5月26日(水)の19時、定刻通りに苫小牧港を
太平洋フェリーの「いしかり」が出港。
17日(月)の早朝に函館から上陸した北海道の地、10日ほどの滞在期間も終わって社用車1号機(
日産フーガ 350XV)とともに本州への船旅がスタートしました。
※写真は仙台出港後にすれ違った、姉妹船の「きたかみ」。
■乗船 ~ ルームキー受け取り
車の場合、運転者は車で車両甲板へと乗船します。この際、同乗者は別途徒歩で乗船しなければなりません。
車両甲板では徐行で係員の誘導に従って車を停めます。この際、甲板内ではヘッドライトは消して移動した方がベター。係員からこちらの様子がよく見えるので、アイコンタクトするにはこの方が良いと思います。
車両を停めたら、オートマチック車なら「P」レンジ、マニュアル車なら「1」か「R」に入れて、パーキングブレーキをしっかりかけます。
そしてライトの消し忘れに車内灯も含めて注意の上で、忘れ物をしないように手荷物を持ってエレベーターで移動。なお、出港した後は下船まで車両甲板への立ち入りは出来ません。途中寄港地でも同様の扱いとなるので、最終目的地まで乗船する場合は特に忘れ物に要注意です。
エレベーターをあがって最初にやって来るのがBデッキ(4階)にある「案内所」。ここは吹き抜けのエントランスホールになっていますが、その雰囲気は高級ホテルにも引けをとりません。さすが国内最高級の長距離カーフェリーと呼ばれるだけのものがあります。
今回は個室利用なので、この「案内所」で乗船券を提示してルームキーを受け取ります。個室利用でない場合は、エレベーターを降りると待機しているスタッフに乗船券を渡して半券をもぎってもらいます。
この乗船券、残りの部分に「下船券」があり下船の際に必要となりますので、紛失しないように要注意です。
■非繁忙期は個室利用がお得!
今回は2人定員となっている洋室の特等客室を予約してあります。
実は夏休みや大型連休、年末年始期間などを除いた非繁忙期の場合、個室を定員未満で利用する場合でも貸切料金がかからないのです。
つまり今回は私自身のドライバー差額を支払うだけで個室を利用できるというわけです。詳しく説明すると、車両と一緒に乗船するドライバーには2等客室料金が含まれています。そこで旅客運賃表を参照して、希望する個室の料金から2等料金を引いた差額を支払えばOKというわけです。
特等の場合、シャワートイレとバス、冷蔵庫が客室に備わっています。内容的には一般的なビジネスホテルのちょっと小ぎれいな部屋といった感じですが、長時間の乗船ではプライバシーがしっかり保たれることと、他人の目を気にせずリラックスできることは差額分以上の価値があります。盗難防止の観点からも、個室を使うメリットは大きいでしょう。
ちなみにこのひとつ下のクラスに一等客室があります。「いしかり」の場合は一等になるとベッドが二段式になり、バスではなくシャワーのみの設置となっています。
私の場合は一人利用なのでこちらでも全く問題無かったのですが、今回はどうしても特等にする理由がありました。それは苫小牧行きの場合、今回はこの等級を指定しなければ右舷側(陸側)の部屋を確保できなかったのです。
この航路では陸側に位置すると、その大半でFOMAを使えます。つまり電話での会話はもちろん、データ通信によりインターネット接続も可能というわけ。ゆえに長い移動時間中に仕事を進めるために、陸側の個室を手配したということです。
■日本のフェリーならではの楽しみ!
日本の大型フェリーならではの楽しみが「展望大浴場」。
もちろん乗船客の利用は無料、経由地の仙台寄港前後を除き、出港から名古屋到着の30分前まで入浴が可能です。
限られた船内ということで決して街中の温泉施設のように広々としているわけではありませんが、本物の大海原を眺めながらのお風呂は絶品。サウナもついていますので、心身ともにリラックスした贅沢な船旅を楽しむことが出来ます。
なお個室利用の場合は、各部屋に備え付けのフェイス&バスタオルを持参して使えますし、風呂上がりも部屋でノンビリと過ごせますので、よりゆったりと過ぎる時間を楽しめます。
■お薦めの船上ブッフェ・ディナー
長旅となる船上では、食環境の充実度が気になるところ。近年、日本のカーフェリーは合理化が進んでおり、中には飲食物の提供は自動販売機のみとしている航路もあったりします。
それはそれで安価な旅を実現してくれるのですが、滅多に乗る機会がない長距離航路であれば、ちょっとした贅沢も楽しんでみたいところ。そこでお薦めは
太平洋フェリーの各船に設けられているブッフェレストランです。
「いしかり」では「カリブ」という名のレストランが設けられており、ディーナー/モーニング/ランチの各営業をブッフェスタイルで行っています。
ディナーの利用料金は、大人一人につき2,000円。和洋中、いろいろなメニューが用意されており、メインはシェフが目の前で焼き上げてくれるステーキ。ソフトドリンクやデザートまで含んでのお値段ですから、市中のレストランと比べても決して割高感は無く、むしろ船上ということを考慮すればコストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。
もちろん味もお薦め。スタッフのサービスも良く、快適な食事を楽しむことが出来ます。
■カジュアルスタイルの食事もOK
ブッフェよりも手軽にお腹を満たしたり、過ぎ行く大海原を眺めながらノンビリとアルコールを楽しみたい。
そんなリクエストに応えてくれるのが、スタンド「ヨットクラブ」です。ロビー状のスペースを用意しているカウンターバー形式の店で、軽食やアルコールを含めたドリンク類、ソフトクリームなどのスイーツが用意されています。
営業時間もブッフェレストランよりも長く設定されているので、寝る前のちょっと空いた小腹を満たすのにも最適。
解放感のあるロビースタイルなので、見知らぬ同士の会話も弾みそうな船上ならではのスペースです。
■船上でのひとときを心地よく過ごせるスペース
豪華さが特徴の
太平洋フェリーを象徴する施設のひとつが、ラウンジの存在。「いしかり」では「スターライト」という名称がつけられたラウンジは、Aデッキ(5階)に用意されています。
ここでは毎夜、音楽の演奏を中心としたショーが催されています。私が乗船した時はピアノとヴァイオリンの演奏が行われていましたが、このショーの観覧も無料。ゆえに会場には大勢の乗船客が集い、思い思いに演奏に耳を傾けていました。
ちなみに本格的なラウンジでのショーですが、外洋クルーズ船ではないのでドレスコードなどの指定はありません。肩肘張らず、軽い気持ちで覗いていけるのは日本のカーフェリーならではの良さでしょう。
このラウンジショー見学も、ちょっとした非日常的な時間の過ごし方として、お薦めのポイントです。
こんな感じで、ちょっと豪華な
太平洋フェリーでの船旅。
私自身これまでに何度か利用してはいるのですが、今回は苫小牧から途中寄港地の仙台を経て、名古屋までという初めての全区間乗船。乗船時間は実に39時間という長旅です。
26日の19時に出港した「いしかり」は、27日の10時に定刻通りに仙台に到着。ここまでは時化の影響で少々揺れてしまったため、さすがに長時間パソコンのモニターを眺めているのも辛く、早寝をして27日の朝を迎えました。
27日の12時50分に仙台を出港してからは比較的波も穏やか、インターネットへの接続可能な区間も多いことから、同日は夜まで"お仕事モード"。
夜には水戸の街灯などを漆黒の太平洋の遠く向こうに眺めつつ、まだまだ長い船旅が続きます。