名古屋市と言えば、真っ先に
名古屋城の屋根にそびえる“金の鯱(しゃちほこ)”を思い浮かべる人も少なくないことでしょう。1612年に城の天守が竣工した当時は、純金およそ200kg以上を用いて作られたきらびやかな鯱は、これぞ尾張名古屋の象徴という存在感を見せています。
名古屋、尾張地方は独特の文化を持っている地域で、例えば時代劇でもお馴染みの徳川宗春公は比較的“派手好き”な主君して描かれていることも多いですが、これは将軍だった吉宗公が今で言う緊縮財政につとめたことと比較して、宗春公は規制緩和策を推進したとも言えるわけで、現代政治にもつながる面白い検証の対象になるようにも思えます。
このほか、名古屋は結婚式や嫁入りが豪華で派手であるというのも全国的に知られているところですし、自動車では霊柩車が名古屋地方では独特な形態を見せていて興味深いところです。
さて、写真は先に名古屋を訪れた際に見かけた、いかにも名古屋らしい出で立ちの路線バス。
名古屋市交通局が
名古屋市の市民経済局から受託運行している「
メーグル」という、観光客需要を主な対象とした循環路線バスの専用車両です。車体は
日野自動車の「
ブルーリボンシティ ハイブリッド」で、2010年4月に導入されたものです。
この「
メーグル」は、名古屋駅を起点として市内の主な観光スポットなどを巡る循環路線。乗車料金は1回につき大人200円、一日乗車券は大人500円でバス車内をはじめ、市内の主要ホテルでも販売されています。運行形態は土曜・日曜・祝日は20~30分間隔、その他の平日は30分~1時間間隔のダイヤで運行。注意すべきは毎週月曜日は運休となることで、月曜が祝祭日の場合は直後の平日が運休日となります。
特に観光客の立場で考えると、路線バスという交通手段は改めて見直すべき対象ではないかと思います。特にある程度の都市圏で観光を楽しむ場合、マイカーやレンタカーでは訪問先で駐車場の確保が難しかったり、渋滞などで移動時間が読めずに観光の計画を立てにくいというケースもあり得ます。徒歩やレンタサイクルでは移動に時間を要してしまいますし、悪天候に見舞われてしまうと悲惨なことになってしまいます。
そこで市民の足としても利便性の高い路線バスは、ぜひ活用したいところ。ただ、地方では財政的な面や人材の面で余裕のないバス事業者も多く、直接的に利用頻度が高くなる地域住民ではない、外からやって来る観光客向けに、地域密着型の路線についての詳細な情報を発信していないケースも珍しくありません。こうなると、どんな路線がどんなルートで運行されているのかとか、停留所ごとの時刻表、路線検索などもままならないわけで、観光のプランを立てるのにも難儀してしまいます。
その点、この「
メーグル」のような観光需要を主体とした路線展開がされている地域では、ぜひ効果的に活用してみたいところ。同様の事例としては
石川県・
金沢市で
北陸鉄道が運行している「
城下町金沢周遊バス」があります。
こちらは私自身、
2011年7月28日付のエントリで記したように市内観光に使ってみましたが、とても便利&安価でマイカーで市内をまわるよりも遥かに効率的に観光を楽しむことが出来ました。
ここで、あえて「
城下町金沢周遊バス」と「
メーグル」を比べてみると、後者にはもう少し頑張ってほしいと思わせる点がいくつか見えてきます。
まず運行ダイヤですが、金沢は12分間隔なのに対して、名古屋は最短で20分、最長では1時間にもなってしまいます。観光客としては計画の立て方で1時間の運行間隔に対応する術もありますが、やはりあまり時間を気にせずに各名所を楽しみたいのが本音のところ。その上で観光を終えてバス停に着いたら、そんなに待つこと無くやってきたバスに乗車できたなら、無駄な時間も要せずにストレスも溜まりません。ここはぜひ、大都市・名古屋であるからこそ、週末や休日は10~20分間隔、平日でも20~30分間隔での運行を望みたいところです。
もう一点は料金制度について。1回あたりの運賃が大人200円というのは名古屋も金沢も同じ。さらに観光客の需要が高そうな一日乗車券でも名古屋も金沢も額面は同じ500円ですが、その内容には大きな違いが存在しています。
名古屋の場合は「
メーグル」以外の一般路線バスへの乗車は出来ません。一方で金沢では市内地制帯200円区間であればレトロな外観の専用車両を用いている周遊バス以外の、一般路線にも乗車することが可能です。
この違いはとても大きく、環状線となっている周遊バスのルートを、横切るように一般路線でショートカットすることも出来ますし、同じ方向であれば周遊バスに乗り損ねても、すぐ次ぎにやって来た一般路線を利用して移動することも出来るので、観光の幅が広がると同時に効率も格段にアップします。
しかし、名古屋のものは最大1時間間隔でしか運行されていない周遊路線しか利用することが出来ず、やや不満を覚える内容となってしまっています。
せっかくの周遊バスなのですから、財政的な問題は決して小さくないことを理解している上で、あえて更なるサービス改善を求めたいところ。そうすれば色々な媒体などを使って、より観光客に利用推進を訴えるPRもやりやすくなるだろうと思います。
Posted at 2012/06/17 20:42:16 | |
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