
諸用でTDK仁賀保に行った帰り道というか土日、前々から気になってたところに行ってみた。院内油田という、平成一桁代まで日本でもいくつか稼働していた、(日本としては)大規模な油田の一つだ。
小さなものは今でも秋田市内で稼働しているが、ポンピングパワーという大掛かりな装置使ったものは、新潟と秋田にしかなかったそうだ。新潟のは近所(ってほどでもないけど)で何度か見てるが、秋田のは見てなかったので立ち寄った。
急峻な坂道を登って行くと、ポンピングパワーの小屋が残っている(小屋の全景撮り忘れ)。
中に入るといきなり蔦が。新潟市の新津油田(だったかな?)は相当整備されてるが、ここは一応史跡にはなってるものの、あんまりちゃんと整備してないようだ。
ポンピングパワーのモーター。
銘板を見ると、昭和14年。うちの親父すらまだ生まれていない時代。フォントがアレで読みづらいが、30馬力、22.38キロワット、3相8極、50サイクル、200ヴォルト(!?)、95アムペア(!)、720廻転(転が古すぎ)と読める。起動器が空欄で8極式だから、恐らくスターデルタ起動だろう。
現在使われている馬力(仏馬力)で換算すると22.06kwになってしまうので、これはどうやら英馬力で換算するらしい。正式名ナショナルポンピングパワーだから、英国単位使うのは当然か。
三相交流は、仕事率(kw/h)=√3 x 電圧V x 電流A x 力率で表されるから、力率=22.38/(1.73x200x95/1000)で約0.68。異様に低い力率だ。さすが昭和14年。
このデカいプーリーを布ベルトで回して、
下部のカムギア(遊星?)に振幅運動を伝えて、四方八方に繋がっているロッドの往復運動に変換する、というもの。
案内板によると20rpmらしい。モーターが720rpmだったから36倍、ロッドが1本でロスが0なら、1080馬力、まぁ馬力でなくトルク変換なのか。
現代はモーターの力率はもっと高く改善されてるし、小型軽量メンテフリーで、第一に価格が恐ろしく安くなっているはずなので、こんなモーター1個で複数井戸を稼働させるような装置を組む必要はない。時代を感じさせる。
ちなみに装置自体は私の身長よりずっと低くこんなもので、それほど巨大なわけでもない。
そばには櫓がある。
こちらはそれなりに大きい・・・ね。
銘板に説明が。しかしなんだ、見るところがたったこれだけしかなく、何十機もあったはずの櫓は取り壊されてしまったようで、異様に寂しい。せっかくの土曜日なのに観光客もなく。ちょっと残念。
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2015/05/24 19:59:07