジョークとしてもパワフルで、そして愉しい。

* 「アルト・ワークス」は、歴代の日本車ネーミング・ランキングが、もしあるとするなら、そのベスト・ファイブには必ずランクされる名前であろう。……と言いつつ、ほかの四つというのが、いまちょっと思いつかない(笑)。ちなみにバッド(ワースト)の方なら、いくつかすぐに浮上する。マークⅡ、ロードスター、パブリカ、ミニカ、など……。

* 「マークⅡ」というのは、グレード名もしくはバージョン名だ。ジャガー・マークⅡ、リンカーン・コンチネンタル・マークⅣ、コロナ・マークⅡのように“苗字”とともに用いるべきで、車名にはならない。「ロードスター」も同様で、これはセダンとかクーペのような車型名で、「ユーノス・ロードスター」として成立していた。何で“苗字”(ユーノス・ブランド)がなくなった時点で「ミアータMX-5」に統一しなかったのか。そして「パブリカ」と「ミニカ」は、英単語を乱暴に短縮しただけ。ネーミングとしてあまりにも安易で、クルマが可哀想だ。

* ……あ、ハナシが逸れすぎてしまった(笑)。ワークスとターボRSの二車を「日常性」という言葉をキーとして見るなら、ワークスはそのシートも相まって、室内に収まった瞬間から「非・日常」が始まるといえる。あなたがそれまで過ごしていた時間とは別次元に、このクルマは、あなたを(レカロによって)お運びします! そういう宣言をするのがワークスである。

* 一方でターボRSは、座ってちょっと転がしただけでは、普通のアルトと変わりない。しかし、オープンロードで(アクセルを)踏んだ時には、それまで隠し持っていた“牙”を剥き出しにして、実はこんなキャラも持っていたとドライバーに示す。意外性も秘めた、気持ちのよい多重人格。それがターボRSだ。

* ただ、この「日常性」とか「非・日常」とか、これがまたかなり曖昧な言葉でもある。高性能なクルマやチューンド・カー的なマシンにいつも乗っている……という人がいるとすれば、その彼にとっての「日常」はワークス的な世界になるかもしれないからだ。

* そこから見るなら、アルト・ワークスはおそらく逆に、チューンド・カーにしてはドアは4枚あるし、エンジンのトルクも太くて、低速走行でも何のストレスもない。つまり、ワークスって、けっこうフツーに使える、ユーティリティもハンパないじゃん! ……というクルマなのではないか。

* ただし、チューンド・カー的なクルマを「日常化」しているという人は、やっぱり少数派であろう。多くの人々にとってのクルマ的な「日常」とは、ちょっと乗って買い物して、駅まで誰かを迎えに行って、一緒に何人かで乗って──。そんな「日常性」の中にクルマもあるはずで、アクセルにしたってそんなに踏まない。そうした穏やかな“クルマ的時間”を豊かにしてくれる機種を、多くの人々は(無意識のうちに)探す。

* 「羊の皮を被った……」という古臭い(笑)言葉を持ち出せば、“羊としての時間”には“羊”のままに、その役目をしっかり果たしてくれるのがターボRSだと思う。それでいて、一方でこれはしっかり「……狼」でもあるので、時と場合によっては、また状況が許せば、いつでも“狼の時間”に突入できる。

* たぶん、後から登場したワークスは、ターボRSとの違いを明らかにするために、そもそも“羊の時間”は設けないようにしたのではないか。乗ればすぐに「非日常」の世界に行けるように! そのくせ、セダンとしての外観はあまり“いじっていない”から、こうして見ると、真に“羊の皮を被った狼”なのは実はワークスの方だという見方はあるかもしれない。

* ともかく、「買う気」でこの二機種を見ると、かなり迷う。アンダー200万円のクルマで「20万円差」は大きいとはいえるが、しかし、高い方のワークスを選んだとしても約151万円で収まる。また、レカロ・シートを自分で取り付けるというのは、手間にしても金額にしても相当に大変そうである。

* じゃあ、ワークスしかないじゃないか! ……ということになるのだが、ただ、普通に使っていて、ワークスの“トンガリ感”が気になる瞬間は、やっぱり多々ありそうだ。単に「時間」であれば、流してる時間と(コーナーを)攻めてる時間ではどっちが長いかなんて、考えてみるまでもないことである。

* アミューズメント・パークの、たとえばジェット・コースターなら、それは異次元的な「非・日常」感覚を乗客にプレゼントするために作られていると思う。ジェット・コースターがちっとも速くなくて、そして、ろくな「G」が掛からなかったら、カスタマーは大いに不満であろう。

* では、そうした「非・日常性」をカスタマーに贈ることができるのが「いいクルマ」なのか? それとも、そのカスタマーやドライバーの「普通の時間」をさらに豊かに、そして快適にするために「クルマ」は在るのか? 

* うーん、今日は結論めいたことは、あえて出さないことにする。ただひとつ言えるのは、ワークスが登場したので、その前作であるアルト・ターボRSには価値がなくなった……わけではないということ。少なくとも私の場合は、ターボRSが抱えている「総合性能」の深さに改めて注目したことを報告して、ひとまずペンを置く。

(了)

○注1:1980年代コラム「アクション・ジャーナル」でのアルト・ワークス
 http://minkara.carview.co.jp/userid/2106389/blog/c919223/p11/
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Posted at 2016/04/05 17:28:40

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