これは島崎藤村の長編小説「夜明け前」の有名な冒頭の一節です。
この「夜明け前」は私が高校2年か3年の現代国語の教科書に採用されていました。
主人公である青山半蔵が東京から木曽に帰り神社の宮司をしますが、神社の中に仏教的なもの、インド的なものを感じ嫌悪感を抱く場面の4~5ページが抜粋されていたと記憶します。それからこの小説、馬籠という場所が気になりました。
それと1980年代のアンノンブームで馬籠・妻籠が持て囃されましたので私にとって何時か行ってみたい場所になりました。
ついにその日が来ました。
平成18年10月21日、決行しました。
強行軍なので朝まだ薄暗い内に出発です。
MPV君、頼むよ!
途中、順調に走り午前10時ごろ妻籠に到着です。
本日は馬籠と妻籠を訪ねますが、その間を徒歩で移動します。そのためにはどちらかにクルマを置いて反対側にバスで移動、徒歩で戻ることになります。
私たちは妻籠に投宿するので妻籠に車を置く、そうであれば馬籠にはバスで移動、ということに。
駐車場から
バス停に
妻籠バス停から約30分で馬籠バス停に到着。
馬籠宿の標識です。
馬籠宿は木曽11宿の中のもっとも南に位置する宿です。茲から北がいわゆる木曽となります。
実は馬籠とその南の宿である落合宿の間に「是より北 木曽路」の石碑があるのですがそこに行くには徒歩で1時間くらいかかるといわれ断念しました。これは心残り。なのでWikipediaより拝借(^^;
此れより妻籠に向かっていきます。約8Kmあります。最初は少し急な坂が続きます。
途中で標識が。ここを少しコースアウトしますが、島崎藤村一家のお墓と島崎家の菩提寺である永昌寺があります。
永昌寺です。
島崎家のお墓。一番右に島崎春樹(藤村)が。でも島崎藤村の本当のお墓は神奈川県大磯町地福寺に埋葬されたらしいのでここは分骨でしょうか?
島崎正樹(藤村の父)のお墓。「夜明け前」の主人公、青山半蔵のモデルと言われています。
藤村の父、正樹も江戸末期から明治の初めを生きた人物で平田国学に傾倒して王政復古を夢見ますが、明治維新以後の明治政府の政策は夢どおりとはならず失望し、罪を犯し最後は刑死したようです。藤村が9歳のときに亡くなったので藤村が若いころはその事情が分からなかったようですが、中年以後に興味を抱き、地元の資料なども集めて長編小説に仕上げます。時に藤村が56歳のときでした。
私事ながら、わたしが読んだ藤村の小説はこの「夜明け前」と「破戒」のみです。破戒は10年掛けて読みました。たいした分量ではないのですが、テーマが重くってしばらく読むと気分が沈んでしまいます。そこで本棚に戻し、の繰り返しで10年かかりました。
藤村記念館です。藤村の生家跡です。
そのなかの母屋です。
庭も立派でした。地元の名士だったのですね。
昼食は馬籠茶屋で。らしいでしょう(笑
馬籠上陣場です。海抜は653m。かなり上ってきました。
馬籠峠です。峠の向こうは妻籠。(南木曾町)
手前の標識に「中津川市 馬籠」とありますが、中津川市は岐阜県ですね?でも島崎藤村は信州人といわれていますね?何故だか解りますか?
実は馬籠は元々は長野県木曽郡山口村に属していましたが、山口村は2005年にお隣の岐阜県中津川市と越県合併してしまいました。奥深い山々の木曽より拓けたほうを選択したのですね。
馬籠峠のテッペンです。これよりは妻籠に向かって降りてゆきます。
分かれ道です。馬籠に3Km、妻籠に4.7Kmと。
これよりは、これが5街道の一つの中山道か?と思われるような狭い道、急な坂が多く、よくこんな場所を大名行列ができたなと思われる難所が多かったのですが、残念ながら写真を撮るのを忘れました。(;o;)
妻籠の入口に到着。午後3時前でした。
馬籠は木曽11宿の中の一つで昔の面影が色濃く残る町並みを保存できていましたので、1976年9月に日本で初めての重要伝統的建造物郡保存地区(町並み保存)に他の10数箇所とともに指定されました。これよりアンアン・ノンノンなどの旅行雑誌でブレイクします。
先ほどの馬籠は?
実は馬籠は1895年と1915年の大火で石畳と枡形以外の古い建物は全て消失してしまいましたので指定はされていません。現在の建物はその後再建されたものです。なので真新しく綺麗なのですね。
ところで四国で最初に町並み保存地区に指定された場所はご存知でしょうか?
手前味噌ですが、我が故郷、愛媛県内子町の八日市護国地区です。製蝋町としての指定です。
街中の標識、江戸へ81里6町17間
京へ、54里27町21間
秋の夕暮れの風景。
妻籠宿本陣跡です。現在は南木曾町の博物館。
こちらは脇本陣跡。同じく博物館に指定されています。
高札です。代官所からの「定」。指示でしょうか。
今夜のお宿は妻籠宿 藤乙(ふじおと)さんです。歴史を感じさせる落ち着いた佇まいで、お庭も立派。ですがひとつ問題が。それは廊下が一枚板で古くなっているのでゆるくなっており、歩くたびにギーッと音が。夜中にトイレに行くのに気が引けました。(^^;
翌日は木曽の御嶽山を目指します。この日も好天気でした。
途中の寝覚めの床と言う場所。木曽川に石灰岩系の岩が露出して綺麗です。かなり大きな岩もあります。青い水、白い岩、緑の山々、又青い空、色のコントラスト。
又、走ります。高度が上がるにつれ秋色が。
山の中腹が近い。
御岳ロープウェイに到着。綺麗なお花畑が。
ここからロープウェイに。
ロープウェイ駅。標高2150m。御嶽山(約3000m)の70%。
こちらが御嶽山です。噴煙がたなびいています。
それにしても昨年この御嶽山が突然爆発して多数の犠牲者が出たことは信じられません。
大人しい山に見えたのですが。
難に遭われた方々の御冥福をお祈りします。
最後に御嶽社をお参りしました。
非常に歴史を感じる旅でした。
Posted at 2015/09/19 00:29:41 | |
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