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2009年03月15日

【ECU】AVCSバルブタイミング調整

エンジン研究者(HCCIやミラーサイクルなどの研究・発表をされていらっしゃる)島筒修治先生に可変バルブタイミングの考え方を御教授頂いた。
島筒先生、誠にありがとうございます。

以下、先生から転載許可を頂いたので、可変バルブタイミングの解説引用






 バルブタイミングの可変システムには、いろいろな種類がありますが、連続位相可変式について延べます。これは、カムシャフトの位相をクランクシャフトに対して回転させる方式ですので、開弁期間及びリフトは一定で開閉弁時期を連続的に変化させることができます。ただし、開弁期間一定のため開弁時期を早めると閉弁時期も早まり、開弁時期を遅めると閉弁時期も遅くなります。吸排気両方にこのシステムが搭載されたターボ過給ガソリンエンジンについて考察します。
図1は、縦軸に吸気管圧(=負荷)横軸に回転数をとり、コントロールレンジ(①~⑨)を示したものです。Pexは排圧を示します。

① 吸入空気量が少なく回転数も低いため、EGRが入ると燃焼が不安定になります。そのため、吸気は遅開、排気は早閉とし、オーバーラップを少なくします。吸気は遅閉となるため、ポンピングロスが減少します。排気は早開となるため、有効膨張比は小さくなりますが、燃焼圧自体が低いため膨張下死点近傍では燃焼ガス圧も低く、多少早開しても燃費への影響は小さいと思われます。

② WOTとなり過給圧も上昇するため吸気管圧と排気管圧が近くなり、オーバーラップに関わらずEGRはほとんど流入しません。そこで、排気を遅開し有効膨張比を大きくとり、吸気を早閉し吸入空気量を確保します。

③⑥⑨ 吸気管圧が排圧を超えるため、オーバーラップが大きいと吸気が排気側へ吹き抜けてしまいます。そこで、吸気は遅開、排気は早閉とし、オーバーラップを少なくします。吸気は遅閉となるため、有効圧縮比が低下しノッキングが回避できます。排気は早開するため有効膨張比で損をしますが、その分高圧の排気がターボへ流れて過給圧が上昇します。
 ノッキングが発生すると、さらに吸気を遅閉して有効圧縮比を低下します。その場合ネガティブオーバーラップとなることもありますが、EGR(排気再吸入)が増加しノッキングを抑制します。

④ ある程度回転数が高いため、多少EGRが入っても安定して燃焼できるので、排気を遅角(遅開-遅閉)してオーバーラップを増加するとともに、有効膨張比を高めます。吸気も遅角してオーバーラップが増加しすぎることを防ぐとともに、ポンピングロスを減少します。

⑤ WOTとなり過給圧も上昇するため吸気管圧と排気管圧が近くなり、オーバーラップに関わらずEGRはほとんど流入しません。そこで、吸気は回転上昇とともに徐々に遅角し、慣性効果で充填効率を高めるために最適な閉弁時期を、排気は回転上昇とともに徐々に進角し、ブローダウン時間確保と有効膨張比がバランスした開弁時期を得られるようコントロールします。

⑦ 高回転のため、多量のEGRが入っても安定して燃焼できるので、吸気を早開、排気を遅閉してオーバーラップを増加します。高回転のため、吸気早閉では負の慣性効果が働き、ポンピングロスを低減します。高回転のため、排気遅開ではブローダウンの時間が確保しにくくなりますが、燃焼圧自体が低いため大きな問題はありません。

⑧ WOTとなり過給圧も上昇するため吸気管圧と排気管圧が近くなり、オーバーラップに関わらずEGRはほとんど流入しません。そこで、吸気は慣性効果で充填効率を高めるため遅閉し、排気はブローダウン時間確保のため早開します。

 以上は、基本的な考えでありメーカーによって多少の異差はあるはずですし、実際は中間的な進角特性を多用したきめ細かい制御がされているはずです。



以上引用(※WOT:Wide Open Throttle。我々の言うところの「フルスロットル」「フラットアウト」など)。


以上の思想は、AVCSのノーマルAVCSにも反映されているものと思われるが、それにしては大雑把過ぎるマップなので、詰める余地は十分にあるものと考える。


上記解説の①~⑧を、私なりに解釈し、AVCSのマップに当てはめると

●Intake Cam Advance Angle B (AVCS)




