最近リーフの走行の関係で、いくつか数式を考えてみたので、発表します。
純粋に数式上の処理で、実験での裏付けはありませんが、最初の3つは単純な理論で、想定はほとんどないので、かなり一致するはずです。
●.標高差と電費の関係
山の上から下る場合、逆に山に登る場合で、平坦地とどれだけ電費が違ってくるかの予想に使えます。
位置エネルギー E1[J] = m*g*h [N m]
電気エネルギー E2[J] = P [W sec] = 3600P [W h] = 3600000P[kWh]
m(質量) = 1.7[ton] = 1700[kg] (2,3人乗った状態を想定)
g(重力加速度) = 9.8[m/s]
これより E1 = E2 として式を変形します。
h[m] = 3600000P/(9.8*1700)[kWh]
= 216 P[kWh]
よって、1kWhが216mの高低差に相当します。
平坦地で8 km/kWh で走る人なら、 216m登るのは、8km余分に走るのに相当します。
ざっと高低差は水平距離の40倍負担になるわけです。
●.加速度と電費の関係
ご存じのとおり加速すると瞬間電費が下がりますが、その量を予測します。
加速による仕事 E1[J] = F*L [N m] = m*v/t*L[kg m/s/s m] = 1700/3.6 v/t*L [kh/h/s m]
電気エネルギー E2[J] = L/D [m W s/m] = 3600 L/D[m kWh/km]
m(質量) = 1.7[ton] = 1700[kg] (2,3人乗った状態を想定)
v/t(加速度 t秒の間にvだけ速度を増す)
D(電費)
L(走行距離 式を変形すると消えます)
これより E1 = E2 として式を変形します。
1700/3.6 v/t [km/h/s] = 3600/D[kWh/km]
0.131 v/t [km/h/s] = 1/D [kWh/km]
1秒間に1km/hの割合で加速すると、0.131だけ電費の逆数(1/D)が増えます。
電費の逆数というのは、見慣れない表現ですが、こうしないと単純な加減算(増えます・減ります)になりません。
普通の電費になおした表が次です。
●.加速度と走行抵抗と電費の関係
前とほとんど同じ意味です。 電費には、タイヤ転がり抵抗、空気抵抗、その他の機械抵抗、モーター効率、充放電ロス、などが影響しますが、それら全部をひっくるめて走行抵抗として算定してみます。
加速による仕事 E1[J] = F*L [N m]
電気エネルギー E2[J] = 3600 L/D[m kWh/km]
これより力(=走行抵抗)を求めると、
F[N] = 3600/D [kWh/km]
●.空気抵抗と電費の関係
空気抵抗の式を次と仮定して、
空気抵抗 = 0.5*cd*ρ*v^2*S
cd(抵抗係数) = 0.29
ρ(空気密度) = 1.205 [kg/m2] 20℃
S(前面投影面積) = 2.5 [m2]
低速での電費を10km/kWhとして、空気抵抗による電費の変化を計算すると次表になります。
実際の走行では、急加速しないように注意して走ると、平均90km/hぐらいの走行で8km/kWh以上の電費が出ますから、この表はあてにならないことがわかります。空気抵抗の式がもっと速い速度を対象としているのではないかと想像しています。
●.おまけ・加速度と消費電力の関係
それじゃぁ、0→60km/hとかに加速するとき、速く短く加速するのと、ゆっくり長く加速するのでは、どれだけ使う電力が違うのか、という話です。
加速による仕事 E1[J] = F*L [N m] = m*v/t*L[kg m/s/s m]
= m*v/t*1/2 v/t*t^2 = 1/2 m*v^2 =1700/3.6^2*v^2 [kg(km/h)^2]
電気エネルギー E2[J] = P [W sec] = 3600P [W h] = 3600000P[kWh]
これより
P[kWh] = 3.64*10^(-5) v^2 [(km/h)^2]
tは消えてしまいました。速く加速しても、ゆっくり加速しても、最終の速度が同じなら、加速による消費電力は変わらないという結果です。
考えてみれば、最終的に運動エネルギー 1/2m+v^2 になるのですから、当然です。
走り方による電費の違いは、モーター、バッテリー、タイヤ、回生ブレーキなどの特性からくるもので、この程度の単純な物理ではわからない、ということです。
Posted at 2015/08/11 02:29:49 | |
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