三菱自動車、2021年3月期決算が発表されました。
売上高は前年比マイナス35.6%、純利益が3123億円の赤字。
今や主力のASEAN地域も、コロナ禍の影響で35%もの大幅減となってしまいました。
親会社含めて、非常に厳しい状況です。
そんな中で、朗報がひとつ。
ラリーアート復活
業績悪化による活動休止から、早11年。
遂にブランド復活となります。
当面は、純正アクセサリーパーツによる展開。
いずれは、モータースポーツへの参戦も視野に入れているそうです。
なんとも嬉しいニュースです。
WRC、ダカールラリーの撤退、さらには伝家の宝刀、パジェロ、ランサーエボリューションの販売終了。
いまや日産グループの軽自動車部門、そんな事も言われかねない状況です。
苦しい時は、事業縮小して当面の出費を抑制。
そればかりでは、企業の魅力も低下してしまいます。
起死回生に向けた次なる一手、それは三菱ブランドの再興でしょう。
三菱がストロングポイントとなる技術を生かし、三菱らしい独自性を打ち出したクルマを創るべきです。
では、三菱のストロングポイントとは?
今は、この2つではないでしょうか。
4輪制御技術 S-AWC (Super All Wheel Control)
これは、4輪全てを緻密に制御して、スムーズな走りを実現する為のものです。
三菱は、6代目ギャラン VR-4でフルタイム4WDを確立してから、長年技術を蓄積し進化させてきました。
元来4WDとは、高い駆動力を発揮するシステム。
悪路とか雪道とかで効果を発揮します。
ですが、その反面、曲がりにくい特性も。
このS-AWCは、全車輪の駆動力をコントロールして、曲がれる4WDに仕立てられています。
主な構成技術は、この4つ。
4WD (4 Wheel Drive)
これは言わずもがな、ですね。
4輪全てを駆動するシステムです。
駆動力を最大にするには、直結状態がベスト。
ですが、ブレーキング現象、ブッシュアンダー等で、曲がりにくさが出てきます。
その為、センターデフを用いて前後輪の駆動力を制御しています。
AYC (Active Yaw Control)
左右の駆動力を制御し、旋回性能を向上させます。
内側タイヤのブレーキを使い、外側タイヤにより多くの駆動力を分配。
その駆動力差(トルクベクタリング)によって、クルマを曲げていきます。
ABS (Anti-lock Break System)
これも言わずもがなのシステムです。
ブレーキロックを防ぎ、制動時にも操舵出来る様にしています。
ASC (Active Stability Control)
アンダー、オーバーステアを抑制し、クルマの姿勢を安定させます。
アンダーステアの場合、前輪内側タイヤにブレーキを掛けて、旋回力を発生。
オーバーステアの場合、後輪外側タイヤにブレーキを掛けて、スライドを止めます。
そして、もう1つのストロングポイント。
PHEV ツインモーター
エンジン、そしてフロントとリアに配された2つのモーターで構成されます。
基本の走行モードは、モーターによるEV。
電力不足になるとエンジンで発電し、EV走行を継続。
高速時には、エンジンをメインに走行します。
エンジン、モーターの両方を使って走る、普通のシリーズ式ハイブリッドと同じです。
ツインモーターのメリット。
それは、フロントとリアが独立しているので、制御がより緻密です。
例えば、従来のエンジン式4WD。
エンジンから出た出力は、センターデフ、プロペラシャフトを介して、後輪に伝えられます。
これだけ長い伝達経路ですので、機械的な損失は少なからずあります。
それにセンターデフも、レスポンスの良い電子制御式多板クラッチを採用しても、やはり作動遅れと制御ズレが発生してしまいます。
電気信号で「後輪配分50%」としても、実際は多板クラッチの摩擦力で決まるので、必ずしも50%になっているか? というと、ちょっと微妙です。
それがツインモーターの場合、そのレスポンスは非常に速く、正確です。
なにぶん、電気信号ですから。
それに直接リアのモーターを制御するので、プロペラシャフトによる駆動損失もなし。
「後輪配分50%」とすれば、ほぼその通りに出来ます。
極端な例ですが、FFベースの4WDでもリアを先に駆動させ、FRの様な走りをする芸当も可能です。
従来の4WDに対して、かなり広い幅で制御が可能になるのです。
この2つを組み合わせたクルマが、昨年末にデビューしています。
エクリプスクロス PHEV
基本コンポーネントは、アウトランダーPHEVからの流用。
それ故に、ボディサイズも大きくなりました。
私は好きだったんですけど、リアのCR-Xみたいなエクストラウィンドウが、廃止になってしまいました。
試乗の様子が、三菱のYoutubeチャンネルにあります。
舞台は、サーキット。
SUVなのに、そこなのか? 軽い違和感がなくもないです。
しかも、このクルマと比較をしているんです。
ランサー エボリューション X
いや、そこじゃないでしょう。
エクリプスクロスのターゲットは、横G出してナンボの人ではないはず。
購入時の比較対象とはなりえない様な、そんなクルマを引っ張り出してきています。
取り合えずどんなものか、動画を見てみました。
えっ! これ、ちょっとおかしいでしょう。
エクリプスクロスのターンインが、凄く早い、異常なくらいに。
ランエボに比べれば、もっさりした動きですが、それはSUV故の重心高さ、それにハイトの高いタイヤによる剛性の低さが、原因ではないかと。
クルマ自体は、激しくインを刺しています。
なんかこのエクリプスクロス、本当は別のクルマをターゲットに作ったのではないか。
販売戦略的に先行デビューした、本命車両の通過点モデルではないのか。
そんな思いもしてきました。
エクリプスクロス PHEVの異常なまでの旋回性能。
そしてラリーアート復活。
その答えは・・・ イレブン?
かなり希望的な予想が入っていますが。
現状のPHEVパワートレーン。
モーターメインの現状からエンジンメインに変えるのは、制御の話なのでそんなに難しい話ではないでしょう。
それに、エンジンもエクリプスクロスの2.4Lでなくて、ヤリス同様、もっとコンパクトでパワフルなものが良いでしょう。
三菱が持つ電動化と4輪制御技術を活用したエクリプスクロスをベースにすれば、三菱らしいラリー車が作れる気がします。
今年の全日本ラリー。
昨年WRX勢多数の中、進化の止まったランエボXで孤軍奮闘していた、怒田原選手。
1994年から、アドバンカラーのランエボで長く参戦されてきました。
それが昨年末をもって、アドバンラリーチームが活動休止。
今年はGRヤリスにスイッチし、自身のチームからアドバンカラーで参戦しています。
奴田原選手の参戦は喜ばしいのですが、トヨタかぁ・・・の感は否めません。
ラリーアート復活にあたり、ヌタさんが勝てるクルマをPHEVで作ってもらえませんか?
三菱さん、よろしくお願いします!