●Exhaust Cam Advance Angle B (AVCS)



のような分布となるかと思う。



島筒先生に御教授頂いたのと、最近、実走ログからの体積効率充填効率の算出(Excelマクロ処理)が可能となった(※30~50[%]と低い値なので、絶対値としては不明だが、相対値としての目安にはなる)ので、AVCSバルブタイミングを見直してみた。


●Intake Cam Advance Angle B (AVCS)




●Exhaust Cam Advance Angle B (AVCS)




※ノーマルROMではEngine Load(=1[rpm]あたり吸気量)は、2.15[g/rev]までのマップとなっているが、ブーストアップに伴い、最近、AVCSのマップも2.55[g/rev]までスケーリング変更した



1) 改変前の状態を実走ロギング→体積効率解析
 ※改変前と言っても、ノーマルではない
 ↓
2) 上記思想に基づき、MAP改変。
 変化を明確にするため、少し派手目に改変。
 ↓
3) 実走ロギング→体積効率充填効率解析
 ↓
4) 1)と3)を較べ、体積効率が向上している部分は更にMAP強調。
 逆効果だった部分は戻す
 ↓
5) 実走ロギング→体積効率充填効率解析
 ↓
6) 1)と3)と5)を較べ、補正

という過程を繰り返して、上で公開のマップとなった。


体積効率は、同一ROMの、同じEngine Speed[rpm]、Engine Load[g/rev]でも、当然一定ではないので、スロットル変化率の少ないレコード、燃料カットなどされていないレコードのみを抽出し、かつ、体積効率充填効率値はなるべく平均計算を行うようにした。


1~2[%]程度の体積効率充填効率の違いは、ほとんど計測誤差となってしまうので、評価は難しいが、低中回転、低負荷域(2000~3200[rpm]、~0.65[g/rev])に関しては、4~6[%]程度の体積効率充填効率向上を実現した。

③⑥⑨は思想に基づいてオーバーラップを減らしたのだが、露骨に体積効率が低下したので、ある程度戻した。
体積効率の低下は思想どおりでOKなのだが、特にノッキングも出ていないので。
「排気は早開するため有効膨張比で損をしますが、その分高圧の排気がターボへ流れて過給圧が上昇」という思想からは悩みどころ。



体感としては、うーん・・・。
若干、軽く回る感じになった(負荷抵抗感が減ると寧ろトルク「感」は低減するが、レスポンス感、抜け・爽快感は向上)・・・気はするが、4~5[℃]程度の外気温度差や湿度、大気圧でもそのあたりの体感は露骨に変わるので、正直良くわからない。

ちょっとの雰囲気(=温度・湿度・大気圧など)でかなり体感が変わるので、過敏なクルマだなあ・・・・とつくづく思うが、過去のブログエントリ
[改訂版]吸気温度とトルク・出力の関係を検証する
[JIS版]大気圧とトルク・出力の関係を検証する
などに書いたように、高トルク車だからこそ、なのだろう。


シャシダイもスロットル・コントローラもないし、パーシャル域の評価は難しいなあ。



ジャックさんの公開されている排気バルタイのマップとは全く方向性が違う(特に低負荷域は真逆)が、チューニングにはいろんな思想、手法があると思うので、ジャックさんのマップを参考にしたマッピングもいずれ試してみたいと思う。




●レガシィB4(BL5A)のECUチューン関連目次はこちら
●レガシィB4(BL5A) 関連目次はこちら
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Posted at 2009/03/15 06:50:07

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この記事へのコメント

2009/03/16 10:16:13
mistbahnさんの行動力には御見それ致します。

短時間じゃ難しくてあとでじっくり拝見させていただきます!
EX側のMAPが僕のと全く違うので今後のレポートに期待しています。

僕は体感のみの調整なのであまり信頼性がありませんが、
低、中回転までは好感の持てる結果が体感できました(自分の好みですが^^;

しかし高回転は変化の差が微量なので何回も試さないと難しいです(今回は雨、晴のコンディションだったので駄目でした
コメントへの返答
2009/03/16 10:22:57
ジャックさんのEX側のマップも興味があるので、時期を見て試してみたいと考えてます。

