みなさま、たいへんご無沙汰しております。
毎年この時期は多数のフォトコン締め切り時期が重なるため、そちらに注力し、
ブログはすっかりおろそかになってしまっていました。
さて、今日の話題ですが、
昨日参加してきたGANREF「小澤太一先生の“撮らない”ゼミ ゲネプロ版」の様子をお届けしたいと思います。
私が今、一番注目している写真家さんの小澤(こざわ)先生が、
なんと「撮らないゼミ」という名前の不思議なワークショップをやるとのことだったのですぐ申込みしたのですが、
多数の申込者の中から運良く参加できることになり、神保町の会場であるインプレス社にやってきました。
こちらが憧れの小澤先生。
とても気さくな方で人柄の良さもピカイチ!
さて、今回のお題「撮らない」の意味ですが、
普段私たちは、よいシーンに出会うとすぐにシャッターを切ってしまうことが多いですが、
でも、シャッターを切って実際に出来上がったものを見てみると、
最初にイメージしていたものとは違う出来上がりになる経験がしばしばあると思います。
今回は、それがなぜ起こるのか?
どうしたらイメージに近づけることができるのか?
を探ってゆく、という主旨。
そこで登場した秘密兵器がこちら。
単なる付箋紙なのですが(笑)、
このワークショップではこれを「イメージノート」と名付けました。
よいシーンに出会ったら、
いきなりシャッターを押さず、
まずはこの「イメージノート」に、
何を撮ろうと思ったのか?
どうやって撮ろうと思ったのか?
そのときのカメラ機材の構成や設定はどうしようと思ったのか?
などを書き出すのです。
ここからは、先生が実際にやってみた内容。
ちなみに、先生も試行錯誤であり、このワークショップが正式な講座として成り立つかどうかの試験的な意味合いもあったので、
今回のタイトルがゲネプロ(本番前の最終稽古)版と名付けられています。
先生のお子さんの笑顔をかわゆく撮りたい。
ここに書かれたような6つの要素を写真で表現したい、と考えました。
まずは、失敗例。
全体的に明るく、「夜中遅く」が表現できていない。
背景がごちゃごちゃしていて「ベットの周りのアイテム」が伝わらない。
そして、こちらが模範例。
たしかに6つの要素がすべて満たされています。
「親に似て」の部分はともかく(笑)。
つまり、まとめると、
こういうことです。
イメージどおりでない場合は、どうしてそうなったのか原因があるわけだから、
それをしっかり考えて、現場でその原因を対処し撮り直すことで、
最終的にイメージどおりの写真を撮る、という訓練。
一向は地下鉄に乗り、神楽坂へ。
神楽坂の途中にある神社で、再度やり方についての確認があり、解散。
約1時間半後にまたここに集合するようにとのことで、みなさんちりじりに。
早速僕も、神社の目の前の石畳が素敵だなと思って、
イメージノートに書いてみたのですが、
これって、他のみなさんと同じようなものが撮れてしまう可能性が高いことに気づき、
シャッターを押すのを止めました。
しばらくすると、小澤先生が動き始めたので、後をつけてゆくことに。(笑)
途中お話をさせていただきながら歩いて行くと、
突然先生の足が止まった!
いきなりイメージノートに色々書き出している。
やっとカメラを構えてシャッターを切った。
でも、イメージノートに書いたイメージと出来上がりイメージが違っていたようで、
設定だけでなく、レンズも交換!
また、シャッターを切った。
でも、まだイメージとは異なるようで、
再びレンズ交換!
そうして、イメージノートに書いた最初に頭に浮かんだものと実際撮れたものとの間のギャップを埋める作業を繰り返してゆきます。
この工程を繰り返すので、ひとつのシーンを撮り終えるまでにかかる時間はすごくかかります。
実際のやり方を見学し、このワークショップの主旨をしっかりと理解できたので、
ここで先生とはお別れして単独行動することに。
集合場所からはずいぶん遠く離れた場所にやってきたし、
今いる場所がどこかわからないし(笑)、
残り時間があと35分ほどしかないのにまだ1枚も撮ってないし、
けっこう焦りが。
そして、こんなときに限って土砂降りの雨が降ってきてしまい、
今回は1枚も撮れないのかなと半ば諦めかけていたら、
目の前に突然別の神社が出現!
時間的にももうここで決めるしかないと腹をくくったそのとき、
土砂降りがやんで、厚い雲の切れ間から綺麗な青空が!
これを綺麗に撮りたいと思い、
あわててイメージノートにイメージを書き出します。
そして、最初に出来上がったのが、こちら。
これでもけっこう満足したのですが、
まだイメージノートに書いた「周りに木の枝や葉っぱを配置して額縁のように」が表現できていなかったので、
もうしばらく粘っていたら、
ここで運命的な出会いが!
なんと偶然通りかかった巫女さんが僕に話しかけてきたのです。
主旨を説明し、ダメ元で被写体になっていただけないかとお願いしたら、
快諾いただけ、このようなポーズまでとっていただくことが!
ちなみに、写真を見た方が、青空なのになぜ傘を持っているのかな?と不思議に思ってもらえるよう
写真にインパクトを持たせるためにわざと差してもらいました。
シャッターを押した瞬間心が震えて感動!
鉄道以外で心が震えたのは今回が初めて!(笑)
実は、青空が見えたのはそのときのほんの一瞬だけで、
再び土砂降りに!
あまりの雨の凄さに、街行くひとたちもみな雨宿り!
僕も雨宿りさせていただいた洋服屋さんのマダムとおしゃべりを楽しんだり、
素敵なファミリーに声をかけてスナップを撮らせていただいたりしながら、
残り時間を楽しみました。
神保町の研修会場に戻ったあとは、
みんなで、全員のイメージノートとそれを使って撮った作品を匿名で意見出し。
16名分を1人5-6分づつかけてやったのでとても疲れましたが、
どうすればイメージノートで表現したかったことを実現できたかのアドバイスも飛び交い、
とっても勉強になりました。
ワークショップが終わったあとは、
小澤先生を囲んで有志で飲み会。
ここでも、それぞれが写真に対する熱い思いを語り合い、
参加して本当に良かったです。
最後に、お世話になった小澤先生、ご一緒させていただいた生徒のみなさま、
楽しい時間をありがとうございました。
また、どこかでお目にかかりたいと思いますので、そのときはどうぞよろしくお願いいたします。
そして、ゆくゆくはこのワークショップが正式な講座になり、
もっともっとたくさんの方がイメージノートの良さを知る機会が得られることを心よりお祈りいたします。
こちらは、オマケ。
研修会場のプロジェクタが明るすぎて、実は映し出されたのはこちらの写真。
そのおかげで、巫女さんの赤い服装もわかってもらえて、結果オーライだったのですが、
イメージノートに書いたものとは異なるものだったので、ワークショップの主旨からすると失敗作なのかな?
思ったものとは異なるものが撮れたのに、そちらの方がさらに良かった場合は、
そもそものイメージ力に問題があったということかもしれません。(爆笑)