画像は借り物です。でも正にこの色(ボルケイノ)でした。
320を売却して手に入れた、初めての自分名義のクルマです。
但し最初からケチが付きまくりで、320をこのクルマの為に手放した事を今に至るまで悔やむキッカケとなった痛恨の一台です。ただほんの一瞬ですが、このクルマがとても魅力的に映ったのは事実です。
注文から三ヶ月待って新車で購入したにもかかわらず、何故かボディーは全面擦り傷だらけ&スクリーンは曇りガラス状態、シートからはスプリングが飛び出た状態で納車、なんてのはまだほんの序の口で、その後のトラブルに比べたら可愛いものでした。
スタイリングは抜群に良く、それが購入した一番の理由ですが、しかしながらそれ以外は殆ど全てダメ(到底痘痕も靨にはなり得ないレベル)で、オープン+ミッドシップという魅力的なパッケージングで、どうしてここまでダメなクルマが出来るのか未だに不思議です。後に友達のNAロードスターと乗り比べ、あまりの違いに愕然。ロードスターのOEMでMGとした方が余程MGらしいとすら思いました。
とにかく工業製品としてのレベルが低く、MGの名を冠しながらもロードスターの安直な後追い企画に過ぎない実態と、販売する現場での「売ってやる」的な旧態依然とした外車屋気質は、当時ローバージャパンが打ち出したフェアプレイ政策から窺える、並々ならぬシェア拡大に対する意気込みとは大きく乖離している様に感じました。そんなこんなでほとほと嫌気が差し、新車でこんな思いをするくらいなら本当に好きなクルマで苦労した方がマシだと思い、6シリーズの購入を決意するキッカケになりました。
そう決めた瞬間即売却、めでたく6シリーズの購入資金の一部となりました。ちなみに売却後程なくしてローバー本体が倒産、結果的に際どいタイミングでの売却となりました。
勿論自分の個体ががたまたまハズレだった可能性は否めませんが、かと言って完調な別の個体が有ったとして、それを改めて確かめたいと思う程の魅力は感じませんでした。クルマは嗜好品的目線から見た場合、必ずしも「機械として優れていればそれで良い」と言う物ではない事は重々承知ですが、機械としての優劣ではなく「味」と言う別の基準で語るにしても、或る一定のレベルに達している事が最低条件なのではないか?と思います。欠点を覆す程の美点は残念ながらこのクルマからは感じられませんでした。
本来であれば95年のデビューの時点で後の改良版とも言えるMG TFの完成度に達していて、そこからリファインを重ねればもう少し違った結果になったのでは?と思えてなりません。色んな意味で勉強させてもらった一台でした。