実際のところ、特にパーシャル域は「好みの体感」が大事だと私も思います。
元々、レガシィのプアな低回転域・低負荷域のトルク感をなんとかしたかったECU弄りですが、ECUをやっているうちにデータ偏重になってしまった私です(^_^;)
2009/03/17 07:47:38
大まかにパッと見るとGH8のBモードと同じような感じの流れのマップになっていますね。
ですがそこまで精密ではないですし、また40のタイミングソチラのほうが低回転よりです。

ですがGH8ですと、前回にも書きましたがエコボタンの意味がなくて、常用してるのは常にAモードのマップです、アクセルを踏むとBモードになるので、結局のところエンジン負荷がある程度の所のマッピングしか使わないので1以下なんかはAモードのマップと比較したほうが私には合うようですw

ECUの配線にかませて信号線を送れるようにして、強制でAとBを使い分けできたらいいな~とは常々思っていますが・・・・(--;

あと正解かどうかわかりませんが、レガシィの前期と後期によっても多分違うと思うのですが。なにやらリアO2センサーのフィードバック制御のせいで、マフラーなど、何かしらのパーツをつけても純正に戻そうとする補正が働くそうです。
それを聞いて今回リアO2を殺して見たんですが、変わってないような・・・?w
リアO2を殺そうが何しようが、結局のところ燃調の所の数字を変更さえすれば、そこにあわせようとするように成っているのかもしれません。
そのせいかもしれませんが、私のはアイドリングでAFRが13の値で、普通に走っているとAFRが14.5とかを示したりしています。もうちょっと様子見してからO2を生かすか決め手みたいと思います。
コメントへの返答
2009/03/17 08:01:33
似たようなハードウェア構成でソフトウェアは新しいGH8のROMなんかはBL5Aのチューニングには参考になるかもしれませんね。

> 常用してるのは常にAモード
> 1以下なんかはAモードのマップと比較

面倒臭いっすねえ・・・。
AもBもコピペで全く同じマップにしておかないと、なかなかセッティングが進まなそうですね。

> レガシィの前期と後期によっても多分違う

A型とC型は全く一緒ですね。
D型以降はSI Driveもあり、だいぶと違うと思いますが、ROMをもってないのでマップは知りません。

> リアO2センサーのフィードバック制御のせいで、マフラーなど、何かしらのパーツをつけても純正に戻そうとする補正

O2センサのフィードバックが働くのはClosed Loop領域です。
CL時は、常にストイキ(A/F=14.7)に補正しようとします。

私は、スロットル変化に燃調が追従しきれずにリーンとなり、ノッキングを起こすのを嫌って、「Fueling CL/OL Transition」の各閾値を大幅に変更し、アイドリング時以外はほとんどOpen Loopで動作するように変更してます(あまり褒められたことではないですが)。

「CL/OL Fueling* (status)」をロギングしてみることをお薦めします。
ログ値は以下のようになります。

7: Open Loop (エンジン始動直後)
8: Closed Loop (通常)
10: Open Loop (通常)
14: Open Loop (システムフェイル)
2009/03/22 00:02:54
ふむ、ふむと解説を読んでいって、AVCSのマップを見たのですが、INの最大が42という値には驚きました。自分は最大38にしているのですが、ここまでの値を入られると思っていなかったです。計算が間違っていたのかなぁ。。

あといまだに変えても意味がないと思っている領域(解説だと7番)があるのですが、この辺は効果感じますか?
コメントへの返答
2009/03/22 09:01:59
IN側はもともと40までとしていたのですが、「42まで上げると効果アリ」と以前にyukiguniさんに教えて頂き、試したところ、確かに爽快にヌケる感じになりました。

つい最近、BP5EのROMを入手したのですが、ノーマル状態でIN側40、EX側40まで振られていました。
そんだけオーバーラップをとっても良いものなんだ・・・と。
A~C型とは全く異なるマップなので、A~C型は随分と煮詰めずにリリースされた製品に思えました。
(近いうちに、E型を参考に改変したMAP集を公開します)

7番の領域は確かに体感は厳しいですね。
高回転域でアクセルを抜いたときと、再度、軽く踏んだときのみですからね。
サーキットや峠では微差で効くかもしれません。
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