雑木林

ようやく秋めいてきた鹿の児の島。
山には赤々とした葉が目立つようになってきました。
ようやくかといった感じです。
まだ日中はTシャツで過ごせそうな勢いであります。
木々はやっとこれから冬支度に入りそうです。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
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"雑木林"

私は雑木林の真中に建てられた家に住んでいるが、
夏と冬ではまったく別の世界にいるような感じがする。
夏は木々の緑に遮られて山の中にいる印象があるのに、
冬になると雑木の葉はすべて枯れ落ちて見晴らしのよい高原に住んでいる感じが強い。

まったく、秋になるとあたりの木の葉が一枚も残らずにすべて地に落ちてしまう有様は、
自然の一大行事のような感がある。
そして夏の間あれほど若々しかった木々たちは丸裸になって、
まるで死んだように冬を過ごすのである。

私は夏の風景よりは冬のそれが好きである。
黒い枝と褐色の落ち葉だけになった雑木林の風景は、
なぜか心を落ち着かせるものだ。

秋に色づいた葉は冬を迎えて落ちる。
黒い林が眠りに入る。
植物は活動した後に必ず休みをとる。
死んだように眠って身を養う。

ある画家は「黒という色は生命の灼熱を内に抱いている」といい
「黒の美しさは肉体的な力の豊かさによるもので健康であることが黒にエネルギーを与えているのだ」
と言っている。

黒い枝と幹ばかりの枯れ木と見紛うような冬の樹木。
それは決して年老いた晩年の姿ではなく健康な深い眠りを貪っている青年のそれなのかもしれない。

それにしても秋を過ぎて葉の落ちた雑木林を歩いていると、
果たしてこの沢山の裸の木に再びあの緑の葉が芽を吹くことがあるのだろうか?
と信じられない気持ちになることがある。
そのエネルギーはどこに潜んでいるのだろう。

人間も冬眠をすることができたらどんなに楽だろうかと思う。
秋になると毛深くなり脂肪も増えて寒さに強くなり、雪の降る季節は眠って過ごす。
そうして春から秋までの活動で疲れた心と体を眠ることで癒すのである。

少なくともその間はつまらない仕事のことも嫌な人間関係のこともすっかり忘れて、
私達は眠りつづけている間に新しい元気を体内に蓄えることができるだろう。

秋の終わりにたらふく食べて
「さあ，これから冬眠だぞ」
という瞬間はおそらく最高に甘美な瞬間ではないかと思うが・・・
ひょっとしたらその時には
「もしかしてこのまま目を覚ますことが永久に無かったとしたら」
と不安に駆られることも・・・あるかもしれない。


1987,11,10　　クロスオーバーイレブン

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・・・思うに日本人は働き過ぎだ。
どこかの国みたいに数ヶ月お休みがあっても良いと思う。
経済大国としてはソレは無理なお話なのでしょうね。
休んでばかりじゃ生活成り立ちませんものね。

でも子供の頃"冬眠"とかに興味を抱いた事もありました(笑)。
"アリとキリギリス"のキリギリスのような生活にも憧れましたが(笑)。
遊んで遊んでずーっと寝て過ごせるなんていいなぁと。
いや大人になった今だからこそなおさらいいなと思うのかもしれませんね。

でもそういう環境になった場合ロクでもない人生が待っていそうで怖い(((( ；ﾟДﾟ)))