9日の日曜日に、鈴鹿クラブマンレース第1戦が、鈴鹿サーキット東コースで開催され、弟がFJ1600クラスで参戦しました。
そして…。ついに
弟が
決勝3位
に入り、
初表彰台を獲得しました。
僕は、日曜日しか応援に行けなかったのですが、後で聞いたところによると、この週末、木曜日から弟は安定したパフォーマンスを発揮し、公式練習でも、トップタイムか、それに近いラップタイムをコンスタントに出せていたそうです。
今回は、日曜日午前中に予選、午後から決勝というタイムテーブルで、レースは進みます。
今回も、弟の参戦するFJ1600クラスは、タイムテーブルは一番最後の枠を割り当てられていました。シビックやF4、スーパーFJなどの予選が先に進んでいきました。予選前のマシンを日向に出し、目前に迫った予選を待ちます。
予選前の弟と話しましたが、車両の状態も、ドライバーの状態も何ら問題ないということで、落ち着き払っていました。最後にがんばれよと言い残し、僕の持ち場の撮影ポイントの東コースショートカット入り口に向かいました。
僕が言うのもなんですが、鈴鹿東コースのショートカットは、フルコースの1コーナーからS字、逆バンク、ダンロップまででぶった切って無理やりホームストレートにつないでおり、鈴鹿の他のコーナーとは攻略方法が少し違います。
いよいよ20分間の予選が始まりました。ここで、去年の2戦とは弟の出すオーラが違うことをまじまじと見せ付けられました。一言で言うと、はたから見ていても、なんだかすごく余裕があるんです。余裕を持って前後との間合いを調整し、いざアタックラップとなると、上空からすばやく獲物に襲い掛かる猛禽類のように、きっちりとアタックを敢行していました。
去年の予選は、誰かさんのサートラとそっくりで、とにかくプッシュして、前に詰まろうが何しようが、どこかでいいタイムが出ているだろうと言う感じだったのですが、今年は冷静にタイムを狙っていけていました。
結果、55秒492で
予選2番手。
フロントロー獲得です!!
ポールを取った選手は、ベテランの方で実力には定評のある選手です。弟の後ろの3位の選手は、去年鈴鹿南コースのカートでチャンピオンをとり、FJにステップアップしてきたイケイケの若手の選手です。4位以下には鈴鹿東コースで速い、ストレートの速い車両の選手がならんでいます。予選2番手はすごいですが、それこそ周りの選手のレベルも高く、順当にいったら表彰台という考えは通用しません。
お昼を挟んで15時半から決勝でした。予選結果がとても良かったので、弟の機嫌もよく、「前に誰もいない場所からスタートするなんて、どないしたらいいんやろ?」とか、「もし表彰台に立っても、ノーメックスのレーシングスーツは洗濯できないから、シャンパンファイトはかけられないように逃げんとな」などと、気楽な感じで決勝前まで来ました。
いざ決勝直前になり、父母が1コーナーの撮影ポイントに向けて歩いていくため、弟に声をかけてピットから出て行きました。マシンもウォーミングアップのためにエンジンに火が入れられ、緊張が高まります。
さすがに弟も緊張しているだろうなと思い、「まあ、なるようになるから、自分を信じて精一杯やれよ」と、声をかけましたが、こちらの気持ちを見透かしているように「そんなに緊張してないよ。まあ、それなりに自信もあるしね。」と言いました。「それなりに自信があるしね」って言う言葉、この場面で言えるとは、すごいなあと驚きながら、僕の持ち場の東コースショートカットに、ビデオ撮影のために向かいました。
東コースはFJでは1周1分かからないくらいなので、決勝は20ラップで争われます。場内放送でスタート進行が行われ、エンジン音が高まり、いざスタートしました。ショートカットになだれ込んできたときの順位は、3位の若い選手が先頭で、ポールのベテラン選手が続き、弟が3番手で始まりました。
2位のベテラン選手に、弟が果敢に襲い掛かります。猛プッシュしていきますが、さすがベテラン選手、きっちりと抑えられてなかなか前には出られません。
観客的には見ごたえのある2位争いですが、身内としては、心配でなりません。「プッシュしすぎて、コースアウトしないだろうか」と、ひやひやしながら見守ります。2位争いがバトルで遅れるうちに、1位の若手選手が少し逃げはじめました。
ベテラン選手を抜けないまま、数ラップ過ぎましたが、ついにホームストレートでスリップに付いた弟が1コーナーでインを指し、2位に上がりました。
「それ、逃げろ!」と、思いましたが、どうやら先ほどまでプッシュし続けていたために、人間的にも車的にも消耗していたようで、先ほどまでの猛プッシュの勢いで逃げられず、ベテラン選手がしぶとく弟の真後ろを追走します。
最終コーナーの立ち上がりで、ホームストレートで弟のスリップにベテラン選手がどの程度入るか、予想できるのですが、弟のペースが上がらず、何ラップかべったりスリップに入られる状態が続き、危ないなと思っていたら、案の定、1コーナーでインを指し返され、逆転されてしまいました。
その後、弟は残念ながら再逆転はできず、3位でフィニッシュを迎えました。
ふたを開ければ、1位は若手選手、2位は弟と争ったベテラン選手、
弟は3位で表彰台に立つことができました。
シャンパンファイトの心配が、幻にならなくて良かったね。
鈴鹿FJ1600参戦3戦目にして、3位表彰台は、少々できすぎの感がありますが、弟はかれこれ3年ほど、ひたすらアルバイトをしては走行費用を捻出し、自己資金でやっと勝ち得た表彰台です。その陰の努力を考えれば、3戦目といえど、実力で勝ち得えた勝利ということができると思います。
現在弟は、一口5千円の個人スポンサーを8口、持っています。金額にしてみれば、たった4万円ですが、スポンサードを受けて走ると言うことの意味や、それに伴う大変さも、徐々に学習していることと思います。スポンサーになってくれる可能性のある方に、自分のヴィジョンを説明し、お金を出してもらうためには、人間としてきちんとしたコミュニケーションができる必要もあると思います。
しょっちゅう会っていれば、いつまでたっても僕から見れば弟ですが、決勝前に「それなりに自信もあるしね」といって見せた自信や、まだまだ金額的にはわずかですが、スポンサーを集められるぐらい人間的にも成長しているんだなあと思うと、彼が僕の弟で本当に良かったと思うと同時に、僕も負けてはいられないなと思います。
今回の3位表彰台を胸に、
みんなの夢とともにはばたけ!!中上牧人。
Posted at 2008/03/10 22:03:34 | |
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